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2010.11.30

「南へ」のチケットを購入する

野田地図 第16回公演「南へ」
作・演出・出演 野田秀樹
出演 妻夫木聡/蒼井優/渡辺いっけい/高田聖子
    チョウソンハ/黒木華/太田緑ロランス
    銀粉蝶/山崎清介/藤木孝
2011年2月10日~3月31日 東京芸術劇場中ホール
料金 S席 9000円 A席 7500円

 野田地図の公演は久しぶりのような気がするけれど、どうだったろう。
 妻夫木聡の「キル」は、初演の堤真一を彷彿とさせる演技だったので、再演ではなく舞台に立つことに興味があるし、蒼井優の初舞台は見逃しているのでこれまた興味がある。

 劇団の先行予約でチケットを購入した。

 野田地図の公式Webサイトはこちら。

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2010.11.29

「ロング・ロスト・フレンド」の抽選予約に申し込む

西荻の会「ロング・ロスト・フレンド」
作・演出 G2
出演 伊東四朗/角野卓造/佐藤B作/松金よね子
    市川勇/あめくみちこ/窪塚俊介/岩佐真悠子
2011年2月17日~3月16日 本多劇場
料金 7000円

 どうしようかと迷ったのだけれど、やっぱり、抽選予約に申し込んでしまった。

 G2プロデュースの公式Webサイト内、「ロング・ロスト・フレンド」のページはこちら。

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2010.11.28

「やけたトタン屋根の上の猫」を見る

「やけたトタン屋根の上の猫」JAPAN MEETS・・・ -現代劇の系譜をひもとく-
作 テネシー・ウィリアムズ
翻訳 常田景子
演出 松本祐子
出演 寺島しのぶ/北村有起哉/銀粉蝶/三上市朗
    広岡由里子/市川勇/頼経明子/三木敏彦/木場勝己
観劇日 2010年11月27日(土曜日)午後1時開演
劇場 新国立劇場小劇場 D5列9番
上演時間 3時間(15分の休憩あり)
料金 5250円

 前は、新国立劇場で芝居を見ると、月ごとの上演演目を紹介したリーフレットのようなものが配られたと思うのだけれど、今回はなかった。
 たまたまだったのか、緊縮財政でそうしたものを作らなくなってしまったのかは不明である。

 ネタバレありの感想は以下に。

続きを読む "「やけたトタン屋根の上の猫」を見る"

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2010.11.24

「流れ姉妹 たつことかつこ~エンド・オブ・バイオレンス~」の抽選予約に申し込む

真心一座 身も心も 最終章「流れ姉妹 たつことかつこ~エンド・オブ・バイオレンス~」
脚本・出演 千葉雅子
演出・出演 河原雅彦
出演 古田新太/池田成志/村岡希美/坂田聡
    小林顕作/政岡泰志/伊達暁/信川清順
2011年1月27日~2月6日 本多劇場
料金 7000円

 第1章から第3章まで見てきているので、最終章を見逃すわけには行かない。
 しかも、ゲストが古田新太と池田成志である。
 抽選予約に申し込んだ。

 真心一座の公式Webサイトはこちら。

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2010.11.23

「シングルマザーズ」のチケットを購入する

二兎社「シングルマザーズ」
作・演出 永井愛
出演 沢口靖子/根岸季衣/枝元萌/玄覺悠子/吉田栄作
2011年2月20日~3月27日 東京芸術劇場小ホール1
料金 5000円

 ここのところ二兎社の公演は気になっていたのに見逃していたので、ここは是非にも見たい。

 二兎社の先行予約でチケットを確保した。
 とても、楽しみだ。

 二兎社の公式Webサイトはこちら。

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2010.11.21

「カーディガン」を見る

「カーディガン」
作・演出 田村孝裕
出演 中井貴一/市原隼人/中尾明慶/石橋杏奈
    菊池均也/伊藤俊輔/外山誠二/キムラ緑子
観劇日 2010年11月20日(土曜日)午後2時開演
劇場 パルコ劇場 J列31番
上演時間 2時間
料金 7500円

 開演の結構ギリギリに駆け込んだので、パンフレット等のグッズ売場をチェックしそびれてしまった。

 ネタバレありの感想は以下に。

 パルコ劇場の公式Webサイト内、「カーディガン」のページはこちら。

続きを読む "「カーディガン」を見る"

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2010.11.20

「光明皇后1250年御遠忌記念 特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」」展に行く

東博外観 昨日(2010年11月19日)、2010年10月8日から12月12日まで、上野の東京国立博物館で開催されている、「光明皇后1250年御遠忌記念 特別展「東大寺大仏―天平の至宝―」に行ってきた。
 正倉院宝物の特別出品が11月21日までだったので、それに間に合わせたかったのだ。
 ちなみに、この写真は本館で、東大寺展が開催されているのは平成館である。そして、平成館と本館の間からは建設中のスカイツリーが見えた。

 母から招待券をもらったからという理由で出かけたので、予備知識は全くない。
 なので、迷わず音声ガイド(500円)を借りた。

 「第1章 東大寺のはじまり 前身寺院と東大寺創建」では、聖武天皇と光明皇后が幼くして亡くした息子の菩提を弔うために建てたお寺(これは正確ではないらしいけれど)と周囲のお寺が集まって金光明寺となり、大仏建立が始まって後、「東大寺」と称されるようになったことが語られている。
 それは、二月堂や三月堂の辺りから、その前身寺院を飾っていただろう三彩軒丸瓦がたくさん見つかっているのだそうだ。

 この部屋の展示は、とにかくこの「丸瓦」が多い。
 そして、この丸瓦のデザインがとにかくみな同じである。何やら意味があるという音声ガイドを聞いたような気もするのだけれど、とにかく「まるで呪いのようにみな同じだよ」と思ったことを覚えている。
 それから、東大寺の正式名称は「金光明四天王護国之寺」というのだそうで、大和国の国分寺なのだという。そういえば、各国に国分寺と国分尼寺を作らせたのも聖武天皇だったな、でも、東大寺が国分寺だったとは知らなかったよ、と自分の中学社会レベルの日本史知識に頭を抱えたことも覚えている。

 往時の東大寺のジオラマも飾られていて、そこには、東西の七重塔があって驚いた。当たり前なのか驚くべきなのかよく判らないけれど、大仏殿の倍以上の高さがあったらしい。
 修学旅行の記憶では、東大寺と春日大社はすぐ近くだったと思うのだけれど、このジオラマを見るとかなり離れていて、それも意外だった。
 平城京はきっと人口が少なかったんだな、随分と平らで広い作りだな、これは大陸っぽいということなんだろうか、と間抜けな感想を持つ。

 「第2章 大仏造立」では、まずどーんと「金光明四天王護国之寺」の額が飾られている。
 聖武天皇の真筆だそうだ。
 正直に言って、それほど立派な文字ではないし、力強さのようなものも伝わってこない。失礼ながら、聖武天皇って結構気が弱い人だったんじゃなかろうかと思ってしまった。

 私の適当な感想はともかくとして、このお部屋がこの東大寺展の白眉であることは間違いない。
 何しろ、東大寺から出て展示されるのは初めてだという八角燈籠がここにあるのだ。
 その前に、大仏開眼のときには中国やインド、ギリシアからきた人々が集まり、そこで伎楽が疲労されたのだという。伎楽がどういうものかは今ひとつ判らないのだけれど、それに使われたお面はちょっとエキゾチックである。間違っても日本人の顔ではない。
 そして、精巧な作りである。
 オルメカ展に行って「この技術は凄い」と思ってきたばかりのところなのだけれど、奈良時代の日本だって十分に凄いのである。

 誕生釈迦仏立像及び灌仏盤は、東大寺で花祭りが行われる際にみなで甘茶をかけるお釈迦様と、甘茶を受け止めるお皿というかお盆である。
 通常は10cmくらいのお釈迦様らしいのだけれど、東大寺の場合は、それが30cmだか40cmだかあるらしい。この灌仏盤の外側に線で彫られたお花やチョウチョが中々可愛らしかった。
 
八角燈籠 そして、いよいよ八角燈籠である。
 この八角燈籠の四面には、四種の楽器(縦笛、横笛、笙、あとシンバルのような打楽器)をそれぞれ奏でる音声菩薩が透かしの格子の上に浮き彫りになっている。
 これがなかなか優美なお姿である。
 大仏殿は二度焼失しているそうなのだけれど、八角燈籠は奈良時代のままのものだそうだ。
 その割に、「前は八角燈籠にあった」という音声菩薩のひとつが別に展示されていたのが謎である。 それにしても、4.6mはデカイ。大仏殿の前にあるから豆粒ほどの印象だけれど、やっぱり大きくて、支える竿(という名称だったような気がする)も太く、アンバランスと言えばアンバランスなのだけれど、そこに経文が線彫りにされているところが「転んでもタダでは起きない」という感じがする。

 伎楽面のところでは、当時に演奏されていた音楽が再現されたものが音声ガイドで聴けたのだけれど、ここでは、この音声菩薩様達が手にしている楽器だけで演奏されているという曲を音声ガイドで聞くことができた。
 なかなか気が利いている。

 ここでは、大仏開眼の際に奉納(という言葉が合っているかどうかは判らないのだけれど)されたというお宝も展示されていて、水晶で作られた入れ物に真珠が入っていたりして、何度も繰り返すようだけれど、奈良時代の技術の高さに惚れ惚れした。
 銀製鍍金狩猟文小壺というこの水晶に入れた真珠塔を収めていた入れ物も、細かい象眼が施されていて綺麗である。こうした細かな細工ものについては、拡大写真や映像で説明があるのも嬉しい。
 それはそれとして、この壺の意匠の不思議なところは、馬に乗った狩人が左から右に逃げる鹿を弓で射ようとしているところである。
 私の感覚だと、こうした意匠の場合は、鹿も狩人も右から左に動いていると思うのだけれどどうなのだろう。
 この後に見た聖武天皇遺愛の掛け軸にも同じような図柄があり、そちらでは、右から左に動いていた。
 何だか座りが悪いなーと思った意匠で、とても印象に残っている。

 その他、聖武天皇や光明皇后らが写経した(らしい)経文も展示されていて、額では「ちょっとナサケナイ」と思った聖武天皇のお手が、こちらでは太く大きく力強いものだったのも謎だった。

 多分、第2章と第3章との間のコーナーで、大仏をバーチャルに再現したという映像が見られたと思う。
 確か、上映時間は12分である。
 大仏を下から見上げたり、光背を取り除いて中に経文を収めるために背中に空けられた穴が見られたり、大仏の視点からはどういう風に見えるかといった映像が見られたり、大仏が鎮座している蓮華座にの花弁一枚一枚に描かれた「世界」の解説など楽しい。
 そもそも、東大寺の大仏が「盧舎那仏」という仏様だったことなど、今回初めて知ってしまった。
 もっとも、仏様の区別など一切つかないので、盧舎那仏がどんな仏様なのかは全く判らないし、盧舎那仏という名前が判ったからといって何かが変わるわけでもないのだけれども。

 第3章 天平に至宝の部屋では、二月堂本尊光背がひときわ大きく、人を集めていた。
 そして、もう一つの呼び物が正倉院の宝物の数々である。
 正倉院の宝物は、光明皇后が正倉院に納めたものが展示されていて、聖武天皇遺愛の物だという臈纈屛風(今ここで名前を確認するまで掛け軸だと思っていた・・・)が目を引く。
 恐らく作られた同時はもっと赤かっただろうこの屏風は、ろうけつ染めの手法で作られているらしい。

 そして、桂心(要するにシナモンである)を見ても特段の感動は呼ばないのだけれど、薬として納めた光明皇后が「治療のために使ってもよい」と言って納め、必要に応じて実際に使われたため、100年後には元の1/10の量になっていたというエピソードにいたく感銘を受けた。
 「使ってもいい」と言い、実際に許可を出し(その許可を与えた文書も展示されている)、そして使われているというのは、何だか凄いことなのではないだろうか。

 このお部屋で目を引くのは、後はやはり「大仏開眼」に使われたという筆(最初のときと、再建されたときと、ともに使われた筆らしい)と、最初の大仏開眼のときに筆に結びつけて天皇皇后を始めたくさんの人が握ってその功徳に預かったという「ヒモ」だろう。
 紐と言ってしまうとありがたみも何もあったものではないのだけれど、1000年以上前に作られたとは思えない、深いトルコブルーで、一体何で染めたのだろうと思う。確か、青というのは、天然染料では染められない色ではなかっただろうか。

 そして、展示は、第4章 重源と公慶で、焼失した大仏殿及び大仏の再建に力を尽くした2人の僧侶に関する展示で締めくくられる。
 名前が似ていることに意味があるのかないのか、阿弥陀如来立像らは、快慶の作なのだそうだ。私の中では快慶という仏師は運慶とセットだったので、快慶の名前だけが出てくることが何となく不思議だった。

大仏の手 概ね2時間弱かけて、こんな感じで見て回ったのだった。
 ミュージアムショップもなかなか充実していて、私はお香を購入した。
 2300円の図説を購入すると、東大寺の僧侶の方(多分、特別にいらしていたのだと思う)からご集印がいただけますという案内もあって、かなり迷ったのだけれど、購入することはしなかった。なぜ「御朱印」ではなく「ご集印」なのだろう。

 入口に戻ると、カフェのある方の空間に大仏様と等身大の「右手」が展示されていた。
 バーチャルリアリティを見たときにも思ったのだけれど、大仏様の手は、手相的にはどうなんだろう?

 展示に様々な工夫があって、知識も教養もない私でもかなり楽しんで来たのだった。

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2010.11.16

映画「大奥」を見る

「大奥」
監督 金子文紀
原作 「大奥」よしながふみ
脚本 高橋ナツコ
出演者 二宮和也/柴咲コウ/堀北真希
    玉木宏(特別出演)/阿部サダヲ ほか
配給 松竹 アスミック・エース
「大奥」公式Webサイト

 2010年11月16日に、渋谷シネパレスで見てきた。
 10月1日公開で上映終了間近、平日の昼間に見たという条件はあるにしろ、私を入れて5人しか観客がいなかったのは寂しいことこの上ない。
 滅多に見ないのでよく判らないのだけれど、映画というのはそういうものなんだろうか。
 滅多に見ない映画を見たのは、知り合いのお姉さんに公開前から「見たい!」「一緒に見よう!」と声をかけていただいていて、お互いの都合がつかずに3人で見るのは諦めたのだけれど、何となく、映画館で見なくてはいけないような使命感が残っていたからだ。

 原作漫画も読んでいないので、「将軍は女、仕えるは美しき男たち三千人」という映画のキャッチコピーのとおりの内容だと思っていたら、まず、冒頭のシーンで出てから半分くらいの時間、芝崎コウ演じる将軍吉宗が出てこないのが物足りなかった。
 どうも、そもそもが将軍吉宗の話なのではなかったらしい。

 二宮和也演じる貧乏旗本の息子である水野と、堀北真希演じる大きな薬種問屋のお信との恋愛物映画だったのだと思った方がいいらしい。
 映画の前半は、若い男だけがかかる病気が蔓延し、男の数が女の数に比べてはるかに少なくなり、労働力のほとんどは女が担い、男はほとんど「「春を売る」だけの存在に成り下がりつつある、という状況の説明が行われる。

 元々の期待がそこにあったので、水野が大奥(当然のことながら、将軍は女であり、大奥の住人は全て男である)に上がった辺りから「よし、話が動き出したぞ」という気分になった。
 しかし、ぼーっと見てしまったのでよく判らないのだけれど、この設定はどことなく破綻しているように思うのだけれど、何故だろう。どこが破綻しているか指摘はできないのだけれど、何となく、大きな矛盾をはらんでいる世界設定のような気がして落ち着かない。

 吉宗が将軍になって以降、権謀術数に満ちた話が始まるんだろう、水野は大奥にいながら吉宗の懐刀のような存在になって財政再建に力を尽くすのだろう、と思っていたらとんでもない。
 そんなストーリーはどこにもない。
 水野の出世物語と、水野は殺されたと見せかけて町に降ろされ、お信との初恋を成就させる、というあらすじで、吉宗の話はサイドストーリーに過ぎないところが何とも物足りなかった。
 もっとも、これは、私の事前の思い込み(でも、キャッチコピーにも多少の責任はあると思う)のせいであって、映画の責任ではない。

 そういうわけなので、佐々木蔵之介演じる大奥総取締役藤波の腹黒そうな雰囲気とか、阿部サダヲ演じる杉下が全てを諦めた感じを漂わせつつも新入りの水野を庇うカッコ良さが印象に残った。

 できれば、吉宗や、和久井映見が演じる吉宗の懐刀である久通が活躍する(だろうと思われる)この続きを見たいけれど、続編制作の話は聞こえてこないので、原作漫画を読んでみようかなと思ったのだった。

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2010.11.14

「古代メキシコ・オルメカ文明展-マヤへの道」」に行く

オルメカヘッド 昨日(2010年11月13日)、2010年10月9日から12月19日まで、古代オリエント博物館で開催されている、「「古代メキシコ・オルメカ文明展-マヤへの道」」に行ってきた。
 11月8日から14日まで、サンシャインシティで「マヤ・オルメカ フェスティバル」が開催されていたので、せっかくだからフェスティバル開催時期に合わせたのだ。

 11月13日と14日の週末は、フェスティバルの一環として、サンシャインシティの噴水広場で「オルメカ文明の謎にせまる」と題したトークイベントが13時30分から開催されるということで、まずはそちらを聞きに行った。
 TBSアナウンサーの木村郁美氏が司会を務め、「古代マヤ・アステカ不可思議大全」「マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行」の著者であるエッセイスト芝崎みゆき氏と展覧会を企画した京都文化博物館主任学芸員の南博史氏によるトークが非常に濃い感じで、しかし親しみやすく展開された。

 メモを取りそびれたのが悔やまれる。
 順不同で思い出せる限り書いてみると(記憶が間違っている可能性もかなり高いのだけれど)、トークイベントの話題はこんな感じだった。

・南氏がオルメカ文明展を日本で開催しようと決めてから今日まで4年かかった。
・オルメカ文明は、マヤ文明よりもずっと古く、紀元前1500年頃から約1000年に渡って栄えていた文明である。
・オルメカ文明は、メキシコ湾岸沿いで発展した。
・特徴的な遺物として、オルメカ・ヘッドが挙げられる。現在までに、オルメカの文明圏では17基が発見されている。
・オルメカ・ヘッドは一つ一つ顔立ちや表情が異なっていることから、モデルがいることは確実だと言われている。
・オルメカ・ヘッドは、当時の球技の選手が身につけていたヘルメットのようなものを装着していることから、当時の球技の選手をモデルにしていたのではないかと言われている。
・当時の球技は神事でもあり、また、負けた人は生け贄とされたということも伝わっているので、球技の選手はすなわち王である可能性がある。
・オルメカの顔の特徴は「への字口」である。
・オルメカ・ヘッドを見て「懐かしい感じ」(芝崎氏は、一クラスに一人はいた「ゴリ顔」と表現していた。)を受ける人もいる。オルメカ文明を築いた人々と、日本人とは、その祖先を同じくするモンゴロイドであり、遺伝的にも非常に近いことが判っている。
・オルメカ・ヘッドは、メキシコでは「約2t」と言われてそのつもりでいたら、日本に持ってきたら約4tもあり、サンシャインシティの文化会館7階にある古代オリエント博物館に展示することはできなかった。本物は京都文化博物館では展示し、オルメカ文明展が終わった後もそのまま展示している。
・古代オリエント博物館にあるオルメカ・ヘッドは写真計測して本物どおりに作ったレプリカである。
・オルメカ文明からマヤ文明に受け継がれたものの一つに「球技」があり、オルメカではゴムのボールが出土している。当時と同じ作り方で作ったボールを展示し、触れるようにしてあるので、持って、重さを感じ、弾み方を試してもらいたい。
・オルメカ文明においてはピラミッドも建てられたが、後のマヤ文明とは異なり石ではなく土で作られたため、メンテナンスが行き届かなくなるとあっという間に形が残らなくなってしまった。
・オルメカ人たちは、紀元前400年頃からその活動の一切を止めてしまった。マヤの人々が現在もグアテマラに多く住んで文化を伝えているのに比べると、忽然と歴史から姿を消しており、(「謎」という言葉で片付けたくないとは南氏が強調されるところだったけれど)謎といえば、オルメカ文明の方が深い。
・オルメカでは都市遺跡も発掘されているが、エル・マナティといって、当時は湖にぽっかりと浮かんだ島であったろう場所にある遺跡がある。そこは、いかにも神聖な場所と感じられる泉があり、神事が行われていた場所であろうと思われる。
・エル・マナティでは、胎児(乳児だったかも)の骨も発見されている。
・オルメカの人々は、「頭蓋変容」といって、小さな子どものうちから板で挟むなどして頭蓋骨を上に長く伸ばすようなことをしていた。
・頭蓋骨を伸ばした子どもはシャーマンとして大切にされ、大人になって「神と話す」神官の役目に就いたと考えられる。
・オルメカでは、洞窟を模した穴から神官が出てこようとしている石彫が発見されており、その神官は恭しく差し出すように子どもを抱いている。オルメカでは、洞窟は死の世界と考えられており、洞窟から出ようという神官は生死の世界の境目にいると考えられていた。
・オルメカの人々はジャガーを「ジャングルで食物連鎖の頂点に立つ動物」と考えており、もちろん恐れもしただろうけれど、そのパワーを取り込んで支配に役立てるという発想も持っていた。
・ジャガーは、「雨の神」として崇められもしていた。
・メキシコに行くと、ハナグアもイグアナも普通に存在していて、イグアナなど膝の上に乗ってきたりする。

 等々。
 多分(というか確実に)もっとたくさんのお話があって、1時間が短く感じられたくらいだったのだけれど、思い出せないのでここまで。
 トークショーの最後にジャンケン大会が開催され、芝崎みゆき氏の著書(サイン入り!)や、オルメカ文明展の図説などが勝者にプレゼントされていた。
 最初のジャンケンで常にあいこになって敗北していた私はちょっと悲しかった。 

 そのまま、古代オリエント博物館に向かった。
 入場料は1400円(大人)である。
 グッズ売場を通り過ぎ、ジャガーのいるジャングルを抜けると、真正面に件の「オルメカ・ヘッド」が鎮座ましましていた。
 デカイ。
 異様は迫力である。首もなく、本当に頭だけがにょっきり生えている感じは、トークショーで見せていただいた写真でイメージできていたものの、実物がそこにあるというのはまたインパクトがある。

 パネルで歴史的背景や、地理的背景等々が説明されているところは、ざっとナナメ読みし(申し訳ない)、最初の展示コーナーである「第1章 人々と自然」のコーナーに進んだ。
 主に自然界のものをモチーフにした土器や、当時の人々をモデルとした(と思われる)人形のようなものが展示されている。鳥形の土器など、ぱっと見て判る感じで「鳥(アヒルっぽいと思った)」の形をしている。私が作ったら、こんなに一目で鳥と判る形にはならないだろうなー、と思う。

 のんびり見ていたら(トークショー直後ということもあってか、結構、混雑もしていた)、トークショーに出演されていた南氏のギャラリートークが始まったので、そちらにこっそり混ざることにした。
・オルメカ文明の時代は、日本でいうと縄文時代に当たること。
・新大陸原産でかつ新大陸の人々が穀物として品種改良等々育てた食べ物は、非常に多いこと。
 プロローグのパネル展示の辺りで覚えている説明はこれくらいなのが我ながら非常に情けない。

 再び戻って来た第1章のコーナーで、「アーモンドかしら」くらいに思っていた縦長の「植物型土器」がカボチャを模したものだと聞いて驚いた。
 カボチャやジャガイモなどを「食べるための」植物にしたのは新大陸の人々だというお話はあったけれど、そうか、カボチャも元々は縦長で食べるところは少なかったのねと納得したのだった。
 「昆虫型石彫」を見て、「蟻みたい」とおっしゃった方がいらっしゃり、南氏は「足が8本あるので昆虫ではないですね。蜘蛛だろうと言われています」と丁寧にお返事されていた。「だったら昆虫型石彫ではあるまい」などと性格の悪いことを考えていたのは、きっと私だけだったに違いない。

 「第2章 神と王様」のコーナーは目玉展示が満載で、南氏の説明にも力が入っていた。
 「半人半獣神像(ジャガー神)」は大きさもあって、なかなかの迫力である。やはり、ジャガーのパワーを取り込むという考え方の一つとしてこうした像が造られたのだろう。実は私は、どこがジャガーの部分なのか判らず、ギャラリートーク終了後にもう一度戻って説明書きを読んだところ、口を大きく開けた様子と、その大きく開けた口から覗く牙がジャガーを彷彿とさせるということだった。
 また、「会議に集まる人々」もなかなかインパクトのある展示物である。レプリカなのが惜しいのだけれど、頭を長くした裸の人々が立ったまま、神官(一際頭が長い)を中心に集まり何やら話し合っているように見える。というか、話し合っているように見えるように配置されて発見されたそうだ。

 翡翠の遺物もいくつか展示されている。
 翡翠を大切にするというのは、マヤの時代にも受け継がれている習慣(というか、考え方?)で、マヤの時代はモザイクのように翡翠で仮面を形作っているけれど、オルメカでは1枚の石から仮面を削りだしているのだそうだ。
 石の質は前に見たマヤのマスクの方が良かったように思うけれど、姿は断然オルメカの方が美しい。「本当は触ってみてもらいたいんですけど」と南氏がおっしゃるように、見るからに滑らかでつるつるしている。ろくに道具もなかっただろうに、どうやってこんなに美しく磨いたのか、技術の高さを感じる。
 何しろ、目だって口だってくりぬかれているのだ(鼻の穴が開いていたかどうかまでは、覚えていない・・・)。

 マスクよりも細工は簡単そうだけれど石の質は良さそうな「翡翠の斧」も展示されていた。
 斧といっても、ヘラというか、おひな様のお内裏様が持っている奴(名前を忘れた・・・)のような形をしている。そして、たくさん見つかっている石斧(材質としては、翡翠や蛇紋岩、黒曜石などだそうだ)に使われた形跡はなく、神事用に作られたのではないかということだった。
 確かに、線彫りで模様も彫られている。
 また、翡翠や、道具として非常に貴重だった堅い黒曜石はオルメカの文明圏で産出されないのだそうで、オルメカの人々が交易に出かけ、例えばカカオなどと交換していたことが判っているということだった。

 第3章 聖なる池のコーナーの展示物が一番多かったような気がする。
 トークショーでも話のあったエル・マナティ遺跡の遺物というか出土品が主に展示されている。
 頭が長く変形した子ども(だったかどうか記憶が定かでない)の木製の人形があり、湖に浮かぶ島のような湿っぽい場所でよく木製人形が今まで残っていたなと驚く。何となく、すぐ腐ってしまいそうではないか。

 天然アスファルトで覆って握りやすいようにされた黒曜石の石斧に使われた形跡がないというのは意外だった。祀るためだけであれば、黒曜石だけの方が光るし綺麗だし相応しいように思うのだけれど、どうしてわざわざ天然アスファルトで覆ったのだろう。
 同時に、木彫に天然アスファルトを塗るとか、天然アスファルトで固めるとかしたら、随分と長持ちしそうだよななどということも考えた。

 かなり大きな翡翠に刻まれたジャガー神の顔もインパクトがある。
 頭にV字型の切り込みが入っている理由について様々に説があるそうだけれど、生まれたばかりの赤ちゃんの頭を模しているのではないかという説に何だか説得されてしまった。子どもが随分と大事にされた(大事にされると生け贄にされたり、頭を変形させられたりしたみたいなので、大事にされたいかと考えるとされたくはないが)ようなので、何かの象徴にもなったというのはイメージしやすい。
 また、ジャガー神の顔の四隅と頭のてっぺんにはとうもろこしだと考えられる模様が彫られている。
 オルメカは灌漑を行わなかった文明だそうで(だったら、どうして水路があるんだろうという疑問もあるのだけれど)、主食であるとうもろこしを植えた後は、天任せで雨降りを待つだけだったのだという。
 ジャガーも雨の神だし、とうもろこしも雨が必要だし、「尊い物」オンパレードのような神像である。

 エル・マナティは神事が行われていた場所だから別としても、その他のオルメカの遺跡も川に囲まれた場所にあったというし、そもそも、オルメカ文明の地は雨が多くて湿っぽい場所だったというお話も聞いていたので、どうして「雨の神」が重要だったのかしら、などと阿呆はことを考えてしまった。
 どっちかというと、雨ばっかり降って植物が逆に育たないから、どうか晴れてくださいという神事があったという方がしっくりくる。
 物を知らないと妄想は広がるのである。

 ゴム球の本物も展示され、翡翠の石斧が花びら状に並べられて埋められていた様子を再現した展示もあった。
 その他、土器などもたくさんあったのだけれど、土器で一番インパクトがあったのは、何と言っても「ベビー・フェイス」である。
 悟った仙人のような、小憎らしい悪魔のような顔をしているのに、どうして「ベビー・フェイス」なのかというと、体つきなどの全体のフォルムが幼児体型だから、ということらしい。でも、どう見てもかわいらしさなどカケラもないし、別の名前で呼んでもらいたいと思ったのだった。

 ギャラリートークに熱が入りすぎて、時間が押していたようで、第4章 交流と拡散のお部屋は本当に素通りに近い感じで通り過ぎた。
 このお部屋も、ヘビが浮き彫りされた石彫(これが結構大きい。でも、幾何学模様っぽいので、今ひとつヘビらしくないと思った)や、笑顔の土製仮面(2つあるうちの1つの翡翠の仮面も笑顔に見えるのだけれど、こちらは更に顔を崩して笑っている)、頭に記号のある土偶(これもベビー・フェイスで、後頭部にバツ印が彫られていて痛々しい)など、かなりインパクトのある物がたくさんあったのに、解説をお聞きできなかったのは残念である。

 そして、エピローグとしてもう一度マヤの世界に話は戻る。
 オルメカとマヤを結ぶ太い糸というよりもヒモが「暦」なのだという。
 2012年12月23日(南氏によると、23日なのか24日なのか、微妙な部分があるらしい)に世界が終わりになるか、何やら区切りが付くマヤ歴の始まりは、マヤ文明など発生もしていない昔に設定されているのだそうだ。それで、ちょうどマヤ歴の始まりの頃に文明があったオルメカで使っていた暦が引き継がれたのではないかという説が出ているという。
 ここでも、「でも日本だって紀元が2600年なんて言っていたし」などと天の邪鬼なことを考えたのもきっと私一人だったに違いない。

 ここで、1時間(当初は30分の予定と聞いたような気もする)のギャラリートークは終了した。
 楽しかった!

 この後、もう1回、よく見ることができなかった展示物を見るために一周し、かつ、やっぱり魅せられてしまった翡翠のマスクを堪能した。
 オルメカ・ヘッドの小さい物(でも、人間の頭よりはだいぶ大きい)を被って記念写真を撮れるコーナーがあり、大きな鏡も置いてあって「一人で来た方もどうぞー」という心遣いを感じたのだけれど、やっぱり一人で被って一人で鏡に向かって写真を撮る気力・根性はともになかったのでパスした。
 同じコーナーに、ゴム球があるのは無事に発見し(ケースの中に入っているけれど、穴があってそこから手を伸ばして触ったり落としたりすることができる)、そちらは重さに驚き(あの重さのボールを蹴ったら、球技の選手の足は腫れ上がっていたに違いない)、重さの割にちゃんと弾むことに驚いた。

 そんなこんなで、「謎が多い」オルメカ文明は、想像や妄想を膨らませる余地が山ほどあって、この「古代メキシコ・オルメカ文明展-マヤへの道」」も、トークショーやギャラリートークのおかげで何倍も楽しむことができた。 

 グッズコーナーでは、芝崎みゆき氏のサイン会が行われていて、もの凄く丁寧にサインされたりお話をされたりしている様子が窺えた。
 著書(「古代マヤ・アステカ不可思議大全」「マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅」)をまだ購入していなかったら、ここで買ってサインもしてもらったのにと、ちょっと残念だった。

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2010.11.07

「図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖」を見る

イキウメ「図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖」~“食”についての短篇集
作・演出 前川知大
出演 浜田信也/盛隆二/岩本幸子/伊勢佳世
    森下創/窪田道聡/緒方健児/大窪人衛
    加茂杏子/安井順平/板垣雄亮
観劇日 2010年11月6日(土曜日)午後1時開演
劇場 シアタートラム D列8番
上演時間 2時間15分
料金 4000円

 ロビーでパンフレットは販売されていなかったような気がする。
 過去公演のDVDと、過去公演をノベライズした小説などが販売されていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 イキウメの公式Webサイトはこちら。

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