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2012.09.16

「特別展 ドビュッシー 、音楽と美術 ー印象派と象徴派のあいだで」に行く

先日、母に招待券をもらって、ブリジストン美術館で2012年9月17日まで開催されている、「特別展 ドビュッシー 、音楽と美術 ー印象派と象徴派のあいだで」に行ってきた。

 これを書き始めてから気がついたのだけれど、今日(2012年9月16日)のNHK Eテレ9時からの「日曜美術館」でこの展覧会が取り上げたらしい。できれば20時からの再放送で見たいけれど、多分、母とチャンネル争いで負けるだろう。ちょっと残念である。

 ドビュッシーは今年生誕150年なのだそうだ。
 私の、もの凄く単純化した理解だと、そのことを記念し、ドビュッシーと同時代に活躍し交流のあった印象派の画家たちの作品、ドビュッシーが唯一作曲したオペラの衣装スケッチ、ドビュッシーも興味を示していたらしいジャポニスム等々を集めた美術展の開催となったようだ。
 入館してみて混雑振りにびっくりし、最初のうちはふらふらと眺めていたのだけれど、ここはやはり音声ガイドが必要だろうと思い直して途中で借りに戻った。ラフマニノフやドビュッシー自身が弾く曲がBGMに使われていて、ここはやはり借りて正解だったと思う。ドビュッシー自身が解説するという構成になっていたのも楽しい。思わず「これは想像だから! ドビュッシーがそう思っていたかどうかは判らないから!」と自分に言い聞かせながら聞いてしまった。

 ちなみに、このイヤホンガイドで使われている曲は以下のとおりである。
   交響詩「海」より「海の夜明けから真昼まで」
   「管弦楽のための夜想曲」より「雲」
   「子供の領分」より「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」(セルゲイ・ラフマニノフ演奏)
   「牧神の午後への前奏曲」
   「歌劇「ペレアスとメリザンド」第3幕より「私の長い髪が」(クロード・ドビュッシー演奏)
   「映像 第1集」より「水の反映」

 全10章構成になっており、ドビュッシーという音楽家をテーマに持ってきてこんなに多方面から美術を語れるのだなというところに驚く。
 それと、ドビュッシー本人も含めて写真が結構出展されていることにも驚いた。ドビュッシーは1862年に生まれて1918年に亡くなっており、その頃から写真が普通に普及していたのか、それともドビュッシーという人が当時から評価され経済的に恵まれていたということなのか、どちらだろう。
 写真だけでなく、肖像画や彫像も残されていて、ドビュッシーはかなり自分好きな人だったに違いないと勝手に思ったりした。

 ドビュッシーには、画家アンリ・ルロール、作曲家エルンスト・ショーソン、高級官僚アルチュール・フォンテーヌという3人の仲間というか支援者がおり、彼らの縁で同時代の芸術家達との親交を深めていたらしい。
 ルノアールが描いたルロールの娘姉妹の肖像、その絵の背景にはドガの描いた絵が掛けられている。彼女らとドビュッシーがともに写った写真もあるし、ドビュッシーが生涯手元に置いて飾っていたというカミーユ・クローデルの彫像もある。
 何というか、ドビュッシーの音楽は当時「革新的」とされて敬遠される空気もあったようだけれど、トータル、とても豊かな環境で豊かな創作活動をしていた人なんだな、という印象だ。

 ドビュッシーが詩からインスピレーションを得て作曲したり、ドビュッシーが作曲した「牧神の午後への前奏曲」はニジンスキーが「牧神の午後」というバレエ作品に仕上げたりしている。
 そうした流れを追うことで、何というか、ドビュッシーという音楽家もそうだし、ドビュッシーという音楽家を産み育てた当時の状況を「美術」の面から見せようという意図がよく伝わる。
 そして、それが例えばモネの描く海の絵だったり、エミール・ガレのガラス作品だったりするので、印象派好きの私には非常に親しみやすく感じるのだ。
 逆に、ドビュッシーの親友だったというマニの絵を見ても、ちょっとミュシャ風でちょっとモディリアニ風かしら、などという感想しか浮かばないのが申し訳ない限りだ。完全に、私が名前で絵を見ている証拠だろう。

 ジャポニスムという点では、ドビュッシーが作曲した曲の表紙に北斎の富嶽三十六景の一枚を使っていたり、ドビュッシーが端っこにメッセージを書いて友人に贈った浮世絵があったり、本当に好きだったんだな、身近にあったんだなということが判って面白かった。
 ドビュッシーの机の上にあった木製の蛙の文鎮(日本製)は、旅行するときにも持ち歩いたらしいし、机の上には蒔絵が施されたシガレットケースもあったようだ。これがダンヒルの製品だとイヤホンガイドが言っていたから、やっぱりドビュッシーは裕福な暮らしをしていたのだろう。
 しつこいようだけれど、この展覧会から一番強く受けた印象がこれだったのだから仕方がない。

 実はあまり期待していなかったのだけれど、かなり楽しめる美術展だった。
 ちゃんと勉強してから行けば、さらに楽しめるような気もするし、イヤホンガイドの語るドビュッシー自身の案内に乗って見て回るのもまた楽しいと思う。

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