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2011.01.03

「2010年の5本」を選ぶ

 2010年のうちにやっつけてしまう筈が(別に誰に頼まれているわけではないけれども)、下書きのまま眠らせてしまったのだけれど、とにかく私の「2010年の5本」を選んだ。

 2010年に見たお芝居は57本59公演(「薔薇とサムライ」と「ザ・キャラクター」を2回ずつ見ている)だった。2009年よりも5本増えたことになる。

「お代り」@THEATRE 1010 2010.1.31
 再演を重ねている同じラックシステムの「お正月」の裏バージョンである。
 その「家」は次々と住人が入れ替わって行くのだけれど、隣に住む管理人のおばさんが折々に差し入れてくれる「黒豆」がこの家の120年を紡いでゆく。
 ウエルメイドなお芝居の決定版、と言えよう。
 そして、このお芝居を観て「母は強い。けれど、女も強い」としみじみと思ったのだった。

「ジェットの窓から手を振るわ」@ザ・スズナリ 2010.8.7
 4人の40代の女の日常と突破口を描こうというお芝居だから、それは(少なくとも私にとっては)痛いに決まっている。
 さて、私は彼女たちのうち誰に似ているのだろう、ロハスなあゆこかキャリアの渡瀬かどちらかだろうか、とあり得ない2択を真面目に考えている自分が謎だった。ちょっと考えねば、というのと、いや淡々と暮らして行くのだって大変なんだよ、というのと、両方ともあるということだろう。
 千葉雅子作、木野花演出が、どこまでも正攻法で登場人物を(つまりは観客を)追い詰める中、逃げているんじゃないか、つまらなくなったんじゃないか、臆病になったんじゃないかと詰り遭う女たち(主にあゆこと渡瀬)を見ながら、定年まであと半分あるんだよなー、としみじみと思いを馳せた。

「さらば八月のうた」@紀伊國屋ホール 2010.8.8
 あえて一言で言うと、ラジオ番組に届いた「この歌のレコードをお婆ちゃんに聴かせてあげたい」というメールの、「この歌」の正体が解き明かされていくお芝居である。
 そして、マキノノゾミがどこかで「最後に、あぁ、そうだったのか! と手を打てるお芝居が面白いお芝居と言われるんだ」みたいなことを書いていた(という記憶が私にはあったようで)、まさにその台詞を地で行くお芝居だった。
 これまた、ウエルメイドなお芝居の決定版、である。
 そして、劇団M.O.Pの最後の公演なのが悲しい。でも、同窓会をやってもいいし、ということなので、楽しみに待とうと思う。

「W〜ダブル」@ル・テアトル銀座 2010.8.28
 このお芝居のチラシは、橋本さとしを挟んで中越典子と堀内敬子が睨み合っていてとにかく格好良かった。橋本さとし、堀内敬子、コング桑田と揃っていたので「ミュージカルか?」とも思ったのだけれど、真っ向勝負のストレートプレイだった。
 そして、最後の大どんでん返しに向かって、そうとは気付かせずにハラハラドキドキさせながら、とにかく全力疾走!
 橋本さとしのダメ男兼色男の嫌な奴ぶりと、堀内敬子の豹変振りに引っ張られた。

「図書館的人生Vol.3 食べもの連鎖」@シアタートラム 2010.11.6
 短編集と銘打ってあり、4つの短編は「続き物」ではなくて、もしかして少しずつ位相のずれたパラレルワールドという設定だったのかも知れないと思う。
 不老不死を求めることの空しさだとか、必然性のない殺生をしてはいけないだとか、そういうことは、このお芝居が語りたいことではなく、では何がこのお芝居の語りたいことなのかといえば、多分、どうしてこの芝居のタイトルが「図書館的人生」なのかという問いの答えがその鍵なのだと思う。
 とりあえず、時にあざとく、グロテスクに表現しつつ、やっぱり爽やかに色々な「食」と「職」を考えさせる「上手い」お芝居だったと思う。

 ここに挙げた5本以外で特に迷ったお芝居はこんな感じである。

「富士見町アパートメント(Bプログラム)」@座・高円寺 2010.3.7
「薔薇とサムライ~GoemonRock OverDrive」@赤坂ACTシアター 2010.4.17
「2人の夫とわたしの事情」@シアターコクーン 2010.5.15
「黙阿弥オペラ」@紀伊國屋サザンシアター 2010.7.30
「抜け穴の会議室 room no.002」@パルコ劇場 2010.12.25

 ここには挙げなかったけれど、歌舞伎に2回、宝塚に2回行っているのが、私としては2010年の「新しい」ところである。

 今年もたくさんの楽しいお芝居を見られますように!

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コメント

 逆巻く風さま、コメントありがとうございます&新年あけましておめでとうございます。

 そして、ごめんなさい。
 逆巻く風さんのベスト5に、私が見たお芝居は入っていませんでした・・・。
 やはり、ミュージカルが多いのですね。

 もしかしたら、今年も見たお芝居はあまり重ならないかも知れませんが、でもでも、ぜひぜひよろしくお願いいたします!

投稿: 姫林檎 | 2011.01.04 22:02

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
さてさて、昨年のベスト5ですか、こういうのって誰のでも興味深々ですね。姫林檎さんが上げた中では、「黙阿弥オペラ」「二人の夫と私の事情」「W~」の半分、を見ました。
重なるのがあって良かった・・・・(^^)
ちなみに僕のベスト5は、(聞いてない、なんて言わないでください (^^;
「ローマの休日」「エリザベート」「余命1カ月の花嫁」「キャンディード」「ワンダフル・タウン」といったところです。
今年の初観劇は今週末になりそうです。

投稿: 逆巻く風 | 2011.01.04 17:06

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「2010年の5本」を選ぶ う。 「Wダブル」@ル・テアトル銀座 2010.8.28 このお芝居のチラシは、橋本さとしを挟んで中越典子と堀内敬子が睨み合っていてとにかく格好良かった。橋本さとし、堀内敬子、コング桑田と揃っていたので「ミュージカルか?」とも思ったのだけれど、真っ向勝負のストレートプレイ 節分 の回です。 ちょっと気になったのは、その18時の回の出演者の方々…。 出演予定者(18時) 稀勢の里 水夏希 堀内敬子 沢田知可子 ミス府中他 ... [続きを読む]

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