「薔薇とサムライ」を見る(2)
新感線☆RX 「薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive」
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
作詞 森雪之丞
出演 古田新太/天海祐希/浦井健治/山本太郎
神田沙也加/森奈みはる/橋本じゅん
高田聖子/粟根まこと/藤木孝/ほか
観劇日 2010年4月17日(土曜日)午後6時開演
劇場 赤坂ACTシアター 2階J列40番
上演時間 3時間45分(20分の休憩あり)
料金 10500円
ロビーのグッズ売場は大混雑していて、「近づけないかも」と思うくらいだった。
パンフレット(2300円)、ポスター(2枚組2000円だった、と思う)などなどが販売されていた。前回も迷って、今回もやっぱり迷ったのだけれど、購入しなかった。
タンブラーだけは売り切れていたけれど、他の商品はあったと思う。
ネタバレありの感想は以下に。
2回目の観劇である。
席は前回とほぼ同じくらいのところかなと思っていたのだけれど、今さっき確認したら、前回見たときと全く同じだったので驚いた。
今回は2回目ということもあってオペラグラスを持って行かなかったのだけれどこれが正解だった。
この舞台では、映像で背景を変え、場面を切り替え、船の動きを出しているので、全体を見ていた方がより楽しめるのだ。「アンヌの左目」などというキーポイントとなる部分は、映像で拡大して見せてくれるし、ここはオペラグラスなしでの観劇に軍配を揚げたい。
私の記憶力が悪すぎるだけなのかも知れないと思いつつも、やはり、前回(ほぼ1ヶ月前だ)見たときよりも明らかに「小ネタ」が増えていたように思う。
何だか、小さくこっそり笑いを取ろうというシーンが増えている。
楽しい。
ストーリーを知っているという安心感がこちらにあって、笑いを取ろうという役者さんに反応できることが多かったということもあるとは思うけれど、やはり絶対に増えている。
それどころか、気のせいか、「笑い」だけではなく動きやセリフにも変化があったような気がする。「ここが違う」と指摘できないところが悔しい限りである。
それにしても、何度でも強調するけれど、石川五右衛門を演じる古田新太は格好いい。
映像でしか見たことがない人に古田新太の格好よさを伝えるのはなかなか難しいし、もしかすると、この舞台のDVDを見せても伝えるのは難しいのかも知れない。
本当、どうしてあんなに格好いい、男らしい、惚れたくなるような男を演じさせてどこまでもハマるのだろう。
あの、肩の力が抜けた感じと色気とが同居しているところがポイントなのかも知れない。
自分の命をねらっている男の、ものすごく力を込めた啖呵を聞いた後で、「あぁ、はいはい」と言っているところなんて、笑いつつも、「いい男だねぇ〜」と言いたくなる感じなのだ。
そして、実は天海祐希よりも古田新太の方が衣装の数が多いのではなかろうか、と疑いたくなるような七変化も見せてくれる。
カーテンコールでも、天海祐希は最初の海賊の衣装に戻っていたけれど、古田新太は、多分、カーテンコールでしか着ない派手な着流しの衣装をつけていた。
しかも、この着流しは劇中でも何回か着替えているのだけれど、すべて短めで裾がからげてあって、赤いふんどしが見えている、という拘りである。
もちろん、アンヌ・ザ・トルネードを演じる天海祐希の格好良さも見事である。女じゃないね、姐御だね、と思う。
宝塚の男役って、こうも格好いいのか、という感じだ。
ご本人は宝塚時代に演じたことはないそうなのだけれど、しかし、海賊と戦っているときの彼女は完全に「オスカル」を意識した紛争で、しかもなぜか髪まで金髪に染めていて、お話の整合性よりも「オスカルのイメージ」が最優先なのが判る。
その演出側の「どこまでも天海祐希の格好良さを見せよう」という割り切りも潔くて大好きである。海賊から、豪華なドレス、フラメンコを踊らせ、オスカルで戦わせ、最後には金と白の衣装にショートカットの髪で剣を振るわせる。
新感線の舞台では、歌が多くても(しかも、森奈みはる演じるエリザベッタや、浦井健治演じるシャルル王子などは、何回も天海祐希に「歌わなくていいから」とか「音楽やめ!!」と邪険にされたり止められたりしているくらいなのに、何故だか邪魔な感じがしない。
私はどちらかというと「歌をなくして、もっとコンパクトに凝縮してくれー」という風に思うことが多いのだけれど、何故だか新感線の舞台ではそういう風に思うことがない。
何というか、思いっきりアンヌやエリザベッタに殴られたガファス将軍が黒子3〜4人に抱えられてゆーっくり空を飛んでも、大拍手して大笑いしている自分がいて、そういう「遊び」も含め、歌や踊りの豪華さも含めて完成された様式だという感じがするのである。
もはや、この豪華さあってこその新感線である。
席は同じなのに、前回と比べて、背景に映し出される文字が見やすくなっていたように思う。2階席からの見やすさを考慮して改善されたのではないだろうか。歌詞が読めるようになって嬉しかったシーンがいくつかあった。
新感線は、流石にかなり早いうちから映像を舞台に取り込んでいただけのことがあって、ベタだけれど、気配りも行き届いているし、効果的な使い方を知り尽くしているという感じがする。
それから、今回、特に印象に残ったのは、神田沙也加と浦井健治がとことん楽しんでいるように見えたことだと思う。
神田沙也加は「ぶりっこ」な仕草やポーズをいっそ開き直ってやっていて、ぶりっこを演じていることを楽しんでいるように見えた。前回も決して嫌そうにしていたわけではないのだけれど、さらに開き直った感じを受けた。
浦井**の方は、ミュージカルなどでよくでてくる「王子様」の動作やチャンバラでの振り付けを、これまた楽しそうに開き直って「これでもか」と見せつけている感じがよかった。もうちょっと「キメ」のポーズでキメられると、さらに格好よく見えるのになー、という感じもするけれど、この開き直りは「買い」だと思う。
2回目の観劇だけれど、今回はオペラグラスを全く使わなかったせいで、恐らくはオペラグラスを覗いていたために前回気がつかなかった全体の動きや、アンサンブルの動き、こっそり端っこで演じられている小ネタなどが楽しめた。
ストーリーは知っているものの、別のお芝居を観たのと同じくらい楽しんでいた自信がある。
乙女な橋本じゅんだって、そうなって出てくることは知っていたのに、やっぱり出てきたら大拍手で迎えてしまった。
新感線の舞台は、特に照明が美しく、舞台上の床に照明で模様を描いたり、完全に雰囲気を出すための重要な演出として使われていて、今回のお芝居ではほとんど八百屋になっていなかったので恐らくは1階席からはほとんど見えないんだろうなという思いもあり、ちょっとした優越感に浸れたりするのも嬉しい。
1階席から見えないといえば、場面転換で舞台の前面に人の身長くらいの壁をスライドさせて、その後ろの動きを隠していたのだけれど、隠しつつも2階席からは見えることを意識しているのか、その壁の向こうで衛兵が定位置につくために手足をまっすぐに伸ばした「衛兵らしい」動きで移動しているのが見えたりするのも、1階席からは気づけないんだろうなという「お得感」があったりする。
やはり、気配りの勝利だろう。
2回目の観劇も十分に堪能して大笑いしてちょっと泣きたくなって、大いに楽しんだ。
もちろん、最後はオールスタンディングオーベイションだった。
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コメント
サニーさま、コメントありがとうございます。
あらら、同じ時間に同じ劇場にいらしたのですね。
どこかですれ違っていたりして。
昨日は本当に劇場全体が盛り上がっていましたよね。そういえば私も「前回のときより、客席のノリがいいな」と思いました。リピーターが結構いるんじゃないかなーとも思ったことも思い出しました。
古田さんの格好よさに力強く同意をいただいてありがとうございます!
ホント、映像の古田さんしか見たことのない友人に熱く語っても、ものすごーく疑い深い目で見られてしまうのです・・・。
投稿: 姫林檎 | 2010.04.18 10:26
姫林檎さんこんにちは。
私も昨日2回目を観に行きました。同じ空間にいらっしゃったのですね〜。
劇場全体がとても盛り上がっていましたよね。
新感線の舞台は他にはない独特の高揚感があります♪♪♪
笑いとシリアスな部分を上手く織り交ぜて、
キメるとこはキメてくれる古田さんは、
やはり舞台上ではカッコいいですよね☆
あの魅力は生の舞台を観ないと伝わらないでしょうね〜(笑)
投稿: サニー | 2010.04.18 09:21