「愛と青春の旅だち」を見る
宝塚星組公演
レビュー「宝塚花の踊り絵巻」−秋の踊り−
作・演出 酒井澄夫
ミュージカル「愛と青春の旅だち」
脚本・演出 石田昌也
観劇日 2010年12月1日(水曜日)午後6時30分開演
劇場 東京宝塚劇場 2階1列39番
料金 8500円
上演時間 3時間(35分の休憩あり)
生涯2回目の宝塚である。
グッズ売り場に初めて足を踏み入れたけれど、これが広いし、グッズの充実度ももの凄い。「**監修」と、当代のトップの方々が監修したというアクセサリやハンカチ、ボールペンなどが並んでいる。もちろんパンフレットもあるし、生写真や「宝塚」の雑誌もバックナンバーまで揃っている。
そして、買っている方々の熱気も凄い。そこだけ冷房が欲しかったくらいだった。
ネタバレありの感想は以下に。
この公演は、友の会優先という公演で、逆に私のような一般客からは敷居が高かったのか、2階の左右に空席が目立っていたのが意外だった。
宝塚の通常の公演は、芝居を先に、レビューを後に上演するらしいのだけれど、今回は、レビューが日本物だったためレビューの方が先に上演された。概ね45分から50分くらいだったろうか。
よく判らないのだけれど、日舞を基本にした踊りで、当然のことながら全員が白塗りに和装である。
連れて行ってくれた方によると、歌舞伎で振り付けをされている方を招いて振付けてもらったらしい。
ずっと踊りが続くのかと思っていたら、そういうわけではなく、どちらかというと人情物というのか世話物というのか、道行き風の芝居と殺陣が大部分を占めていたように思う。
ただでさえ慣れていない私は顔と名前が一致していないので、白塗りされてしまうとますます見分けがつかない。
連れて行ってくれたお二人はずっと前から定期的に見ていたり、友の会に入ったりしているくらいだから、もう出てきただけで「**ちゃんだ」と判るらしい。「立っているだけでオーラが違う」と言われたのだけれど、申し訳ないことによく判らなかった。
「日舞の動きじゃなくてバレエの動きになっている」という感想も、私には見分けがつかないのだけれど、恐らくは、腰が高い人が多かったという意味ではないかと思う。
舞台衣装ももちろん派手だし、セットもかなり派手である。これはもう「非日常」を味わうしかないという感じだった。
このレビューの一番の見どころは、全員が大きめの扇を持って踊るシーンだと思う。2階の最前列といういい席を取ってもらっていたこともあって、舞台全体の動きがよく見える。
全員が一斉に扇を操り、最後は中心に集まってポーズを取る。そこの揃いっぷりが見事だった。
ついでに書くと、2階最前列の中央というのは、役者さんが最後に見得を切ったときに視線を送ることが多いらしく、ファンにはたまらない席ということになるようだ。確かに、目が合った、と思った瞬間が何度かあった。
後半の芝居(というかミュージカル)は、「愛と青春の旅立ち」だった。
いかにも宝塚向きの芝居なんだろうと思わせるタイトルだけれど、映画を見たことがなかったので、どんなストーリーなのかさっぱり知らないまま見に行った。
予備知識として持っていたのは、アメリカ合衆国が舞台で、海軍がポイントということだけだ。最初のシーンがいきなりフィリピンだったので混乱してしまい、そこに付いて行くのが大変だった。
ストーリーとしては、ザックと呼ばれる青年は、海軍のジェット操縦士になるために13週間にわたるブートキャンプに参加することになり、そのブートキャンプを舞台に恋と友情の物語が展開される、ということのようだ。
13週間も「鬼軍曹」のしごきに耐え、一人また一人と脱落していく中で残ったメンバーが結束して行くのはよく判る。
一方で、13週間ごとに「卒業すればエリート決定」の若者たちが入れ替わり立ち代りやってくるのだから、そりゃあ、周りにいる女の子たちは騒ぐに決まっている。
この舞台設定が全てと言ってもいいくらいだ。
舞台の大半はそのブートキャンプであるので、カーキ色の訓練着がメインの衣装になるから、見た目はかなり地味といえば地味である。そこを、「士官候補生」ということで外出時に紺色の制服を着てみたり、最後には白の士官の正装を着て卒業したり、バリエーションを付けている。
綺麗な衣装と豪華な舞台が宝塚の最大の売りだという風に思っているので、「愛と青春の旅立ち」は宝塚の舞台に似つかわしくない、という感じもする。
逆に、階級(と言ってしまってはいけないのかもしれないけれど)が目に見えるという点で、軍と宝塚とは実は近しいのかなという感じもした。物語の中の階級の差だったり訓練の厳しさだったりは、宝塚という組織とオーバーラップする、ような感じがした。
そうした私のいい加減な感想はともかくとして、「愛と青春の旅立ち」という舞台は、ストーリーを楽しむのではなく、「格好いい!」「可愛い!」というのを楽しむのが正しい鑑賞方法なんだろう。
それから、主役のザックを励ますべく、タカラジェンヌが扮した男役の面々がチアガールに女装して励ますというシーンは、激しく倒錯していて、何故かきちんと笑いも取っていて、見どころだったなぁと思う。
ミュージカルの前にレビューが上演されているので、ミュージカルが終わって幕を閉じてそれで終わりでは寂しいということなのか、ミニ・レビューがあった。大階段はあったけれど、羽根は背負ってなく、あくまでもミュージカルのおまけ、という位置づけのようだ。
それでも、カンカンがあったり、ドレスとタキシードのダンスがあったりして、やはり華やかである。
やはり宝塚は誰かのファンになって、その格好良さにうっとりし、成長したり出世したりする姿に目を細めるというのが王道なんだろう。
そういう方向に私は行けそうにないのだけれど、でも、普段接することのない華やかな世界をどっぷり堪能した。
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コメント
>せっかく、しっかり読んでいただいたのに、大したことが書いていなくてすみません。
いえいえ、参考になりましたよ。
>感想が同じテンションではなかったときにちょっと困ってしまうのが難でしょうか。
自分は自分、違う感想だった場合は、それも尊重すべきでしょうね。
ところで、朝海ひかるさん、僕は3人の舞台「ローマの休日」で間近に見て魅せられ、「エリザベート」も良かったですし、そして今度の舞台「おもひでぽろぽろ」は昨日発売でしたがゲットしました。 (^o^)
これから結構予定がありますが一番楽しみかも知れません。
投稿: 逆巻く風 | 2010.12.05 16:30
逆巻く風さま、コメントありがとうございます。
せっかく、しっかり読んでいただいたのに、大したことが書いていなくてすみません。
おっしゃるとおり、たまに友人と自分からは見ないだろうものを見に行くのも楽しいですよね。
毎週末見ていると、日程調整が厳しいのと、感想が同じテンションではなかったときにちょっと困ってしまうのが難でしょうか。
確かに、宝塚出身で舞台で活躍されている女優さんは多いですよね。
私は、ベタですが、天海祐希さんが格好いいと思います。
朝海ひかるさんは、最近、ミュージカルの舞台に立っていらっしゃいませんでしたか? 拝見したことはないですが、チラシで彼女の名前を最近見たように思います。
投稿: 姫林檎 | 2010.12.05 13:20
珍しく(笑)しっかり読ませていただきました。
たまには一人でなく、そしてあまり好みでもないのを観るのもいいんじゃないですか?
宝塚・・・僕もあまり観ませんね~。確か劇場で観たのはたった1回、しかも何かのついでに観たものです。そんな宝塚、ミュージカルではそこ出身の役者さんは欠かせませんね。現役時代はほとんど知らないんですが、皆さん凄いキャリアの持ち主なんでしょうね。
そんな中僕が今大注目なのは朝海ひかるさんです!
ひょっとしてご存知ですか?
投稿: 逆巻く風 | 2010.12.05 09:27