「ZED」を見る
シルク・ドゥ・ソレイユ「ZED」
作・演出 フランソワ・ジラール
観劇日 2011年10月12日(火曜日)午後7時開演
劇場 シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京 J23列95番
料金 9500円
上演時間 1時間40分
大分前のことになってしまったけれど、ZEDを見に行って来た。
専用劇場だけあって、かなり広めのグッズショップがロビーにしつらえられていた。
また、客席内での飲食が許されていて、ファストフードのカウンターもかなり余裕をもって作られていたと思う。
季節柄なのか、修学旅行生らしい集団をかなり見かけた。最近の修学旅行は贅沢になったものだと、お年寄りみたいなことを考えてしまった。
ここに書くために作・演出を調べたら、つい先週に見た「猟銃」の演出家と同一人物だった。
こういうご縁は(あるいは偶然かも知れないのだけれど)嬉しいものである。
通常なら書く「ネタバレありの感想は以下に」の文句を書かなかったのは、ネタバレできるほど内容が判らなかったからである。
声をかけてもらったときには「洗練されたサーカスを見に行くのね」と思っていたのだけれど、以前にも見たことがある人から「ストーリーがあるんだよ」「予習しておいた方がいいよ」と言われ、公式サイトでストーリーを確認してから出かけた。大まかにストーリーは判っていた筈なのに、見始めると、結局どんなストーリーなのか途中からは完全に意識しなくなっていた。
舞台上には大きな日記帳なのか、鍵付きの大きな本が置かれている。
舞台背景の全体をブルーの布が覆っている。
しばらく客いじりをしていたクラウン2人がその本を開き、不思議な世界が開かれた本から飛び出してくる、そういう幕開けである。
舞台全体を覆っていた布を一気に床下に吸い込む演出にも、客席から「おぉー」というどよめきが上がっていた。
この「ZED」は10年間のロングランを打つ予定だったそうなのだけれど、大幅に上演期間を縮めて、2011年一杯で終了することが既に発表されている。
劇場はほぼ満席だったけれど、それは修学旅行生がかなり多くの部分を占めていたからでもあって、確かに経営的には厳しいのだろうなという印象はある。
一つ一つの技というかパフォーマンスという言葉の方が似合うのだけれど、とにかく素晴らしい。
プロは、失敗できない、失敗しないという厳しさの中で毎日公演に出演しているのだな、ということを強く感じた。
おぉ! と思わず声を上げてしまうほどの技が次々と披露されるし、気がついたら息を呑んで、息を止めて見入っていたことも数知れない。
ある意味で、肉体の高度な限界を見ている感じがする。
でも、正直にこっそりと言うと「凄く楽しい」とは言えない、のである。
少なくとも、私はリピーターにはならないと思う。
こんなに凄いことが目前で展開されているし、息を止めて見てしまうほどの集中力が自然に引き出されているし(それは開演前はかなりざわざわしていた修学旅行生すら水を打ったように静かにさせる力だ)、思わず拍手していることも多かったのに、何故、そういう感想になるんだろうと考えてしまった。
未だによく判らないのだけれど、もしかして言葉が通じないというところが結構大きかったんじゃないかと思っている。
普通のサーカスではありません、ストーリーを追って行くのです、というコンセプトを強調するのであれば、日本語で上演するのが一番である。ストーリーはあります、でも、あまり気にしないでください、というスタンスは結構ストレスになるものである。
これが、例えばたまに挟まれるクラウンの寸劇や、朗々と響かせて歌っていたソロの歌詞が日本語で、その意味が届けられていたら、このフラストレーションからは解放されるし、ストーリーを追うというコンセプトをより魅力的にできるように思う。
繰り返すけれど、クラウンの客席の集中力を反らせない演技も、例えば空中ブランコやジャグリング、綱渡りやチームで行われるバンキンという技など、初めて見る演技も多い。どうしてそんなことができるんだ! と思わず詰問したくなるくらいの技が惜しみなく披露される。
凄かったし堪能した。
でも、もっと面白くなれる。そういう感想を持ったのも本当なのだった。
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