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「Paco」 ~パコと魔法の絵本~ from「ガマ王子vsザリガニ魔人」
作 後藤ひろひと
演出 G2
出演 谷花音/西岡徳馬/松下優也/安倍なつみ
伊礼彼方/上山竜司/川崎亜沙美/広岡由里子
マギー/山内圭哉/吉田栄作
観劇日 2014年2月15日(土曜日)午後5時30分開演
劇場 シアタークリエ 15列26番
上演時間 2時間45分(15分の休憩あり)
料金 6000円(お土産つき)
初演、再演と見ていて(もっとも、タイトルは「MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人」だった)、見ていないけれど映画化もされており、さてどうしようかとずっと迷っていたのだけれど、お土産付きのお得なチケットがあったので行くことにした。
ちなみに、お土産は、miel mieのハチミツの2個セットだった。
ロビーではパンフレット(1800円)などが販売されていた。
終演後に、谷花音&キッド咲麗花&西岡德馬&安倍なつみのアフタートークショー(多分、約30分くらい)があった。
全員がよくしゃべる人(子)たちで、噛み合っていない感じがなかなか面白かった。
子役2人から西岡徳馬に宛てた手紙を読んで渡すという判りやすい演出もなかなか楽しい。いきなり「徳ちゃん」と呼びかけたときには少々驚いた。
ネタバレありの感想は以下に。
初演、再演、再再演と、3公演を通して出演しているのは山内圭哉のみだ。この芝居のキーは山内圭哉なのかと思うと、多分そういうことではなく、いわば飛び道具の役周りである。アフタートークショーでも「自由だよね」という話が出ていた。「ジュンペイ」が死んでしまったことを語るシーンは、毎回、山内圭哉の演技が変わっているらしい。
それはともかくとして、映画化もされ、タイトルも変えた三演目だけれど、中味としては多分ほとんど変わっていない。キーとなる台詞もほぼそのままのようだ。
尊大でイヤミで怒鳴りっぱなしでワガママで本当にいいところのない、西岡徳馬演じる大貫と、事故で家族を失い、自身も脳に障害を負った、谷花音演じるパコちゃんの、微笑ましいといえば微笑ましい、悲しいといえば悲しい物語である。
しかし、それに終わらせないところが後藤ひろひとの脚本で、何といっても周りに配置された方々が個性的すぎて笑ってしまう。
大貫の甥の嫁で「会社をダンナに継がせるためにはどんなことでも!」という、川崎亜沙美演じる看護婦雅美ちゃんに、気が弱すぎて要領が悪すぎる、伊礼彼方演じるマサミちゃんのダンナ浩一、男勝りで言葉使いが粗すぎる、安倍なつみ演じる看護婦光岡、子役からずっとやってきて続けることも辞めることもできずに自殺を繰り返しては入院してくる、松下優也演じる室町、上山竜司演じる消防車にはねられて入院している消防士の滝田に、どうやら「当たり屋」を商売にしているらしい広岡由里子演じる木之元、常にどこか外していてパコちゃんが現れるまでは唯一大貫に対抗できていたマギー演じる堀米、そして、この個性的すぎる面々を何とかあしらっている吉田栄作演じる浅野医師だ。
それはもう、モメごとが起こらない訳はない。
感想としては前回見たときとほとんど変わらないので、手抜きして割愛。
多分、脚本はほとんど変わっていないと思うのだけれど、今回はパコ役に人気子役の谷花音を配したこともあって、大貫とパコちゃんの関係がクローズアップされているような気がする。
逆にいうと、室町とミツオカの関係や、ラストのがま王子とザリガニ魔人のお芝居における室町の大変身というか脱皮のインパクトが抑え気味になっているように思えた。
タイトルどおり、パコにフューチャーしました、という感じだ。
実際のところ、パコの無垢さや可愛さがもの凄くよく出ていたし、大貫がそれまでの自分の態度を改め、パコのために一生懸命考え、入院患者たちに頭を下げる、そちらの変身というか改心がクローズアップされていて、お芝居って本当に生き物なんだわと思う。
そうした中で、ずっと龍門寺を演じている山内圭哉、嫌われ者の大貫をどうやら素でからかっているらしい変わり者の堀米と、その数十年後にやっぱり変わり者だけれど落ち着きは出てきたらしい作家を演じているマギー、気が弱すぎる甥の浩一と、数十年後にマギーの訪問を受けた浩一の息子を判りやす過ぎるくらいに演じ分けた伊礼彼方に、飛び道具として最強の広岡由里子と、芸達者で強烈な面々が見事な連係プレーを見せてくれて、安定感は抜群だ。そして、ただのお涙頂戴になっていないところがいい。
ただ、やっぱりこのお芝居は、バラバラに見えた伏線がラストで大どんでん返しを経て一気に収束する感じが肝だと思うので、ストーリーを知っているとその「肝」を最初から知っていることになってしまい、勿体ないというか、のめり込めない部分はある。
初演の衝撃は、そういう意味では、私の中では超えられないところだ。
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