「ア・ラ・カルト2 ~役者と音楽家のいるレストラン」 を見る
青山円形劇場プロデュース「ア・ラ・カルト2 ~役者と音楽家のいるレストラン」
演出 吉澤耕一
出演・劇作・脚本 高泉淳子
出演 山本光洋/本多愛也/中山祐一朗
中西俊博(vl) / クリス・シルバースタイン(b)
竹中俊二(g) /林正樹(p)
日替わりゲスト ROLLY
観劇日 2011年12月7日(金曜日)午後6時30分開演(初日)
上演時間 3時間5分(10分の休憩あり)
劇場 青山円形劇場 Fブロック21番
料金 6300円
ロビーでは、出演者陣の著作やCDなどが販売されていた。
また、休憩時間にソフトドリンク無料サービスとワインの有料サービスも健在である。
ネタバレありの感想は以下に。
初日ということもあってか、客席の開場が少々遅れたようだ。随分とぎりぎりまで調整が続いていたらしい。
今年も、音楽家4人をステージに集めるのではなく、舞台のすぐ横で少し低くなったスペースに音楽家達を配置している。
客席はほぼ満席。年末ということもあって、途中入場する方が結構たくさんいたように思う。
オープニングの印象がだいぶ違う。
といっても、どこが違うのかというのは上手く言えない。「皿投げ」がなかったことは確実に言えるのだけれど、さて、「あら、いつもと感じが違うわ」と思った理由は自分でもよく判らない。敢えて言えば、3人の男性ギャルソンの存在感が随分大きくなったということだろうか。
高泉淳子がクリスマスイブに振られて一人で来店し、アペリティフを飲むオープニングから始まる。
実は、彼女の衣装も結構楽しみで、特にオープニングのドレスというかワンピースは可愛らしいデザインのものが多くて特に楽しみだ。
そして、このシーンで語られるカクテルの蘊蓄もなかなか楽しい。と言いつつ、すでにどんなカクテルだったかすっかり忘れている。ラムにレモンジュース、だったような気もするけれど、名前は何だったろうか。
場面は変わり、タカハシが先輩となって、中山祐一郎演じる後輩のナカタくんを連れてくる。
今年はさらにバージョンアップして、職場の人々を誘って6人でワイン会を開催するらしい。時間通りに現れたのはタカハシとナカタくんだけである。先にワインを決めておこうと相談を始めるけれど、タカハシ先輩も己を理解したのか(笑)、予算だけ伝えてお任せという結論になるのが可笑しい。可笑しいけど、よくある話である。
どう考えても出演者の数が足りないから他のメンバーは現れないよなー、と思っていると、案の定次々とキャンセルの連絡が入る。さて、6人だからとシャンパンのボトルサービスをもらい、ワインも6人で飲むことを前提に注文してしまった2人が「果たしてお店のどうやって伝えるか」であたふたするのが最大の見どころである。
そして、もちろん、「予測していました」という落ちで終わる。
いつか、ナカタくんが気にしている新入社員のヒトミちゃんが現れることを期待したい。
次は、マダムの登場である。
高泉淳子演じるマダムが連れてきたのは、本日のゲスト、ROLLYである。
そして、このROLLYの衣装が凄い。シルバーのボディスーツといえばいいのか、体のラインがばっちり見える服に、黒っぽいふわふわというかガサガサというか、キラキラした飾りのついた立体的なストールを顔の周りにぐるぐる巻きにして、パッと見たときの印象は「宇宙人!」である。
マダムも唖然としていて、「普段は地味なのにねー」などと素のようなコメントをしているのが可笑しい。
お決まりの「お芝居は様々な方の協力を得て上演されています」という台詞も入り、「芝居を封印しているんだ」と言い張るROLLYもマダムには敵わずに、ア・ラ・カルト2恒例となった「メニューに台詞が書いてあるので即興芝居でよろしく!」のコーナーが始まる。
今回の新趣向は、「結末は2通り用意しました」ということで、赤いカードか青いカードかゲストが選べるらしい。
最初、「クリスマスだから」と赤いカードを選んだROLLYだったけれど、「ぜひ怒って言っていただきたい」と言う高泉淳子に対して、「これは言えない」と困惑顔である。青いカードも見せてもらい、「こっちなら何とか」ということで結末の台詞が決まったのだけれど、果たして赤いカードには何と書いてあったのか、知りたいものである。
宇宙人のまま始まったらどうしようと思っていたROLLYは地味な感じのスーツに着替え、もんじゃ焼き、お好み焼きと来て、今日はフランス料理で3回目のデート中、という男女らしい。
ゲストはメニューやワインリストに書かれた台詞を読み、高泉淳子はアドリブで芝居を進めて行くのだけれど、どうやら劇中の2人が「いいワイン」を選んでしまったために出されたワインが相当良かったらしく(という演技だと思うのだけれど)、2人してくいくいと飲み、その分、芝居がどんどんグダグダになって行く。
その前に、ギャルソンの中山祐一郎が上手くワインを開けられず、手間取っている間に、ROLLYが何故か「大阪府高槻市民」の話をして場を持たせる、というシーンもなかなか可笑しく、一度引っ込んで再び出てきた中山祐一郎が真面目な顔をして「大変感謝をしております」などと言っているのもさらに可笑しい。
青いカードに書かれていた台詞もなかなか良かったけれど(思いっきりネタバレだとは思うけれど書いてしまうと、大枠「3回も食事をすれば寝たのも同然」という趣旨の台詞だったと思う。もちろん、口説き文句である)、その後に続けた「我々はもう足せば100歳だ」という宣言もなかなか良かった。
もちろん、2人は区役所に直行である。躊躇している時間はないのだ。
ここで休憩が入る。
後半の始まりはショータイムである。
ギャルソン4人によるショーも、高泉淳子の歌も良かったけれど、ここの白眉は何と言っても、ROLLYの「OVER
the RAINBOW」である。
いや、ほんと良かった。
本人がおしゃべりのコーナーで「飲み屋の女将さんに、歌はいいけど芝居はダメねと言われた」と言っていたけれど、本当に何か感動的なくらい、陳腐な表現をすると「心に沁みる」歌だった。
ふわー、と思って聞き入ってしまった。
ここで盛り上がった後は、老カップルの登場である。
ここは続き物ではないようで、妻に先立たれて息子夫婦との同居も上手く言っていない男性を、フランス語で歌うコーラスグループに参加している女性が誘って食事に来た、という設定のようだ。
2人で大事そうに(でも、ちょっと急ぎ気味に)デザートをいただき、飲み物を飲んで、語っているその感じがいい。老夫婦とは違う、ちょっとスリリングな雰囲気もあって、楽しい。
そして、最初のシーンに戻る。
振られて一人でレストランにやってきた彼女の食事を堪能したようである。
お店も閉店の時間だ。
そこに、ROLLY演じる見知らぬ男性がやってきて、突然に「あなたがいなければどんな料理も味気ない」といっそ堂々と断言する。
「実は私の仕込みで、この台詞を堂々と言えたらシャンパンのプレゼントします企画です」と中山ギャルソンが山本先輩ギャルソンに囁く。
山本光洋は白井晃の雰囲気に近くなって「仕切る」感じが出てきたように思うし、ほとんど声を出していなかった本多愛也がしゃべったり歌ったり、いつもながらに優雅な動きを見せるのも楽しみになってきた。
そして、幕である。
クリスマスシーズンの風物詩、今年も見られて良かったと思う。
2014年度一杯で青山円形劇場は閉館する予定だという話だけれど、この空間がなくなってしまうのは寂しい。ぜひ継続してもらいたいと願わずにはいられない。
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コメント
しょう様、お久しぶりです&コメントありがとうございます。
クリスマスイブにア・ラ・カルト、素敵なひとときを過ごされたことでしょう。
そして、最初のカクテル、教えていただいてありがとうございます。私、何ひとつ当ててないですね(泣)。
年の瀬のこの素敵な時間をずっと味わいたいですよね。
他の劇場の空間で同じ空気を味わえるのかどうか・・・。
円形劇場がなくなってしまったとしても、ぜひとも続けていただきたいと私も思います。
投稿: 姫林檎 | 2012.12.28 22:38
お久しぶりです。
私は24日に見に行ってきました。
まず、最初に出てきたカクテルは、ピックミーアップ。
シャンパン、コニャック、オレンジジュースですね。
何杯もお代わりが出てきて可笑しかったです。
Rollyのゲストコーナー、私の時は赤いカードのお怒りバージョン。
台詞の内容は変わりませんでした。
いきなり怒り出して、あの台詞を言うんです。
でも、間が持たなくて2回位同じ台詞を繰り返していました 笑
彼の慣れない感じの台詞回しと、動きと、周りの共演者の芸達者振りの落差が楽しい場面ですよね。
その後の歌の時の堂々としたROLLYとは全く違うし。
今年も楽しみました〜。
2から見始めた私ですが、既にこれを見ないと年を越せない気持ちです。
それなのに、青山円形が来春で取り壊しなんて、、、悲
投稿: しょう | 2012.12.27 21:32