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20th Anniversary Special「LOVE LETTERS ラヴ・レターズ」
作 A.R.ガーニー
訳・演出 青井陽治
出演 ユースケ・サンタマリア/永作博美
観劇日 2010年12月14日(火曜日)午後7時開演
劇場 パルコ劇場 L列30番
上演時間 2時間5分(15分の休憩あり)
料金 5000円
ロビーでは、20周年記念パンフレットや、役者さん達が舞台上で読んでいる「ラヴ・レターズ」の本が販売されていた。
また、恒例のようにロビーの壁面には、これまで出演したカップルの写真が飾られていた。
ネタバレありの感想は以下に。
舞台上には、ちょっと座り心地の良さそうな、しかしソファではない椅子が2つあり、その間に水差しが置かれたテーブルが配されている。
椅子の後ろには黒の衝立が置かれている。
役者2人が座る椅子を中心に、四角く照明が当てられている。
シンプルな舞台だ。
それなのに「祝祭」というイメージなのは何故だろう。
この舞台は、一度読み合わせをするだけで、特に事前に稽古をすることはないのだと聞いたことがあるように思う。
だから、余計に演じる役者さん2人の個性というのか「行き方」が前面に出てくるような気がする。
私は、上杉祥三と長野里美、佐々木蔵之介と中嶋朋子、松尾スズキと大竹しのぶのカップルを見たことがあって、今回が4回目だ。
4回見た中では、今回はちょっと違う感じだったように思う。毎回違うといえばそれまでなのだけれど、やはり「ちょっと違う」と感じた。
ユースケ・サンタマリアは、黒のシャツにグレーのベストとパンツ、永作博美は、ふわっストンとした膝丈のワンピースにカーディガンを羽織ってショールも巻いていた、ような気がする。
実は、2幕の始めに「あれ、1幕目の永作博美はどんな衣装だったっけ?」と考えて思い出せなかったのだ。
2人が両袖から出てきて、一礼する。
そのときから、ユースケ・サンタマリアは両手を順番にカクカクとした動きで腰骨に当ててから一礼して、客席と永作博美から軽く笑いを取る。
ここで小ネタを発揮した人は初めて見たし、椅子に座るなり水差しの水を飲んだ人も始めて見たような気がする。間が持てなかったのか、永作博美まで水を飲んだのが何だか可笑しい。
アンディを演じるユースケ・サンタマリアは「いい姿勢」をキープして、恐らくはかなり「間」を意識して淡々と読んで行く。
一方の、メリッサを演じる永作博美はかなり感情豊かである。高い声を出したり小声になったり体の動きというか上半身の触れ方も大きい。アンディが少し長い手紙を読んでいると、本を膝の上に落として体がナナメになったりするのも自然なのか演技なのか判らないのだけれど、あれっ、という感じである。
もっとも、アンディの方も、メリッサが少し長い手紙を読んでいると、またもや水を飲んだりしていた。
大竹しのぶも「メリッサに似合っている」と思ったけれど、永作博美もやはりハマリ役である。
でも、「いいえ、いいえ、はい、いいえ」(だったかな?)のところの読み方で、私は実は長野里美が一番好きだったりする。
15分間の休憩を経て、後半である。
永作博美は多分ショールを外してきた(と思うけれど、この時点ですでに1幕の衣装を覚えていなかったのは前に書いた通りである)。ユースケ・サンタマリアは上着を着て三つ揃いのスーツ姿だ。
この2人は、読んでいる手紙の印象というかイメージ・感情に合わせて読み方や声が変わるけれど、年齢の変化を声で出そうとはしていなかったと思う。
敢えて言うと、ユースケ・サンタマリアの方が終盤に向かって少しずつ少しずつ声を小さくしていっていたような気がする。完全に気のせいかも知れないのだけれど、何だかどんどん消え入るようになってきたな、と思ったのを覚えている。
後半が始まって、2人とも意外なくらい声を変えて来なかった。
ずっと座ったままの舞台で、50年近くにわたってやりとりした手紙を読むという形の舞台なのだから、年齢の変化を表すには衣装と声を帰るのが手っとり早いと思うのだけれど、2人とも「後になって考えると、多少、低音にしたかも知れない」というくらいの変化しか声には頼っていなかったと思う。
このカップルは意外なくらい「静かな」アンディとメリッサの50年間を見せてくれたように思う。
往復書簡の終盤、客席からも鼻をすする音が聞こえていたけれど、舞台上の永作博美も涙を流しているようだった。
確かに最後の頃のメリッサは、上院議員になっていたアンディとの不倫が世間にバレてしまい、その中で選挙に臨んで当選したアンディはメリッサに「これ以上、一緒にいてもお互い得るところはない」と言って別れようとし、そうされたメリッサはとうとう「自分の手綱を手放して」しまい、入院することになる。
お見舞いに行こうとするアンディを、今のような姿を見られたくないと力一杯拒絶する。
でも、こうしたシチュエーションにあるメリッサを演じていて泣くというのが,実は私にはよく判らない。
泣くということは、メリッサが泣きながら書いた手紙だという解釈なのではなく、感極まってその手紙を書いたメリッサの心情に同調して思わず泣いてしまったということだと思うのだけれど、そもそも、そこから私の見方が違っているのだろうか。
それはそれとして、何だかこの「ラヴ・レターズ」という舞台を見て、4回目にして初めて、アンディって嫌な奴なんじゃないかと思ったのが、我ながら意外だった。
そして、恐らくはメリッサは自殺したのだろう。
最後、メリッサの母親に宛てた手紙を読むアンディに応えているのは、もう亡くなっているメリッサである。
この、恨みがましくないメリッサが悲しい。
カーテンコールの1回目だったか、2回目だったか、舞台上で2人は何やら小声で相談していたのだけれど、ユースケ・サンタマリアが永作博美の頬に軽くキスをして、ガッツポーズを取っていた。微笑ましいと思えれば楽しいのだけれど「流石だぜ」とその演出力というか、アピール力に感心してしまった。
なかなか楽しい2時間ちょっとだった。
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コメント
なおみ様、コメントありがとうございます。
どうしてこのカップルを選んだのか、ですかぁ。
何となく、なんですが。
何というか、私の中のアンディとメリッサに近い感じということもあるし、舞台で拝見したことのある役者さんの方が安心感があるということもあるし、カップルのバランスというか似合っているお二人かどうかということもあります。
すみません、上手く言えません。直感です(笑)。
カーテンコールのお二人のやりとりはそういう意味だったんですね。
教えていただいてありがとうございます。納得。
このカップルはお二方ともなかなか可愛らしかったですよね。
投稿: 姫林檎 | 2010.12.19 11:15
こんにちは。
姫林檎さんも私と同じカップルをご覧になったのですね。
なぜこのカップルを選んだのですか?
私は昔っからユースケさんのファンなので。もう10年以上かも。しかもこのカップルの1回目の時は見れなかったので。
カーテンコールのキスは、1回目の時は永作さんからユースケさんへのほっぺのキスだったらしいですよ。見てないけれど。
今回もユースケさんがキスして貰おうとほっぺを突き出していたけど、永作さんが「2回目なんだから、今度は私のほっぺに」みたいなジェスチャーをしていましたよね。ユースケさんが「いいの?」みたいに確認していたのが面白かったです。
投稿: なおみ | 2010.12.17 12:27
あるーいのん様、コメントありがとうございます。
あらら、同じ劇場に同じ時間にいらしたのですね。ふふふ。
どこかですれ違っていたかも知れませんね。
Love Letters、ぜひ他のカップルの上演も見てみてください。楽しいです。
そして、また違った感想が浮かぶのではないかと思います。
何年か前(かなり前です)、どこかのカルチャーセンターで、青井陽治氏が講師になってこのLove Lettersを取り上げ、最後にミニ発表会での上演を目指すというコースがありました。
うわー、行って見たいと思いましたが日程が合わずに断念した記憶があります。
いつか再開されたら行って見たいものだと今でも思っています。
興味ありますよね、ね?
本があれば、とりあえずLove Lettersごっこができますよ! 私の場合、一緒にごっこをやってくれる相手を探すのが大変ですが・・・。
購入して一人で(泣)音読したことはある私です。
投稿: 姫林檎 | 2010.12.16 23:23
姫林檎さま
な〜んと、同じ日にLove Lettersを観ていたのですね!
わたしもブログに感想を書きましたが....
同じものを観ていたとは思えない記述に、改めて脱帽致しました。
とはいえ、あ〜、こういうリーディングドラマもあるんだなあ....と
ユースケサンタマリアの表情を観ながら思いました。
読みきかせ、といったほうがしっくりくるような?
だから、ちょっとうるっときたのかも?
あ、私事ですが、むか〜しおつきあいした方が
彼にそっくりだったもので。
何はともあれ、ぜ〜ったいに他のカップルも観てみたい!と
思いました。
初めてのLove Letters。おもわず本を買いそうになり
2000円越えの価格に躊躇して、結局買わなかった
私の心の狭さが、なんとなく物悲しさを誘った後味でした.....
またおじゃましますね。
あるーいのん
投稿: あるーいのん | 2010.12.16 16:44