「太陽王 ~ル・ロワ・ソレイユ~」 を見る
宝塚歌劇星組公演
ミュージカル「太陽王 ~ル・ロワ・ソレイユ~」
脚本・演出 木村信司
観劇日 2013年5月30日(金曜日)午後2時開演
劇場 東急シアターオーブ 1階23列31番
料金 8800円
上演時間 3時間5分(30分の休憩あり)
職場の友人に誘って(そしてチケットの手配までして)いただいて、生涯7回目の宝塚である。
ネタバレありの感想は以下に。
実は見に行くまでよく知らなかったのだけれど、この公演は東京宝塚劇場ではなく東急シアターオーブで上演されており、星組はいくつかに分かれて公演を行っているのだそうだ。だからこの公演にも柚希礼音は出演しているけれど、娘役トップの夢咲ねねは出演していない。
そして、多分珍しく、上演時間目一杯、一本のミュージカルである。珍しいことにと書いたけれど、そういえばこの間見たナポレオンもやはり3時間通しで一本のミュージカルになっていたのだった。我ながら適当な記憶である。
適当な記憶と言えば、シアターオーブに入ったときに「東京宝塚劇場よりこっちの方が広いよね?」と確認したのだけれど、友人によると「同じくらいじゃないかな」ということだ。調べてみたら、東京宝塚劇場が2069席、シアターオーブが1972人でほぼ同数であった。
私の中でシアターオーブというのはかなり大きな劇場だったのだけれど、東京宝塚劇場の方がさらに大きかった訳だ。その劇場で1ヶ月公演を行って、毎日満席とは行かずともそれに近い状況を安定的に生んでいる宝塚は本当に凄いんだなと改めて思ったりした。
やはり3時間たっぷり一本の芝居を見せて貰えるというのは楽しい。
10年くらい前にフランスで初演されたミュージカルを日本で初めて上演するのだそうで、タイトルのとおり歴史ものだからまず安心感がある。
ナポレオンのときは「鳴り物入り」という感じがあって、ちょっと馴染めないところもあったのだけれど、こちらは若干地味かもしれないけれど、その分「歌と踊りで勝負」という姿勢が清々しい。
それはそれとして、先に見た友人が「群舞の娘役のドレスはあれでいいの!?」と興奮していた理由も判らなくもない、ような気がする。
ミュージカルとしてもお芝居としても「役者を見せる」ことにポイントが置かれている舞台だったと思う。
ちょうど「レ・ミゼラブル」のような感じで、そのシーンの主役たちが歌い、踊り、物語を繋げていく。「ルイ14世って名前は知ってるけど、配役表に他に知っている名前がない!」という私のような観客は織り込み済みなのか、ずっとジャン=バティスト・ポクランと名乗っていて、最後にその正体がモリエールだったと明かされる劇作家が、ルイ14世と親交のあった人物として、そして上演されているこの舞台の作者として登場し、歴史背景や人名などを説明してくれる。
至れり尽くせりである。
もっとも、この舞台の中心は「ルイ14世の恋愛遍歴」にあるので、あまり歴史背景を知らなくても問題はない。それは一国の君主の恋愛だから全く政治と無縁という訳には行かないけれど、フランスのブルボン王朝全盛期を作り、その象徴ともいうべきヴェルサイユ宮殿を造営した王の物語だと思っていれば間違いないと思う。
そして、通常の公演だとトップの2人は不動のトップで、例えば、初恋の相手が娘役のトップであれば、その恋は原点回帰で初恋の相手に帰って来るのがお約束だ。恋愛遍歴を取り上げたらそれ以外の展開はほぼないのではなかろうか。
しかし、今回のこの公演は娘役トップが出演していないので、そういう意味ではフリーハンドである。これは結構大きな「自由」なんじゃなかろうか。
ルイ14世の恋愛遍歴の最初と最後に「真実の恋人」とも言える女性を配し、王妃と黒魔術にまで手を染めた愛人の女性を配することで、ルイ14世の孤独を際立たせようという意図は成功していると思う。
そして、次々と「取り替えられ」てしまう女性たちを演じている娘役の方々も、華やかで4人それぞれが個性的である。マリーを演じた綺咲愛里が、演じている役が若いということもあったと思うけれど、特に可愛らしく見えた。
長髪のせいかいつもよりもシャープに見えた柚希礼音は相変わらずの格好良さだし、ルイ14世の弟フィリップを演じた紅ゆずるが場を和ませ、私の好みとしてはマゼラン卿を演じた十輝いりすがちょっと独特の存在感があって良かった。
最初と最後に、ルイ14世が太陽の衣装をまとって一人で舞台全体を背負って踊る。
その格好良さに全てがかかっている舞台、という感じが、描こうとしているルイ14世像とオーバーラップして、とても効果的だった。
「宝塚にカーテンコールはない」と思い込んでいたのだけれど、劇場がアウエーだからか、1回だけカーテンコールがあった。宝塚劇場恒例と言ってもいいだろう「出待ち」は、劇場内で行われるようなのも新鮮だった。
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