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2013.11.28

「風立ちぬ」を見る

「風立ちぬ」
原作・脚本・監督 宮崎駿
声の出演 庵野秀明/瀧本美織/西島秀俊/西村雅彦
    スティーブン・アルパート/風間杜夫/竹下景子/志田未来
    國村隼/大竹しのぶ/野村萬斎

 

 ネタバレありの感想は以下に。

「風立ちぬ」

 

 今さらながらと自分でも思いつつ、宮崎駿監督長編映画最後の一作になるだろう「風立ちぬ」を見に行った。
 映画を見る週間のない私は全く頭になかったけれど、水曜日はレディースデーで1000円。それでも、館内は10人いるかいないかという感じだ。チケットを買うときに席を選べたのだけれど、あまりにも「売れている」席がなかったので、空いている席と売れている席を逆に勘違いしてしまったくらいだ。

 

 堀辰雄の「風立ちぬ」を読んだこともないし、堀越二郎という人のことも全く知らないまま、映画を見た。ただ、主人公のモデルになったこの堀越二郎氏がゼロ戦の設計者であったことから、映画公開時に韓国等で抗議の声が上がっていたことはニュースで見た記憶がある。
 予備知識としては、その程度しか持っていなかった。

 

 最初のシーンで、着物を着てめがねをかけた少年が、大きな農家に見える家の屋根に上り、メーヴェの発射装置のようなところから飛行機を操縦して飛び立って自由自在に飛び回り、「これは、全編がファンタジーであるという宣言か?」と思ったら、そこは、少年の夢の中であると同時にイタリアの飛行機設計技師である(と思われる)カプローニ伯爵の夢の中でもあり、そこで、少年は伯爵に励まされて飛行機の設計技師になると心に決める。

 

 宮崎駿の映画は「飛ぶ」ことや「空」「緑の大地」の描写が多いんだなということを改めて思う。
 少年が飛行機を発射させた装置はメーヴェを思い出させたし、川の水面すれすれを飛ぶ様子は「紅の豚」を思い出させる。草原に飛行機が降り立つ様子は「ハウルの動く城」を彷彿とさせる。
 「飛行機」がメインである以上、「紅の豚」を思い出すことが多かったのだけれど、菜穂子が結核だと言われると「となりのトトロ」のお母さんを思い出すし、「集大成」というよりは、イメージとしてキャンディーズの「微笑がえし」みたいな感じだ。「微笑がえし」は、キャンディーズのヒット曲のタイトルを歌詞に織り込んでいたけれど、こちらは「宮崎駿らしい」ディテールを様々に組み合わせたという感じがする。

 

 二郎少年が東大で航空機の設計を学び、戦闘機を設計・製造する会社に入り、チーフとして零式戦闘機を開発して成功させる。
 物語の一つの柱は、二郎の「美しい飛行機を作りたい」という思いだ。
 一方、学生時代、大学に戻る途中の汽車の中で関東大震災に遭遇した二郎は、帽子を飛ばしそうになって知り合った少女とお付の女性を助けることになる。その後、飛行機の設計に失敗し、軽井沢に静養に行っていた際、その少女と再会する。結婚を申し込んだけれど、彼女は「結核を治してから」と言い、しかし彼女の病状は悪化するし、二郎はこの避暑の際にあるドイツ人と知り合ったことで特高警察に追われることになり、窮余の解決策というよりは、自然な流れで、二人は匿ってくれていた上司の家の離れで結婚生活を送ることになる。

 

 二郎が、開発した飛行機の試験飛行に出かけた日、菜穂子はみなに黙ってサナトリウムに戻り、はっきり語られることはないけれど、そこで亡くなったのだろう。
 夢で始まった映画は、やはり二郎とカプローニ伯爵の夢の中で、「自分の作った飛行機は一機も戻ってこなかった」と呟き、伯爵に「国を滅ぼしたんだからな」と呟かれ、しかし、菜穂子に「生きて」と言われたところで終わる。

 

 空も緑も美しいし、「風立ちぬ」というタイトルのとおり、映画の中で風を感じさせるシーンが多い。
 二郎は、となりのトトロのお父さんを思い出させる、頭脳も一流な好青年だし、菜穂子には私はクラリスを感じた。関東大震災のシーンでは、何故か巨神兵を思い出した。
 宮崎駿が大人を主人公とした映画を作ることは珍しい、らしい。「ルパン3世」は大人だよね? というくらいしかそういえば思い浮かばない。
 「集大成」と言われると、そんな気もする。

 

 しかし、何故、堀越二郎という人物を取上げたのか、第二次世界大戦を時代背景とした理由は何なのか、恐らくは個人的な必然性があったのだろうと思うけれど、私にはそれはよく判らなかった。二郎の同期が「我々は武器商人ではない」と言い切るシーンや、「銃座を載せなければこの設計を採用できる」と説明した二郎に周りの同僚が笑い出すシーン、その「自主的勉強会」の様子を見た上司2人が「感動した」と言うシーン、海軍の人々の描き方等々、違和感を全く感じなかったといえば、それはやっぱり嘘になる。
 描くのも難しかっただろうけれど、どう見ればいいのか、結局はまっさらで見たのだけれど、迷うところではある。

 

 見終わって心に残ったのは、堀越二郎の「はい」という返事だったりしている。

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