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2011.06.27

「ベッジ・パードン」を見る

シス・カンパニー公演「ベッジ・パードン」
作・演出 三谷幸喜
出演 野村萬斎/深津絵里/大泉洋/浦井健治/浅野和之
観劇日 2011年6月26日(日曜日)午後1時開演
劇場 世田谷パブリックシアター 2階A列2番
料金 9000円
上演時間 3時間5分(15分の休憩あり)

 <このブログがご縁でチケットを譲っていただき、見ることができました。感謝!>

 ロビーでパンフレットが販売されていたけれど、値段や内容等はチェックしそびれてしまった。

 終演後、カーテンコールを呼ぶ拍手に対して、二度三度、「重ねてご案内いたします。本日の公演は・・・」とアナウンスが入ったのはちょっと楽しかった。

 シス・カンパニーの公式Webサイト内、「ベッジ・パードン」のページはこちら。

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2011.06.25

「雨」を見る

「雨」
作 井上ひさし
演出 栗山民也
出演 市川亀治郎/永作博美/梅沢昌代/たかお鷹
    山本龍二/石田圭祐/酒向芳/山西惇/植本潤 ほか
観劇日 2011年6月24日(金曜日)午後6時30分開演
劇場 新国立劇場中劇場 1階10列56番
料金 7350円
上演時間 3時間30分(20分の休憩あり)

 ロビーはかなり賑やかで、題材に合わせて紅花がたくさん並べられて写真コーナーが作られていたり、ラ・フランスを使ったメニューがカフェにあったり、山形地方の旅行情報等々があったり、井上ひさしの遺品が展示されていたり、蕎麦の種やラ・フランス味のラスクが配られたりして、まるでお祭りだった。
 でも、それがいい感じだったと思う。

 パンフレット(800円)等が販売されていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 新国立劇場の公式Webサイト内、「雨」のページはこちら。

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2011.06.23

「キネマの天地」の抽選予約に申し込む

こまつ座第95回公演「キネマの天地」
作 井上ひさし
演出 栗山民也
出演 麻実れい/三田和代/秋山菜津子/大和田美帆
    木場勝己/古河耕史/浅野和之
2011年9月5日~10月1日 紀伊國屋サザンシアター
料金 7350円

 「キネマの天地」って、映画は見たことがないのだけれど、とにかく有森也美というイメージがある。
 
 抽選予約に申し込んだ。

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2011.06.22

「奇ッ怪 其ノ弐」の抽選予約に申し込む

現代能楽集VI「奇ッ怪 其ノ弐」
作・演出 前川知大
出演 仲村トオル/池田成志/小松和重/山内圭哉
    内田慈/浜田信也/岩本幸子/金子岳憲
2011年8月19日~9月1日 世田谷パブリックシアター
料金 S席 6500円 A席 4500円

 「イキウメ」のファンとしても、この芝居は見てみたい。

 抽選予約に申し込んだ。

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2011.06.19

「ヒア・カムズ・ザ・サン」を見る

演劇集団キャラメルボックス 2011ハーフタイムシアター「ヒア・カムズ・ザ・サン」
脚本・演出 成井豊
出演 阿部丈二/西川浩幸/大森美紀子/岡内美喜子
    三浦剛/渡邊安理/多田直人/小林千恵
観劇日 2011年6月17日(金曜日)午後8時30分開演
劇場 サンシャイン劇場 1階10列21番
料金 4000円
上演時間 1時間10分

 「水平線の歩き方」に引き続いて見た。

 ネタバレありの感想は以下に。

 演劇集団キャラメルボックスの公式Webサイトはこちら。

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2011.06.18

「水平線の歩き方」を見る

演劇集団キャラメルボックス 2011ハーフタイムシアター「水平線の歩き方」
脚本・演出 成井豊
出演 岡田達也/岡田さつき/前田綾/左東広之
    小多田直樹/井上麻美子/鍛冶本大樹/原田樹里
観劇日 2011年6月17日(金曜日)午後7時開演
劇場 サンシャイン劇場 1階10列21番
料金 4000円
上演時間 1時間5分

 久しぶりに出かけたキャラメルボックスの舞台である。
 ロビーでは、修学旅行生らしい制服姿の高校生(中学生ではないような気がする)を多く見かけた。

 そして、ロビーの賑やかさは相変わらずで、たくさんのグッズが販売されていた。役者のコメントが載ったチラシ(フライヤー、が正しいのか?)が以前は全員に配布されていたのだけれど、今回はフォトブックと銘打って1冊1200円で販売されていたのが少し寂しい。

 開演5分前くらいに、ロビーで「6時56分から場内でちょっと面白いことが行われます。早めに席にお着きください」と叫んでいて、あら上手いと思いつつ席に着いたら、劇団員による注意事項のアナウンスが行われた。
 「面白いこと」ではないような気もするのだけれど、どうなんだろう。
 そして、客席を明るくした上で、あのしつこいまでの「携帯電話の電源を切りましたか」「今一度確認をお願いします」「どうもありがとうございます」の波状攻撃は、上演中に携帯電話の着信音をならさないという命題に対しては非常に有効な方法だとは思うのだけれど、電源を切るべき携帯電話を持っていない身からすると非常にいたたまれない。

 ネタバレありの感想は以下に。

演劇集団キャラメルボックスの公式Webサイトはこちら。

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2011.06.16

「ノバ・ボサ・ノバ」を見る

宝塚星組公演
ミュージカル・ショー「ノバ・ボサ・ノバ」-盗まれたカルナバル-
作 鴨川清作
演出 藤井大介
ロマンティック・ミュージカル「めぐり会いは再び」-My only shinin’ star-
    ~マリヴォー作「愛と偶然との戯れ」より~
脚本・演出 小柳奈穂子
観劇日 2011年6月14日(火曜日)午後6時30分開演
劇場 東京宝塚劇場 1階18列57番
料金 8500円
上演時間 3時間(30分の休憩あり)

 生涯3回目の宝塚である。
 星組公演は、2010年末に続いて2回目だ。

 ネタバレありの感想は以下に。

 宝塚歌劇の公式Webサイトはこちら。

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2011.06.12

「TRAIN-TRAIN」の抽選予約に申し込む

LEMONLIVE vol.8 「TRAIN-TRAIN」
作・演出 斎藤栄作
出演 
BOY'S VERSION
 遊井亮子/半海一晃/みのすけ(ナイロン100℃)
 植本潤(花組芝居)/浅野雅博(文学座)/山本芳樹(Studio Life)
GIRL'S VERSION
 山本芳樹(Studio Life)/円城寺あや/星野園美/野口かおる(双数姉妹)
 前田綾(演劇集団キャラメルボックス)/遊井亮子 
2011年7月16日~7月27日 下北沢駅前劇場
料金 4500円

 LEMONLIVEも作・演出の斎藤栄作の作品も多分まだ見たことがないのだけれど、この出演者陣と2バージョンあって交互に上演というような企画ものに私は弱いのである。

 抽選予約に申し込んだ。

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2011.06.11

「盟三五大切」を見る

コクーン歌舞伎 第十二弾 「盟三五大切」
劇作・脚本 四世鶴屋南北
演出・美術 串田和美
出演 中村橋之助 / 尾上菊之助 / 中村勘太郎ほか
観劇日 2011年6月11日(土曜日)午後0時開演
劇場 シアターコクーン 平場席F列6番
上演時間 3時間10分(20分の休憩あり)
料金 13500円

 コクーン歌舞伎のときは、ロビーのカフェのメニューが充実する。歌舞伎「らしさ」を強調する意味があるのだろう。このときだけは客席での飲食も可になる。
 そして、グッズ売場も歌舞伎座からちょっとだけ出張して来るようでこちらも充実していた。うちわを見てかなり迷ったけれど、購入しなかった。やっぱり買えば良かったかなぁ。

 平場席は初めてで、ネットで検索したところ「座布団1枚プラスアルファのスペースに、脱いだ靴も置かなくてはならない」という風に書いている方がいらしたので、とにかくバッグも小さく荷物も少なくした。これが正解だったと思う。

 前半の1時間10分でお尻がもの凄く痛くなったので、後半は(反則かもしれないのだけれど)座布団を半分に折り、その上で体育座りをした。

 ネタバレありの感想は以下に。

 シアターコクーンの公式Webサイト内、「盟三五大切」のページはこちら。

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2011.06.05

「ダージリン フェスティバル 2011」に行く

会場「ダージリン フェスティバル 2011」
2011年6月3日〜5日 池袋サンシャインシティ 文化会館
ルピシアのサイト内、「ダージリン フェスティバル 2011」のページはこちら。

 今年で第6回を迎えた、ルピシアのダージリンのファーストフラッシュの大試飲会に行ってきた。
 今年は、食べ物(スコーン、ピカタサンド、汁なし担々麺などなど)のコーナーが増え、試飲もダージリンのファーストフラッシュ以外にも日本茶の新茶や、中国のお茶(台湾のお茶もあったようだけれど、4日の午後にはすでに売り切れてしまっていた)、ニルギリやアッサムなども試飲できるようになっていた。
 また、チャイやティーバッグ、ジャムや蜂蜜、中国茶器等々、ダージリン・ファーストフラッシュ以外のコーナーがかなり充実しているように感じた。
 昨年は、ルピシアの自由が丘本店で開催されたので、比較すると会場の面積が段違いに広くなっているから、余計にそう感じたのかも知れない。

 6月4日14時30分〜15時の優先入場券を持っていたので、時間ぴったりに入口に到着するように向かった。
 入口で、オマケのお茶のミニ缶2つと、お茶請けとしてクッキーとドライフルーツが合わせて5つ入った袋を渡される。入口では行列はほとんどなかったけれど、入ってみれば大盛況だ。

 ちなみに、昨年まではフェスティバルの帰りにもらうチケットを見せればルピシアのショップで10%引きになりますということだったけれど、今年は、フェスティバルへの参加の有無にかかわらず、ショップ全体で10%引きでお買い物ができるようだった。

 今回は会計に工夫がされていて、試飲の小さな紙コップの横に注文票のカードが置かれ、その注文票を持ってまずはお会計に向かう。支払いが済むとナンバー入りの控えが渡されて、出口近くでその控えと商品を引き換えるという方法だ。
 これだと、会計をしながら商品を集めるというタイムロスがなくなり、年々進化しているなと感心してしまった。

 残念だったのは、冷めてしまった試飲のカップが多かったことだ。
 やはり、会場に入れる人数に限りがあるので、お盆に並べた小さい紙コップが熱いうちに全部はけるということはないようだ。
 紅茶はやはり熱いときに飲んだ味と冷めてからの味は全く違うので、何度か飲み直す羽目になった。
 
 会場は大混雑で、試飲してみたい紅茶の入れたてに当たるのはなかなか難しい。結局うろうろと90分も歩き回り、飲みまくってしまった。
 そうして選んだのは以下の4つの紅茶だったのだけれど、ソウレーニはお会計に向かったときには既に売り切れてしまっていた。残念である。

1117 グームティ 1800円
1126 ラングムック 1300円
(1131 ソウレーニ 1800円)
1192 ダージリン・ファーストフラッシュ2011 フラワリー 1800円

 ちなみに、2010年のラインアップは以下のとおりである。
 
1013 マーガレッツホープ 2800円
1092 ダージリン・ファーストフラッシュ2010 フラワリー 1800円
1081 タルボ・ムーンストーン 2200円
1018 ピュグリ 2000円
1019 ミリクトン 1200円
 
 ちなみに、2009年のラインアップは、以下のとおりである。

1105 ノーストゥクバー 2500円
1111 ミム 1700円
1114 ドゥーテリア 1500円
1116 ナムリン 1500円
1135 ピュグリ 2200円

 ピュグリ、マーガレッツホープ、ミリクトン辺りは何だか「お馴染み」な感じがして意識的に避けたところがある。また、今年はかなり厳格に「50g2000円以内」という自分ルールを適用した。
 この自分ルールがなければ買っていただろう、今年試飲した中で一番美味しいと思った紅茶は、リシーハット・ホワイトリリーだった。

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2011.06.04

「黒い十人の女~version100℃~」を見る

NYLON100℃ 36th SESSION「黒い十人の女~version100℃~」
オリジナル脚本 和田夏十(映画『黒い十人の女』市川崑監督)
上演台本・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 峯村リエ/松永玲子/村岡希美/新谷真弓
    植木夏十/安澤千草/皆戸麻衣/廣川三憲
    藤田秀世/吉増裕士/眼鏡太郎/みのすけ
    中越典子/小林高鹿/奥村佳恵/緒川たまき他
観劇日 2011年6月3日(金曜日)午後6時開演
劇場 青山円形劇場 Eブロック20番
上演時間 3時間10分(10分の休憩あり)
料金 6900円

 ロビーでパンフレット等を販売していたけれど、開演の割とぎりぎりの時間に劇場に到着したのでチェックしそびれてしまった。

 ネタバレありの感想は以下に。

 NYLON100℃の公式Webサイトはこちら。

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2011.06.01

特別展「写楽」に行く

写楽展 今日(2011年6月1日)、東京国立博物館で開催されている、特別展「写楽」に行ってきた。

 2011年4月以来、今年になって3回目の美術館へのお出かけである。しつこいようだけれど、もう少し頻繁に出かけたいものだ。

 この写楽展は、惹句として「役者は揃った。」とあるように、現在、存在が確認されている写楽の浮世絵のうち、4点を除く全てが集められたところがまず第一の特徴だろう。
 もっとも、写楽の浮世絵は木版画なので、刷りましもかなり行われているらしく、微妙な修正の入ったその2枚を一つの絵と数えるか二つの絵と数えるか、絵師が描いた土台は帰られていないのだからやっぱり一つと数えるのか、その辺りを考え始めると訳が判らなくなってくる。
 実際、展示には、扇に描かれた日の丸の中に「松」の字を入れたけどよく読めなかったので、次に刷るときには日の丸は色を載せないでおきました、というような「刷りの違い」を強調した展示も行われていた。

 写楽展の構成は、出品目録によると「写楽以前の役者絵」「写楽を生み出した蔦屋銃三郎」「写楽の全貌」「写楽とライバルたち」「写楽の残影」に大きく分けられている。
 実際には、歌舞伎の役者絵を中心に写楽と他の絵師(主には、歌川豊国と勝川春艶)が同じ役者が同じ役を演じている絵をどう描いていたかという比較の展示が先に、その後、刷りの違いや保存の違いを見せる展示があった。
 そして、会場を変えて、写楽の浮世絵を時系列で追いかける展示が再び始まる、という構成だったと思う。

 写楽の絵はやっぱり、デビュー作である役者大首絵28図が白眉である。
 寛政6年5月に上演されていた歌舞伎に材をを取った絵たちだ。
 大きめの画面に余りにも有名すぎる黒雲母刷りの背景、そこに大胆にデフォルメされた大きな顔と小さな手を持つ役者の似顔が描かれる。それまでの役者絵が「役」を描いていたのに対し、写楽は「役を演じている役者」を描いている。
 そして、写楽の絵が決して「似顔絵」ではない証拠に、写楽の描いた役者絵はその多くが役者の顔が絵の中心には描かれていない。前のめりになっているか、目の前の空間が空いているか、そのどちらかなのだ。

 そういうわけで、私の思う写楽の代表作は「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」だし、この絵のイメージが写楽の役者絵のイメージである。
 そのイメージで見ると、意外と写楽の役者絵は地味なのだ。
 元々、ナントカの改革の真っ最中辺りに始まった企画だから、線もシンプルに色数も抑えて「贅沢品じゃありません」と宣言しつつ作られたものらしいのだけれど、それにしても、私の頭の中にあった写楽の役者絵に比べて、実物の何と地味なことか。
 恐らくは、実物が地味というよりも、私の中のイメージが膨らみすぎていたのだと思う。我ながら、思い込みとは恐ろしいものである。

 黒雲母と「写楽の役者絵の贅沢の象徴」のように言われている背景も、角度を様々に変えて見なければ、単なる濃いグレーにしか見えない。
 役者の顔は、何だか妙にのっぺりして見える。
 暗い背景からガッと飛び出しそうな印象の絵がある一方で、闇ともいえない中途半端な暗がりに沈んでいるように見える絵もある、ような気がする。
 そして、例えば、髪の毛の処理が絵によってかなり違っていて、毛先の一本一本の隙間まで背景をきちんと描き込むというか色を載せているものがあるかと思えば、大ざっぱに人物の輪郭を抜いて毛先の間は紙の色が見えて残っています、という感じの絵もある。この辺りは、絵師というよりは、彫り師や摺り師の技術や気合いの入れ方の違いなんだろうか。

 女形の絵が思っていたよりも繊細だったことには驚いた。衣装なども、立ち役たちよりはずっと細かく描き込まれているような気がする。
 そして、色目も華やかである。
 言われてみれば、というくらいで、確かに他の絵師の絵よりは男っぽいようにも見えるけれど、言われなければ気がつかなかったような気がしなくもない。江戸の人たちはきっと今よりもずっと暗い中で役者を見ていたのだろうから、女形はかなり女の人に見えていたんじゃないだろうか。役者絵は意外と「実は芝居小屋では見えなかった役者の顔」を見せてくれる、という感じの位置づけだったのかも知れないなどと思う。

 二期の作品は、寛政6年7・8月に上演されたお芝居を描いた作品群である。大首絵はきっぱりと姿を消し、全身像ばかりになっている。
 背景が消されている辺りが、他の絵師の絵との違いだろうか。
 とにかく、見るとまず「小さい!」と思う。絵のサイズ自体が小さいのだ。大首絵よりも小さいサイズの紙に全身が描かれているから、顔だけ比べたら1/30くらい?(適当だけれど)という感じのサイズだ。もう、サイズだけでとにかく迫力が1割くらいに減ってしまっている。
 そして、多分、背景から雲母もなくなっている。紙の地色のままではなかろうか。
 さらに、地味である。

 寛政6年11月、閏11月に上演された芝居を描いた第三期になると、背景が描かれるようになり、これまた彫りや刷りの問題なのかも知れないのだけれど、手間に描かれている人物の方はやけにベッタリとした印象になっている。正確に言うと、面積の大きい衣装の部分がベッタリした感じになり、ますます顔の印象が薄くなっている。ように思える。
 この辺りは、少し前に見たテレビ番組の影響で、「東洲斎写楽」ではなく「写楽」と落款の入ったものは、本物の写楽が描いたモノではないのではないか、という刷り込みが私の中にあったせいもあるのだけれど、何だか普通になってしまったようで面白くないのだ。

 四期になるとさらにこの傾向に拍車がかかっているように思われる。背景が連続した続き物など見ていて楽しくはあるのだけれど、一度「面白くない」という刷り込みに捕らわれてしまうと「小手先な感じ」という感想から抜け出られなくなってしまった。
 2時間近くここまでかかっているので、いささか疲れてきていたためということもある。

 テレビ番組といえば、瞳の形で性別や年齢を表すという能面の技法を取り入れているという話が頭の隅に残っていたので、ときどきじーっと近づいて目とにらめっこしたのだけれど、結局、私には「四角い瞳に描かれた役者絵」を見つけることはできなかった。

 大混雑だったけれど、少し前後させれば一番前でじっくりと絵を見ることもできたし、何だかんだで2時間近くもうろうろしてしまった。一周して、写楽のデビュー作を並べた部屋の椅子でぼんやり座って眺めていた時間が長かったかも知れない。
 少し離れたところからぼーっと見ていると、やっぱり、こちらに押してくるような絵と、背景のように沈む絵がある感じがして、それも面白かった。

 写楽展はミュージアムショップも充実していて、ついつい、色々と買い込んでしまった。
 とても手が出せるお値段ではなかったのだけれど、役者大首絵を再現した複製も販売されていて、そこには「保存状態がいい」と展示されていたものよりもはるかにくっきりとした役者絵があった。

 そういえば、保存状態がいい(浮世絵には植物性の絵の具が使われているので、非常に褪色が激しいのだそうだ)として展示されていたもののいくつかには、所蔵場所の説明がなかった。「個人蔵」とも書かれていなかったのだけれど、恐らくは、個人の方のコレクションなんだろう。写楽の絵が自宅にある(いや、自宅で保管しているかどうかは判らないのだけれど)というのは、どういう心持ちがするものなんだろうか。
 写楽展に来ていない写楽の作品の写真が4点展示の最後にあって、ボストン美術館に秘蔵されているもの、今現在日本国内を回っているボストン美術館展で展示されているもの、戦前に撮られた写真でだけ存在が確認されているもの、あと一点は行方不明という説明だったろうか。
 わずか10ヶ月の活動期間、浮世絵という性質とそして人気のあったことからたくさんの「本物」が残されている、そういう条件が揃っても「残る」のは難しいのだなという風にも思った。

 話は戻って、写楽展のミュージアムショップは品揃えも豊富でなかなか楽しかった。
 役者大首絵全ての「目鼻」を並べた模様が気に入って、手ぬぐいとクリアケースと迷った挙げ句、手ぬぐいを購入した。
 人いきれもあってかなり疲れたのだけれど、でも、やっぱり、楽しかった。

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