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2010.06.26

「フラガール」のDVDを見る

「フラガール」
監督 李相日
出演:松雪泰子/豊川悦司/蒼井優/山崎静代/岸部一徳/富司純子他
日本映画
2006年劇場公開

 ひょんなことから常磐ハワイアンセンター(スパリゾート・ハワイアンズ)の話になり、職場のお姉さんにこの「フラガール」のDVDをお借りして早速見た。

 映画が公開された頃、テレビで宣伝していたことは何となく覚えていて、舞台化されたときにも見ようかどうしようか迷い、結局チケットを取らなかったので、ずっと気にはなっていたのだ。

 炭鉱の衰退でリストラが相次ぎ、その雇用対策と閉山間際の炭鉱の町の再生を目指して、石炭を掘るときに噴き出す温泉を活用して「常磐ハワイアンセンター」を設立しようと会社が動き出す。
 「東北にハワイを」のキャッチフレーズで準備が進むハワイアンセンターの目玉は、炭鉱の娘たちが踊るフラダンスのショーである。

 基本的に、松雪泰子演じる東京からやってきたフラダンスの「先生」である平山まどかが、最初は敬遠しつつも家族が炭鉱での職を失い、「自分たちがやるしかない」と集まってきた炭鉱の娘たちにフラダンスを教え、「プロ」を育てていく。
 その過程を描いた映画である。

 蒼井優演じる紀美子は、炭鉱で働く母に「母ちゃんみたいになりたくない!」と言って家を飛び出してまで「フラガール」になろうとするし、彼女をフラガールに誘った徳永えり演じる親友の早苗は、しかし、父親が夕張の炭鉱に職を変えるのに従って北海道に去って行ってしまう。
 最初にフラガールを募集したときに応じたのは、彼女たち2人と、常磐ハワイアンセンターで事務を担当している(ように見えた)池津祥子演じる初子だけである。
 そういえば、フラガールの募集に「独身の女性に限る」と書いてあったのは、労基法違反なんじゃないかという気もするけれど、何しろ昭和40年代の話である。
 そこに、しずちゃん演じる小百合が父親に連れられてやってきて、フラガールは4人からスタートする。

 いかにも「不本意な都落ち」という風情を漂わせていた「先生」も、次第に熱心に教えるようになり、炭鉱でリストラが進むにつれて「父ちゃんが馘首になったから私ががんばるしかない」とフラガールの候補生も増えてくる。
 一方、紀美子はずっとフラの練習場となった学校の体育館のようなところに泊まり込んでいるし、早苗は炭鉱を馘首になった父親と弟妹とともに夕張に去って行く。
 オープン間近のハワイアンセンターを宣伝するために、フラガールたちは各地でフラのショーを行うが、その最中に炭鉱で事故が起き、小百合の父親が巻き込まれる。小百合は「踊る」ことを選ぶが、そのために父親の死に目に遭うことができない。

 炭鉱の町自体も、ハワイアンセンターに積極的に「乗り換える」人々と、炭鉱を「守ろう」とする人々と、大きく割れてしまっている。

 「先生」のまどかも、母親の借金の返済に苦しみ、取り立て屋から追われているようだ。

 そんな数々の試練を乗り越え、何よりフラのレッスンに必死に取り組み、そして、ハワイアンセンターのオープンの日を迎える。

 クライマックスは、そのオープン初日のフラのショーである。

 紀美子が本気になるきっかけとなったのは、まどかが踊る激しいフラだった。
 その振付をそのままに紀美子が舞台で踊るために練習しているところを、富司純子演じる紀美子の母が見て、「人を楽しませる仕事があってもいい」と思う契機となる。
 そして、ラストシーンのフラのショーで、紀美子がそのフラを完璧に踊りこなすところで幕となる。
 そういう小さな「仕掛け」が効いているところがいい。

 また、フラガールの候補生が集まったところで、まどかは彼女たちにフラの振付にはひとつひとつ意味があることを伝える。
 そして、彼女たちに黙ってまどかが炭鉱の町を去ろうと電車に乗っているとき、紀美子たちはフラでまどかに気持ちを伝える。
 そういう色々なことが呼応しているのを見ると、物語の本筋は本筋として、いいなあ、と思う。

 泣けて、笑えて、思わず乗り出してフラのショーを見てしまう。
 そんな、楽しくていい映画だった。
 どうして今まで見ようとしなかったんだと、かなり後悔した。でも、遅ればせながらだけれど、見てよかったと思う。

 お借りしたDVDはスペシャルエディションで、本編ディスクの他にメイキング他が収録されたディスクが2枚付いている。
 そちらを見るのも楽しみである。

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