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2013.02.16

「ロックオペラ モーツァルト」 を見る

「ロックオペラ モーツァルト」
演出 フィリップ・マッキンリー
出演 山本耕史/中川晃教/菊地美香/AKANE LIV
    酒井敏也/コング桑田/湯澤幸一郎/北村岳子
    北原瑠美/上山竜司/栗山絵美/平田小百合
    鶴見辰吾/高橋竜太/大野幸人/青山航士
    田川景一/千田真司/永野拓也/橋田康
    東山竜彦/松之木天辺 /明日香/香月彩里
    清家とも子/塚越志保/丹羽麻由美/平井琴望
    松島蘭/松林篤美/キムラ緑子/高橋ジョージ/ほか
観劇日 2013年2月16日(土曜日)午後0時開演
劇場 東急シアターオーブ 2階4列4番
料金 12000円
上演時間 2時間45分(20分の休憩あり)

 ロビーではパンフレットやTシャツ、「ノートルダムの鐘」のチケットが販売され、ライブCDの予約受付が行われていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「ロックオペラ モーツァルト」 の公式Webサイトはこちら。

 山本耕史と中川晃教が交互にモーツアルトとサリエリを演じるという趣向の「ロックオペラ」である。
 私はロックも聴かないしオペラも見ないので今ひとつピンと来ていないのだけれど、電子楽器(という言い方がすでに古すぎるような気が・・・)と弦楽器を両方生演奏で持ってきて、歌い手もオペラの歌唱法の人とロック(なんだと思う、多分)の歌い方の人と、ついでにミュージカルっぽい感じになるときと、色々混ざっていたような印象だ。
 私のイメージだと、この2人がモーツアルトとサリエリを演じるなら、山本耕史がサリエリで中川晃教がモーツアルトなので、そちらのバージョンを選んだ。そして、正解だったと思う。

 サリエリが物語の語り手となり、サリエリとモーツアルトが出会う前、17歳でモーツアルトがザルツブルクを出るところから始まる。
 そして、ウィーンに辿り着くのは1幕の終わり(2幕の始まりだったかも)なので、実際、サリエリとモーツアルトが同じ時間、同じ空間にいるのは後半だけである。
 何て勿体ないんだろうと思ってしまう。
 そして、1幕目を見ているときは、これでもかというくらい中川晃教演じるモーツアルトが歌い踊っていて、「これは中川晃教一人勝ちだ」と思っていた。
 そして、中川晃教の歌声は一人勝ちオッケーな迫力というか、魅力があると思う。本当に楽しそうだし、声を張っているときの透明感も素晴らしいし、若い頃のモーツアルトってこういう感じだったのかもと思わせる。

 逆にいうと、これまたほとんどミュージカルを見ない私の勝手な思い込みかも知れないのだけれど、中川晃教と井上芳雄の二枚看板以降、ミュージカル俳優としてポンと飛び抜けている飛び出している若手の男性が見当たらないなという印象がある。
 彼ら2人がモーツアルトをダブルキャストで演じていたミュージカル「モーツアルト」は何て贅沢だったんだろうと思ってしまった。

 2時間半の上演時間にモーツアルト17歳から亡くなる35歳までを詰め込んでいる訳で、出来事としてはかなり端折ってあるというか、抽出してあるのだと思う。
 1幕目は父母との関係、そしてウエーバー家との関係が強調されている。
 コンスタンツェは姉と張り合うちょっと意地悪というか拗ねた感じの少女として描かれている。しかし、このウエーバー家は、キムラ緑子演じるコンスタンツェの母親セシリア・ウエーバーが何と言っても光る。ずる賢いしっかり者の若者をだまくらかしていい思いをしてやろうという生きる意欲に溢れた女性を嫌味なく演じていて、思わず目が惹きつけられる。
 もっとも、1幕ではモーツアルトは後に結婚するコンスタンツェなど目に入っておらず、その姉のアロイジア・ウエーバーに夢中である。

 サリエリは狂言回しに徹するのかと思いきや、2幕目はサリエリの一人舞台に近い。1幕目は全く歌わなかったサリエリが、2幕目は歌いまくる。逆に、1幕目に軽やかに歌って踊って跳ねていたモーツアルトは2幕目は美しい楽曲を作曲してその曲が流される一方で、本人はほとんど歌わない。
 そうすると、舞台のイメージも変わってきて、ちょっと重めな感じになってくる。
 重いといえば、高橋ジョージの重厚かつ威厳ある感じのモーツアルト父親がなかなか良かったと思う。

 サリエリとモーツアルトが出会った後の話がメインなので、サリエリはひたすら「才能の違い」と「政治力の違い」のギャップに苦悩し続けるし、モーツアルトは宮廷や司教からのくびきは離れたものの、自分の作りたい音楽をそのまま自由に作ろうとして、「聴衆」とのやりとりに苦悩する。
 そういう風に描こうとしていると思うのだけれど、モーツアルトってウィーンの宮廷で第三楽長にまでなったんじゃなかったっけ? と思う。いずれにしても、モーツアルトとサリエリの確執は、「陰謀好きのサリエリと、自分の音楽に忠実なモーツアルト」といういわば定型をなぞった感じで勿体ないような気がする。せっかく2人を2人の役者が交互に演じているのだから、もっとサリエリをクローズアップして2人の関係ももっと突き詰めて描けばいいのになぁ、と思ってしまった。
 そうすれば、最後に一度だけある、モーツアルトとサリエリの二重唱のインパクトというか感動が「歌」だけでなくシチュエーションからも生まれたんじゃないかという感じがした。

 「オペラ」だからなのか「ロック」だからなのか、全体的に割と唐突に歌に入る感じがする。台詞から流れるように歌に入るというよりは、「レ・ミゼラブル」のような感じだ。
 いささかはしたなく「すげぇ」と呟いてしまったり、思わず足と指でリズムを刻んでしまうような曲や歌が多いのに、何故だか、帰り道に口ずさめるメロディがなかったのが不思議だ。単なる私の記憶力の衰えじゃないといいと思う。
 それでも、この「ロックオペラ」はきっと再演されて行くんだろうなという感想を強く持った。

 最後、1階席はほとんど全員でのスタンディングオベーションだったんじゃないかと思う。私がいた2階席はちらほら立つ人がいるという感じだ。
 真ん中の回り舞台が八百屋になっていて(それが回転するから手前が高くなったり左や右が高くなったりもするのだけれど)、そこでの群舞など2階席から見下ろしていると舞台全体が見渡せて楽しかったのだけれど、1階席から見て聴いているとやはり迫力が違ったのかも知れない。
 なんだかんだ文句ばっかり書いてしまったような気がするけれど、でも、なかなかいい舞台だったと思う。

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コメント

 逆巻く風さま、コメントありがとうございます。

 うーん、でも「毛嫌いしている」と言われてしまうと反論したいような・・・。
 どちらかというとストレートプレイの方が好きですし多く見ますが、ミュージカルを嫌っているつもりはないので(笑)。

 楽日の公演は、きっと前日よりもあらにカーテンコールが繰り返されて、盛り上がったのでしょうね。

投稿: 姫林檎 | 2013.02.18 23:08

やはりねー、姫林檎さんはミュージカルを毛嫌いしているんでしょうね (笑)
さてさて私は翌日、つまり昨日の昼観劇しました。姫林檎さんとは逆バージョンでしたが、中川の熱唱がやけに目立ちました。
挨拶で高橋が言っていましたが「前日はシアターオーブの観客数の記録でした」そうでしたが、たぶん昨日はその数を超えたでしょうね。

投稿: 逆巻く風 | 2013.02.18 08:27

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