「和を愉しむ金曜日 ~見て、聴いて、香り、味わう~」に行く
知的好奇心旺盛な女性のための『夜の女子塾』プロジェクト
和を愉しむ金曜日 ~見て、聴いて、香り、味わう~
落語入門編 堀口順子(「花実の咲くまで」著者)、近藤主税(出版社勤務)
新茶入門編 うおがし銘茶茶の実倶楽部店長 樋口皓平
講演日 2014年5月2日(金)19時
会場 うおがし銘茶築地新店『茶の実倶楽部』
2014年のGWには特に予定も入れていなかったのだけれど、それも少し寂しいような気がして、e+主催のイベントに行って来た。
参加者を二手に分け、前後半で場所を入れ替え、落語入門編と新茶入門編を入れ替わって楽しむというやり方だ。
受付の段階で振り分けられ、私は「先に落語入門」になった。
<落語入門編>
普段はギャラリーとして使っているという5階のお部屋で、堀口順子氏と近藤主税氏のトークショーというか、近藤主税が堀口順子氏の話を聞き出すという感じの講演だった。
このお二人は、10数年前に落語をネット配信するというお仕事で知り合い、それがきっかけで堀口順子氏は落語を聞き始め、追っかけとなり、落語を取り上げた小説を書いたという作家である。
近藤主税氏が三味線で「出ばやし」を弾き、堀口順子氏が登場、そして落語の話が始まった。
「落語を寄席で聞いたことがある人」という質問に、そこにいた20〜30人の女性のうち半数以上が手を挙げていたようだ。ちなみに、このイベントの申込みページには「男性でも申し込めます」という注意書きがあったけれど、今回は全員が女性、そして「女子塾」と銘打たれてはいるけれどテーマもあってか、年齢層は結構高めだったと思う。
寄席落語とホール落語との違いから話が始まった。
寄席は、私はてっきり昼の部で落語2〜3本という感じだと思っていたのだけれど、実際は一演目15分くらい、落語だけではなく、紙切り等々のいわゆる「色物」が挟まって、4〜5時間続くらしい。
カタログのようなものだろうか。
新宿の末廣亭はアルコール禁止だけれど、他の、上野鈴本や池袋の演芸ホールなどではお酒も飲めて、お二方曰く「まったりした」空気が流れているという。
ホール落語の方は、その名のとおりホールで行われる落語のことで、概ねは「独演会」という感じらしい。
前座さんが1本、独演会の主の方が1〜2本のお話をするという。1000〜2000人収容のホールを使うこともあるし、1000に欠けるくらいの客席数のホールで新作を披露することもあれば、もっと小さいホールでそれこそ「まったりと」した雰囲気の独演会もあるらしい。
チケット代がそれほど高くないらしいことにも驚いた。
始まった当初はかなりお二方の話しぶりがぎこちなく、ついでに椅子が堅くて背中が痛くモゾモゾしてしまったのだけれど、堀口順子氏が「追っかけ」をするようになった辺りから、場の空気もあったまったような気がする。
堀口順子が最初に惚れたのは立川志らく師匠だそうだ。現代的でスピーディで話が分かりやすい、と言う。
そこから立川流を追いかけることになったということで、その後の話は、「立川談志に惚れた」「恋をした」「凄くダンディな方で」という大きな目をさらに大きくキラキラさせての話となった。
談志師匠にサインして貰ったという落語CDを見せていただいたり、行きつけのバーで待ち伏せしたりという、一歩間違ったらストーカーかもと思わなくもないけれど、こういう方が面白い。
もっとも、その後は立川流のお話が中心になったので、入門編としてはどうなのかという気が若干しなくもない。
そういえば、「落語家」の話がほとんどで、「落語」そのものというか、演目の話はほとんど出なかった。
「芝浜」という噺があって、第九のように年末になるとあちこちで演目として取り上げられる、というくらいだったように思う。
そういう噺ももっと聞きたかったなぁと思う。
寄席でもホールでも落語を見たこと・聞いたことがない私なのだけれど、北村薫の円紫師匠のシリーズを読んだり、立川談春師匠の著作を読んだことがあったので、お話自体には結構ついて行くことができた。
落語そのものを聞きに行っても大丈夫かも、と思った。
寄席に行って「好きな落語家を探す」のと「小さめのホールでのホール落語に行ってみる」というのがお二方それぞれのお勧めの楽しみ方だそうだ。
大体40分くらいで終了となり、次の新茶入門編までは20分ほどの休憩である。
最初のうちはかなり固い感じだったので、後半に落語入門を聞いた方々は、最初から温まった空気の中でお話が聞けたのではないかと思う。
<新茶入門編>
場所を2階のカフェに移し、次は新茶入門である。
まずは「煎茶というのは一番茶のことです」という説明に驚いた。ここで驚くとはどれだけ私はお茶を知らないかということなのだけれど、煎茶が一番茶のことだなんて全く思っても見なかったのだ。
お茶は1年に3〜4回収穫することが出来、1年のうちで一番最初に収穫するお茶、つまりは今の時期に穫れるお茶が一番茶だ。
かつ、一番茶は、「一芯二葉」を摘むのだそうだ。機械で収穫なんて無理な話である。
「八十八夜」は立春から数え始め、2014年はちょうどこのイベントがあった5月2日が八十八夜だという。
お茶どころでは、今日辺りから、一斉に「一番茶」を摘み始めるんだろうか。だとしたら面白い。
収穫したお茶の葉は、工場に運ばれて蒸され、揉みながら熱風で乾かされて「荒茶」にまで加工される。
一年中「煎茶」が飲めるのは、この荒茶の段階で保存されるからで、あとは出荷する時期に合わせて仕上げ加工することになるのだそうだ。
荒茶をさらによく乾燥させる「火入れ」を行わないと出荷できないし、その前であれば風味を保ったまま保存できるということらしい、そんなことは知らなかったなぁと、のっけから目から鱗だった。
できたての荒茶は「摘み立て」で柔らかく、すぐに火入れをする場合は焦げないように穏やかに行うという。だから香りが高くなる。荒茶の状態で長く保存した後で火入れしたお茶は、やはり香ばしさや渋みが特徴になるという。
渋みは嫌われがちではあるけれど、実際のところ、全く渋みがなくてうまみだけのお茶はそうそう飲めないらしい。ある程度の渋みがあって初めて何杯も飲めるのだそうだ。
「緑茶」というくらいで、お茶は緑色と思っている人も多いけれど、美味しいお茶は「黄色」「金色」だという。確かに淹れていただいたお茶は、黄色かどうかはともかく、「鮮やかな緑」ではない。緑色のお茶は渋く入ってますよね、とおっしゃる。
緑色はカテキンの色なのだそうだ。
ちなみに、お茶に色や渋みを出したい場合は、急須を振るといいそうだ。まぁ、色はともかく渋みをわざわざ出したいことはあまりない訳で、美味しいお茶を淹れるためにはそーっと注いでくださいというお話である。
甘い柔らかいお茶は甘いお菓子に合うし、渋みのあるお茶はごはんのお供にいい。
というわけで、最初に供されたお茶は、昨年に収穫された煎茶で少し渋みがあり、このタイミングでお菓子とともに今日されたお茶は今年の煎茶で甘く柔らかいお茶だった。
そう言われて飲むと、「今年の煎茶」の方が好みだよなぁと思う。
そしてまた、今日されたお菓子が、お茶の葉を混ぜ込んだモチモチとした生地に、餡と抹茶クリームが入っていて、滅法美味しかった。終了後に「お取り寄せできませんか」と聞いている方がいらしたけれど、特別にお願いして作っているものだから難しいというお返事だったようだ。
実際にお茶を淹れてみましょうというコーナーもあった。
お茶碗は、中白のものが色も見えて、淹れるときにも味わうときにも美味しいです、とおっしゃる。
私が自宅で使っている備前は全く「中白」ではなく、確かに色が見えないというのは困惑する。母の湯吞みは中白なので、そちらで色を見ながら淹れることが多い。
急須ももちろん重要で、あまり大きなものでは大ざっぱなお味になりますという。その辺りは、烏龍茶と一緒だなぁと思う。キレがいい急須を使ってください、最後の言って気に的にうまみ成分であるテアニンがたくさん含まれているので、と言われる。
それはもちろん、お湯切れのいい急須を使いたいのは山々なのだけれど、売場で見るだけではいいかどうか判らないのが悩ましいのだ。
一杯のお茶の淹れ方
1 お湯を入れて急須を温める。
2 もらったスプーン(すり切りで5gくらい)1杯分のお茶の葉を急須に入れる。
お茶の葉は少なめの方が、甘みやうまみがでやすい。
3 お茶を飲むお茶碗に八分目くらいのお湯を入れる。
こうしてお湯を移し替えることで、1回目は10度くらい、2回目は5〜6度下がる。
4 急須に一杯分のお湯の半分くらいのお湯をいれ、すぐに湯吞みの注ぐ。
5 急須のお尻を叩いて中のお茶の葉を寄せ、茶葉に直接当たらないように残りのお湯を入れる。
6 ゆっくり少しずつ残りのお茶を注ぐ。
お茶の色が薄いと思ったら、少し待つ。
お茶をつぎ終わった急須を空けて、お茶の葉が寄っていたらそれは「急ぎすぎ」で、お茶の葉が底に平らに残っていたら、「丁寧に注げた」証拠だそうだ。
実際のところ、自分のためだけに一杯のお茶を淹れることは少なく、家族やお客様に淹れるでしょうということで、2杯以上のお茶を淹れる場合の方法も教わった。
お茶を注ぐさいに、お茶碗に直接注ぐのではなく茶壺に注いでからお茶碗に分けることを繰り返すのだそうだ。そうすれば色も綺麗だし、味も一定になってよいのだという。
深蒸し煎茶の場合は、急須で蒸らす必要はないのだそうだ。これが本日二度目の大びっくりである。私は、毎回待っていたよと思う。お茶の葉はお湯に淹れっぱなしだと香りが飛んでしまうので、最初に注いで色が薄いと思ったら、茶壺から急須に一旦お茶を戻してもう一回注ぐのも手なのだそうだ。
知らなかった。
新茶のお土産等々もいただき、充実した「女子塾」を堪能した。
どちらの「入門編」も質問コーナーがあったら聞きたいことがたくさんあったのだけれど、参加者がみな同じように思ったとすると、質問コーナーを作ったら収拾がつかなくなったような気もする。
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