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「シダの群れ3 港の女歌手編」
作・演出 岩松了
出演 阿部サダヲ/小泉今日子/豊原功補/市川実和子
赤堀雅秋/末吉秀太(AAA)/佐藤銀平/永岡佑
岡田力/足立理/桜木テン/戸井田稔
吹越満/小林薫
ミュージシャン エミ・エレオノーラ(pf)/佐藤正治(dr)
横山英規(bs)/平田直樹(tp)/ロベルト小山(sax)
観劇日 2013年11月9日(土曜日)午後2時開演
劇場 シアターコクーン 1階BL列12番
料金 9500円
上演時間 2時間50分(15分の休憩あり)
ロビーではパンフレット(1500円、だったと思う)やポスターの他、関連書籍等が販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
BL列というのは、1階席の両サイドに作られた席で、自分が座っている側の少し奥まった舞台は全く見ることができない。今回のお芝居でいうと、クラブのセットのうちステージ部分はほぼ見えない。ステージの一番手前ぎりぎりに立った小泉今日子がかろうじて見えるという感じである。
そういう席をS席として販売するってどうなのというのと、S席からほとんど見えないようなセットの組み方をするってどうなのと、その両方に釈然としなかった。
シダの群れの前2作を見ていないので、そもそも続き物なのかどうかということも知らないまま見ていた。
どうやら第1作の続き、ということらしい。阿部サダヲ演じる森本という男が港町に流れてきて喧嘩か何かに巻き込まれ、そこで圧倒的な強さを発揮してしてしまったがために、その港町で勃発中の組同士の抗争に巻き込まれていくというストーリーらしい。
そして、そこに、小泉今日子演じるクラブで歌う歌手ジーナのサンフランシスコ行きも絡み、彼女に懸想する男たちの思いも絡み、話はどんどんややこしくなって行く。
アウトラインは判るのだけれど、一言で告白してしまうと、よく判らなかった。
任侠の世界だからということではないと思うのだけれど、その場で何が起こっているのか、さっぱり判らないのだ。帰り道、「何回も見たら判るかと思ったけど判らなかった。誰かに解説して貰いたい」と言っているのが耳に入ってきて、全くその通りですよねと見知らぬ人に話しかけたくなったくらいだ。
セットは港町のクラブで、カウンターがあり、ステージ(ほとんど見えないけれど)があり、港が一望できるテラスがある。はっきりとは判らないけれど、港の坂を上がったところにある風情で、見晴らしが良さそうだ。
このクラブは都築組という港を仕切っている組が持っているクラブのようで、その都築組は大庭組の傘下にあるような格好らしい。渡部組という、この港や都築組が行っている密輸を狙っている敵対組織との抗争が発展するのかと思いきや、「渡部組」は名前が出てくるだけで、いつの間にか、都築組と大庭組、都築組内部の抗争が盛り上がって行く。
そこに、ジーナはサンフランシスコに行くのか、行かないのか、行かせるのか、行かせないのかという話も絡んでいるのか絡んでいないのか判らないまま同時進行して行く。
だけど、判らない。
そもそも、森本という男の立ち位置が判らないところにもってきて、彼らは自分の思惑は告げず、都合が悪くなると怒鳴りつけ、拳銃を持ち出す。
そして、最後まで誰も「何が起こったのか」を説明してくれない。森本だって、現地事情が判らないのは客席のこちらと同じだった筈なのに、いつの間にか状況を理解して、理解しただけじゃなくて状況を動かす側に回っている。
説明するならコイツしかいないじゃないと思うのに、コイツも「判ったこと」は自分だけが判っていて、最後には何故か積極的に大庭組の2人を殺すところまで行ってしまう。
だから、どんな背景があって、どんな思惑をもって、誰と誰の抗争があったのか誰か説明してくれ、と思う。
同時に、どうやらスパイとなって情報を流していたらしい市川実日子演じるヨシエは森本に自分の腕時計を託すし、ジーナが肌身離さず持っていた(というか、持ち歩こうとしている割にあちこちに置き去りにしたままにしている)バッグの中にも腕時計が入っていて、どうやら何かのキーになっていそうなアクセサリなのだけれど、これまた何の説明もないまま最後まで行ってしまう。
ジーナだって、散々サンフランシスコに行くという話をしていたのに、何故か2年間マニラに行って歌うことになっている。
赤堀雅秋演じる組長の長男が都築組を継ぐのか、小林薫演じる都築組若頭はどうして組長を殺してしまったのか、ヨシエが豊原功補演じる大庭組の清水という男を刺したのは何故なのか、森本がヨシエと清水を会わせたことにはどんな思惑があったのか、結局、森本が清水を殺したのは何故なのか、ジーナがマニラに行かせたかったのは誰なのか、主要登場人物の動きがこれだけ「訳が判らない、何故?」という感じだと、もう芝居全体が判らない感じになってくる。
いつか誰かが今舞台上で何が起こっているのか綺麗にひもといて説明してくれるんじゃないかと待っていたら、待ち人来たらずで終わってしまった、という感じだ。
前2作を見ていたら感想も違っていたんだろうか。
小泉今日子の履いていた、何cmなんだろうか判らないピンヒールがやけに印象に残っているのだった。
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コメント
ぱんまま様、初めまして&コメントありがとうございます。
そうですよね、判らなかったですよね・・・。
そして、せっかく辿り着いて頂いたのに、「判らない」しか書いていない感想ですみません。
続編があるというのは、見る方が見れば「自明の理」なんですね。それすら思い浮かばなかった私は、多分、見ないような気が今からしています・・・。
投稿: 姫林檎 | 2013.11.28 22:46
姫林檎さま
はじめまして。昨日「シダの群れ3」を観てストーリーが全く理解出来ずこちらにたどり着きました。1作目は観ていないのですが、それでも2は面白く観られたんですよ。...しかし、今作はいったいどうしたんでしょう。全くの理解不能。あまりのつまらなさに2/3は寝てしまいました。(寝たからさらに話が分からない=涙)
私の座席は、BRでしたので、多分今回の座席のなかでは”当たり”の座席ですね。キョン2が歌うステージの中の方までちゃんと見えていましたので。場面転換もなくずーっと同じ場所でのよく分からない台詞の連続!4を観るか悩みますね。岩松ワールドならではの小ネタもなかったような気がするし、9500円勿体なかったな。ちょっと後悔。
投稿: ぱんまま | 2013.11.28 11:02
あんみん様、コメントありがとうございます。
前作から引き続いて見ていると「あぁ」と頷ける場面があったのですね。納得です。
でも、それならそれで、「これまでのあらすじ」とか「前2作のあらすじ」とかを無料で配布してくれなくっちゃ不親切だよ、と思ってしまいます。この作品から見た私みたいな観客だっていた筈ですし。
セットの作りもそうでしたが、全体的に不親切だったんですね!
次作で全ての謎が解き明かされる! と言われても、見るかどうかはかなり微妙だなと思っている私です。
色々教えていただいてありがとうございます!
投稿: 姫林檎 | 2013.11.25 22:30
こんばんは。
1作目は観てませんが、前作・今作と観ていますので多少…わかるような。
でもあやふやですからね!
①ヨシエが森本と清水に近づいたのは、
前作で好きだった水野(風間さん)の為で、
清水にはその死に関係が有ったための復讐(と思う)。
②結城(小林薫)が組長を殺したのは、長男が継いだ方がいいから、
といった気がする(ような)
ただ他はなんにせよ、全て唐突過ぎる!
以下私にも理解不能。
森本が仕事を受ける事の理由、オーシャンビューの部屋、シスコ⇒マニラに変更、
組長殺しの結城のスーツの下の血を見つけるのも変(絶対気付けない)
ひとつわかってるのは岩松さんは、4作目も作るつもりでこれを書いたなと。
だから理解不能でもいいんだ、きっと(笑)。
4作目で謎のブレスレットが出ますね。
前作では堤さんと、組長愛人役の松雪さんの言葉の応酬と、
堤⇒風間の尊敬が感じられたところが良かったけど
今作は核の部分が感じられず、薄味で『??』だったです。
でも小林薫は渋かった。
あ、あのセットの向きでBL列は気の毒でした。
投稿: あんみん | 2013.11.25 00:22
nabonaさま、初めまして&コメントありがとうございます。
ですよね、ですよね、判りませんでしたよね???
何だかお返事するコメント書いている私も、「判らない」ことに大分自信を持ってきた感じです(笑)。
よろしければ、この舞台が何を描こうとしていたのか、教えていただけると嬉しいです。
パンフレットを買ったら書いてあったんでしょうか???
投稿: 姫林檎 | 2013.11.24 13:59
はじめまして。正に今、シダの群れ第三弾を観てきたところです!
席は一階S席ですが、後方でした。
もう、全くわかりませんでした!誰か説明してーーっと検索していたら、こちらに辿り着きました。
なんとか、調べてこの芝居が何を描こうとしているのか、という意図はやっとわかりましたが、話し自体はわけワカメです。
呆気なく突然終わった舞台でしたが、みんな拍手していましたが、理解したのでしょうか?わかったのでしょうか?
ひたすら消化不良なモヤモヤのみが残りました(-_-)。
結局、ジーナは消されたんでしょうか?
最後のジーナはまぼろし?
あんなに肌身離さず持っていたバックを何でカウンターに残したの?
???だけしか残りませんでした。na
投稿: nabona | 2013.11.23 22:39
めいぷぁん様、コメントありがとうございます&初めまして、ですよね?
「私も判らなかった」とこうして色々な方に言っていただけると安心します。
やっぱり、判らなかったですよね・・・。私も、前2作を見ていれば判ったのかしらとか色々思いましたが。
私はパンフレットを購入しなかったのですが、もしかしてパンフレットを読めば判ったのでしょうか???
投稿: 姫林檎 | 2013.11.20 23:07
私も2階のコクーン席でみました。
同じく。
ストーリーわからなかったです。私の頭の悪さかと思いもしましたが。
状況説明が多いややこしい台詞やお芝居してる感の強い芝居も気になりました。
残っているのは同じくキョンキョンの着ているものとか、訳わかないながらも小林薫の凄みある存在感くらいでした。。
投稿: めいぷぁん | 2013.11.20 13:35
ROKOさま、初めまして&コメントありがとうございます。
そして、「判らない」しか書いていない感想ですみません・・・。ですが、本当に判らなかったので、同じように「全然判らない!」という方がいらっしゃって嬉しいです。
嬉しいというのも変かも知れませんが・・・。
「ええからかげん」見たいけどどうしようかと迷っているうちに、他の予定を入れたり何だり、結局見ないままにまりそうです。
ROKOさんはどうぞたくさん笑って楽しんできてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2013.11.15 23:53
姫林檎様
先日,XC列(3列目)で観てきました。片道3時間近くかけて地方から観に行ったのに,お金の無駄遣いだったかなぁ~,というのが正直な気持ちです。
恵まれた席での観劇でしたが,最後まで一度も笑えず,内容も理解できず…
テレビでしか見たことのない俳優さんたちを近くで見ることができたのだから,それだけで良しとしなければ,と自分に言い聞かせながら渋谷駅へ。
余韻に浸るどころか,もやもやした気持ちのまま,また3時間…
貴方様のたいへん明瞭な感想・説明文を拝見し,あの日以来ずっとあったもやもや感がなくなりました。
姫林檎さん,ありがとうございます。
『MIWA』,『ロスト・イン・ヨンカーズ』も観たかったのですが,都合がつかず…
貴方様のコメントを楽しく拝見しました。
シアタークリエで上演中の『ええからかげん』をもう一度観てこようと思います。とにかくたくさん笑ってこようと思います。
まとまらない文で失礼いたしました。
お邪魔いたしました。
投稿: ROKO | 2013.11.14 20:09
チッチさま、コメントありがとうございます。
そして、初めまして、ですよね?
結局のところ「判らない」しか書いていない感想でごめんなさい。お役に立っていないですね(笑)。
でも、本当に判らなかったので。
同じように感じた方がいらしてほっとしました。
そして、小泉今日子さんが履いていたピンヒール、すごかったですよねー。
「全然ふらつかないよ」「私が履いたら足首ねんざするのが関の山だな」などと思って、じーっと足もとを見てしまいました。
投稿: 姫林檎 | 2013.11.10 23:14
夜の部を、ほぼ同席で観ました。
まったく、まったくの同感です。
小泉さんのピンヒールのことまでが同じで読んでいて【安心】でした。(笑)
余りにも判らなかったので、誰かに教えていただこうかと思い検索した結果見つけました。
姫林檎さん ありがとう!
投稿: チッチ | 2013.11.10 19:14