「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル 」を聴く
「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル 」
演奏 ヨーヨー・マ(vc)/キャサリン・ストット(Pf)
曲目 ストラヴィンスキー: イタリア組曲
ヴィラ=ロボス(ホルへ・カンドリ編曲): アルマ・ブラジレイラ
ピアソラ(ヤマモト・キョウコ編曲): オブリビオン
グアルニエリ(ホルヘ・カンドリ編曲): ダンサ・ネグラ
ファリャ: 7つのスペイン民謡
休憩
メシアン: 『世の終わりのための四重奏曲』から第5楽章「イエズスの永遠なることへの頌歌」
ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 op.108 (チェロ編曲版)
アンコール
エルガー:愛の挨拶
マリアーノ:クリスタル
ガーシュウィン/ハイフェッツ:プレリュード
サン=サーンス:白鳥
公演日 2012年11月11日(日曜日)午後3時開演
場所 サントリーホール 1階18列24番
料金 19000円
公演時間 2時間5分
ヨーヨー・マのチェロとキャサリン・ストットのピアノのリサイタルに行って来た。
去年もヨーヨー・マは来日しているのだけれど私は行かなかったようで(この辺りから既に記憶が曖昧である)、4年ぶりのヨーヨー・マだったことに自分で驚いた。
4年前と同じ、キャサリン・ストットと2人のステージである。
ヨーヨー・マはスーツにネクタイ、キャサリン・ストットはオレンジ色の鮮やかなノースリーブのブラウスに黒いパンツという衣装だ。
かなり不確かな私の耳には、出だしのイタリア組曲では、チェロの音がくぐもって聞こえた。ピアノのどちらかというと尖っているようにすら聞こえる音と比べると、負けそうなくらいだ。
続く3曲は、南米の作曲家の曲だ。ヴィラ=ロボスとグアルニエリはブラジルの作曲家、ピアソラはもちろんアルゼンチンの人だ。
ロビーで販売されていたCDの中で、最新盤と歌われていたのは、2012年4月に行われたブラジルの音楽をテーマにしたライブの録音で、ヨーヨー・マの関心が今もブラジルに向けられていることが判る選曲だと思う。
この辺りから、チェロの音も少しずつ冴えてきたように思う。
スペイン民謡は、7曲連続だ。私のスペインの音楽のイメージは即フラメンコというミーハーさを一歩も外していないので、意外と穏やかな曲が続くなという印象だった。
民謡と言われると、泥臭いというか灰汁の強いというか、そういうイメージがあって、そこにスペインと言われると「哀愁漂う」というイメージがプラスされるのだけれど、そういう感じの曲ではないし、演奏でもなかった。「たゆたう」という感じが似合っていたと思う。
休憩は20分間。
後半の 『世の終わりのための四重奏曲』から第5楽章「イエズスの永遠なることへの頌歌」は、とにかく印象的な曲だった。
チェロはとにかく泣きっぱなしで震えているし、一方のピアノはひたすら一定のリズムで和音を刻んでいる。この単調な楽譜を、チェロが歌うのに合わせ、支え、ただの単調な和音の羅列にならないようにしかしうるさくないように弾くというのは、相当大変だろうと思うしかない。
ぐっと入り込んできたヨーヨー・マと、もの凄い筋肉を張らせて端正に弾くキャサリン・ストットの「人」が印象に残る曲だった。
プログラムの最後、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番をチェロ用に編曲した曲は、何故か私の耳には「ポップスみたい」と聴こえた。自分でも理由はよく判らないのだけれど、耳に馴染みやすいメロディ、柔らかな音からそういう連想が働いたのかも知れない。
しかし、それが少しずつ激しさを増して行って、最後の第4楽章では超絶技巧の激しい演奏が展開され、そしてバサっとその音楽が切り取られたかのように終わる。
盛り上がる曲だし、その曲に断然負けていない演奏だ。
そういえば、聴いていて、じーっとチェロやピアノを弾く手元を睨みつけるように見ながら聴いていたい曲(部分)と、目を瞑って耳からの情報だけで聴きたい曲や部分があるのはどうしてなんだろう。
アンコール4曲のうち3曲は4年前と同じである。アンコールにも定番があるんだろうか。それはやはり、耳慣れた小品を優雅に演奏して観客にクールダウンしてもらいたいという意図があるということなんだろうか。
ちなみに、4年前と比べて新たに加わった1曲は「マリアーノ:クリスタル」である。
そして、4曲目のアンコールに2人が登場したときには、流石に客席もおぉでもどぉでもなくざわめいていた。
今回も、クラシックをほとんど聴かない私にも楽しめる、のんびりゆったりたゆたった気分になれるコンサートだった。
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