公開講座「ウズベキスタン・スザニ刺繍の世界」に行く
麗澤オープンカレッジ「ウズベキスタン・スザニ刺繍の世界」
講師 金丸良子 麗澤大学外国語学部教授
講演日 2011年11月26日(土)午前10時から
場所 麗澤大学生涯教育プラザ1階
少し前のことになるけれど、麗澤オープンカレッジで開催された 「ウズベキスタン・スザニ刺繍の世界」という展示及び講演に行ってきた。
展示は、講師の金丸教授がウズベキスタンで購入してきたスザニを中心とした内容になっていた。
その他、マルギランのアトラス織りや、リシタンの陶器、ウズベキスタンの民族衣装なども展示されている。こういう広い(というほど広くはなかったけれど)場所で見ると、私が購入したものなどは非常に大人しくかつ平凡で、濃い地に大胆な刺繍が施された作品に目を奪われる。
講演は、ウズベキスタンやスザニ刺繍についてというよりも、金丸教授がウズベキスタンに興味を持った経緯や、その底にある学問手法や思いについての話がから始まった。
金丸教授の専門は中国で、しかし漢民族の生活に入り込むということは非常に難しかったため、ベトナムから中国南部に暮らすミャオ族の研究を行っていたのだそうだ。
その流れで、2010年以降ウィグル族の研究を始めたという。
金丸教授曰く、中国研究で一番怖いのはのめり込みすぎてしまうことで、相手が大きすぎるためにこちらはフル回転せざるを得なくなり、結果として「騙された」ということになりがちである、それを避けるための一つの方法として、中国内外のあちこちと比較することでバランスを取ることである。
ウズベキスタンに目を向けたのも、この「バランスをとる」ためという意味もあったらしい。
ウズベキスタンに何回も行かれていて、そのときのスライドを映しながらの解説があった。
スザニを買うときには、バザールではゆっくり見られないので、店を出している人の自宅や倉庫に連れて行ってもらうといいとおっしゃる。今回、展示されていた作品もそうして買い集めたものだそうだ。
アフガニスタンから中国にかけてザクロの図柄が多く用いられているのは、子孫繁栄のシンボルと考えられているからだという。
その他、印象に残っている話は(私のメモなので、あまり正確ではないかも知れないけれど)、以下のとおりである。
・カメラ・フィーを支払えば博物館等々での写真が撮り放題になるというのは、ロシアと同じやり方である。
・アトラス織りのS字の模様はヘビを表しており、魔除けの意味がある。
・マルギランの織物工房は、ホータンのそれよりも機械化が進んでいた。
・フェルガナ地方に行くためにはカムチック峠のトンネルを抜けるしか道がないので、そこがテロに狙われやすい。
・最近、ウズベキスタンに出かけた際に、ウズベク人から「(自分たちは)ロシア語で世界とつながっている」「ロシア語を学ばなければ国際化はできない」という言葉を聞いた。中央アジア全体で、最近、ロシア語回帰が進んでいるように思われる。
・ウイグル人とウズベク人の違いは、ラグメンを箸で食べるかフォークで食べるかの違いである。
・サマルカンド・シルクペーパーの工房を訪れた際、漉いた紙をザクロの皮で染めていた。
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