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2013.06.08

「姐さん女房の裏切り」を見る

千葉雅子×土田英生 舞台製作事業 「姐さん女房の裏切り」
原案・出演 千葉雅子
作・演出・出演 土田英生
観劇日 2013年6月7日(金曜日)午後7時30分開演
劇場 サイスタジオ小茂根 自由席(3列目中央ブロックの座席にしました)
上演時間 1時間5分
料金 3800円

 ロビーでは、出演お二方の所属する劇団のDVD等が販売されていた。
 開場までの待つのは外で、雨じゃなくて良かったと思った。

 ネタバレありの感想は以下に。

 千葉雅子×土田英生 舞台製作事業の公式Webサイト(だと思う)はこちら。

 千葉雅子と土田英生の二人芝居である。
 八百屋になった舞台は天井も奥に行くほど低くなり、一番奥に港町というか工業地帯というか、そういったイメージの景色が見える窓がある。
 布団が敷かれ、ちゃぶ台があり、鏡台が置かれている。
 舞台向かって左手に通路があり、カーテンが引かれた先に玄関とトイレがあるという設定のようだ。ここはアパートの一室である。

 何というか、内容は直球勝負そのものである。
 タイトルの「姐さん女房の裏切り」がそのまま展開する。いわゆるどんでん返しは一切なし。千葉雅子演じる組長の妻だった女が土田英生演じるその組の下っ端だった男を誘惑し(たんだろう、多分)、ベッドに入ったところに、組同士の争いで組長が死んだと組員が駆け込んでくる。
 大騒ぎになるその隙を突いて2人はその場を逃げ出し、逃げまくって20年、ここしばらくはこの街で落ち着いているようだ。
 組同士の抗争で相手方の男に怪我をさせたのか殺してしまったのか、その犯人にもされてしまった男は警察にも組にも追われて外を出歩くこともままならない。

 そんな、20年目のある日の出来事である。
 男の方はもう完全にヒモ状態に甘んじているし、見るからに愛すべき莫迦なのだけれど、完全に今の状況に慣らされている感じだ。女に養ってもらうことも当然だし、女がクロスワードパズルの本を買って来なかったと言っては傘にかかって怒る。そこで「オマエは俺をないがしろにしている」「莫迦にしている」と怒るけれども、どうやら本気で「自分はここに閉じ込められている」と思っているようだし、彼女を愛しているとは全く思っていないし思ったこともないらしい。

 最初は「日常の断片」といった感じだった2人の会話が、どんどん一定の方向に向かっていく。
 向かわせているのは、明らかに「姐さん女房」の方だ。何かを確かめようとして、確かめようとして、でも一向にそのことに気がつかない男の方は、いわば無邪気に彼女に甘え、無意識に彼女を否定して行く。
 その余りのどうしようもなさに、男や場には一向に緊張感が生まれない。彼女一人に緊張感が高まって行く。
 彼女の言動を見、彼女の携帯履歴まで見れば気付きそうなものなのに(そして観客席は気付いているのに)、男は一人気がつかないまま、突っ走って行く。

 ついに、彼女は出て行ってしまう。
 そして、ブザーが鳴り、彼女が戻ってきたのだと「鍵を持っているだろう」と最後の最後まで文句を言っていた男が玄関に消え、乾いた安っぽい銃声が2発。
 そこで、幕である。

 最初から最後まできっぱりと予定調和で、意外な展開とかどんでん返しとか謎が謎を呼ぶとかは全くと言っていいくらい、ない。
 2人をどう演じるか、そこに無制限一本勝負、2人の拮抗と緊張と掛け合いを見てください、という感じの舞台である。

 そこまで直球勝負をしていた「姐さん」の千葉雅子が、最後のカーテンコールの挨拶で客席をまともに見られず、ひたすら土田英生の方を見てしゃべっているのがやけに可愛らしく見えた。

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