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2014.05.05

「ガーデニング・イン・ザ・ダーク」に行く

「ガーデニング・イン・ザ・ダーク」
2014年3月21日〜6月1日 外苑前会場/ダイアログ・イン・ザ・ダーク東京
赤坂メディアアート展「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の公式Webサイトはこちら。

 2007年に最初に行ったときは、場所不定、期間限定のイベントのような開催方法だったのだけれど、数年前から拠点を持ち、通年開催になったようである。
 暗闇でのクリスマスコンサートを経て、でもやっぱり「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」を上手く説明できないので、公式サイトの「DIDとは」のページからお借りする。

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暗闇の中の対話。
鳥のさえずり、遠くのせせらぎ、土の匂い、森の体温。水の質感。
足元の葉と葉のこすれる枯れた音、その葉を踏みつぶす感触。
仲間の声、乾杯のグラスの音。
暗闇のあたたかさ。

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、
暗闇のソーシャルエンターテインメントです。

参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、グループを組んで入り、
暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。
その過程で視覚以外の様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、
そしてコミュニケーションの大切さ、人のあたたかさを思い出します。

世界 30か国・約130都市で開催され、2011年現在で700万人以上が体験したこのイベントは、
1988年にドイツで、哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれました。
日本では1999年11月に初めて開催され、現在は東京・外苑前の会場にて常時開催中。これまで約13万人が体験しています。

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 ネタバレになってしまうので、感想は以下に。
 これから行かれる方は「絶対に」読まないようご注意ください。

 さらに、改行。











 私が今回参加したのは「一期一会」と名付けられた、一人参加者限定の回である。
 この「一期一会」がもの凄く好評で、あっという間に埋まっては追加で開催、を繰り返しているという。実際に私が参加した回も満員(定員8名)だった。
 お一人が遅れていらしたので、当初は7名。アテンドの方の「前に参加したことのある方?」の問いに6人の手が上がり、初参加が一人でちょっと驚いた。後でアテンドの方にお聞きしたら、こんなにリピーター率の高い回のアテンドは初めてだとおっしゃっていた。これまでの最高記録は3人だそうだ。
 一人参加の回だからリピーター率が高かったんじゃないかなと思う。
 ちなみに参加者は男女半々だ。

 もっとも、私は2回目といっても、1回目は7年も前のことだ。しかも、「ちょっと思い出そう」とその辺りをチェックすることもしなかったので、前回のときのことはすっかり忘れ果てていた。
 アテンドの方が「説明はいらないかも」「やりにくいなぁ」とおっしゃりつつ、丁寧に説明してくださるのが有り難い。最初に白杖を手渡されたときに「前に来たときはなかったような気がする」と思いつつ口にできなかったのだけれど、帰宅してから確認したら、やっぱり前回は白杖は持たずに歩いたようだ。

 白杖は、みぞおちの高さくらいが「身体に合っている」ことになるそうだ。
 最初はストックのようにゴムに腕を通して握っていたのだけれど、実はゴムは折りたたみ式白杖の「折りたたんだ後」をまとめるためのものだそうだ。
 第一、白杖は握るのではなく鉛筆を持つように持つらしい。

 薄暗い中に入って暗いところに目を慣らし(というよりも、恐らくは気持ちを慣らし)、慣らしがてらぼんやりと顔が見えるくらいのところで自己紹介、自己紹介が終わったところで電気が完全に落とされ、中(と思われる方向)に入って行く。
 真っ暗である。
 本当に真っ暗なので、「目が慣れる」ということはない。星明かりでもあれば目が慣れて周りのものが見えるようになるけれど、真っ暗は真っ暗なので、どこまで行っても闇の中、全く見えるようにはならない。
 しかし、そこはリピーターの集団で順応性が異様に高かった。「行きますよ」「こっちですよ」「段差がありますよ」と声が出始めるのも早い。

 中に入ると、緑の匂いがした。
 正確に言うと、私は「畳の匂いだ」と思った。
 ガサガサ音がしている方に手を伸ばすと(伸ばすときは手の甲を外側にするのが基本だ)、笹の葉のような、枯れた感じの細長い葉っぱに当たった。
 さらに、その辺をうろうろしていると、鳥の声(だったと思う)が聞こえたり、足もとに段差があったり、石畳風にごつごつしていたり、石が落ちていたりする。

 アテンドの方も「もう、放置でいいですね」とおっしゃるのが可笑しい。
 そういえば、「落とすようなものは持たないでくださいね」と言われたけれど、以前に差し歯を落とした方がいらしたそうだ。それって明かりがあっても探すのは大変そうだよと思ったけれど、「見つけました、大変でしたけどね」とあっさりおっしゃっていた。
 段ボール箱が積まれていて、アテンドの方のOKをもらって開けると、そこには植木鉢が入っていた。触るとプラスチック製だと判るのが不思議といえば不思議である。

 植木鉢が配られ、木製のブランコが発見され、私も移動前にちょっと座ってみる。みんなが移動のため歩き始めたところだったので「蹴っ飛ばさないでくださいね」と言われる。もちろん。
 木製のブランコ自体、最近の公演などではお目にかからない。甥っ子に付き合って近所の公園に行ったときに、甥っ子のスキを見てちょっと乗ってみたくらいだ。
 懐かしい。
 確かこの公園っぽい空間でうろうろしている間に、8人目の方が合流したと思う。もう1回自己紹介をして、再開だ。

 場所を移動して、次はいよいよ「種まき」である。
 大きめのプランターに赤玉土と腐葉土が入っていて、8人で囲んでしゃがみこむ。プランターにさらに肥料を足し、ひたすら混ぜて土を作るところからスタートだ。
 混ぜると土の匂いが立ち上り、2割だったか3割だったか、とにかく少ない腐葉土はあっという間に存在感がなくなってしまう。
 「植木鉢8個分の土が入っていますから上手く等分に分けてください」と言われて、「等分?」というところに戸惑いつつも各自の植木鉢に土が入り、さらに種をもらう。

 園芸に全く造詣がないので説明してもらったきり覚えていないのだけれど、確か、種が小さすぎるため、種と細かい土を混ぜて植木鉢の土の上に均一に敷き、その「細かい土」で栄養のあり過ぎる土から種をカバーするのだ、という趣旨だったと思う。
 今回用意された種はルッコラとラディッシュで、どちらも「3〜4週間で収穫できる野菜」というのがポイントだろう。好きな方を選ぶことができる。

 種まきを終えると、ビニル袋が配られて各自植木鉢を入れ、バケツみたいに大きなウエットティッシュが回されて「爪の中にも土が入ったみたい」な手をぬぐい、休憩所(正確に名前があるのかないのか)に移動する。
 ここで、お飲み物を買う体験をしましょうというイベントもあるので、小銭持参が必須である。
 私が選んだカルピスはカルピスだけれど、コーラの人、野菜ジュースの人、オレンジジュースの人は銘柄まで当ててくださいとアテンドさんが無茶振りしていた。野菜ジュースを選んだ女性が一発即答で当てていたのがお見事だった。
 逆に、オレンジジュースを選んだ男性2人は、「安い味がする」「果汁100%ではない」「バヤリースかな?」などと言っていたけれど、実際のところは果汁100%ジュースだったらしい。銘柄も教えてもらったのだけれど忘れてしまった。
 味覚は視覚に影響されるんだろうか。

 それぞれの注文に合わせて持ってきてくれたアテンドの方に「どうして判るんですか?」と聞いたところ、紙パックか缶か、缶の形の僅かな違い、あとは置いてある場所を覚えている、ということだそうだ。
 驚いたのは、カルピスとオレンジジュースの缶の形はほぼ同じ、しかしアテンドの中には缶を振ったときの粘度の違いを認識できる方がいるという。凄すぎる。
 缶の底にでも点字が打ってあればいいですよねと言ったところ、アルコール飲料については「おさけ」と書いてあるそうだ。気がつかなかった。しかし、缶を製造する工場とパッケージを作る工場とは別なので、パッケージと缶を合わせようとすると製造過程や数量の案配が複雑になってしまう(はっきり言えばお金がかかる)ので実現は難しいそうだ。

 ちなみに「お金が判るか」という話も出ていたけれど、古い10円玉が入ると難しいけれど、それがなければコインは触れば判ると思う。
 500円玉と1円玉は大きさが違うし、5円玉と50円玉は穴が開いている。5円玉と10円玉には側面に溝がなく、50円玉と100円玉は側面に溝がある。
 古い10円玉(昭和33年より前のもの)は、側面に溝があるので、これが混ざったときはどうすればいいのか、ちょっと謎だ。確か、溝の深さや幅が10円玉の方が細く浅かったと思うので、それで区別がつくような気もする。

 休憩が終わると、「ガーデニング・イン・ザ・ダーク」も終了である。
 「もう?!」と思わず言ってしまったのだけれど、本当にあっという間だった。体感としては30分くらい? と思ったけれど、しっかりほぼ90分の時間がたっていたのが不思議である。
 この後は、薄暗いお部屋で明るさに目を慣らすためにおしゃべりしつつ待機だ。
 初参加の方は「いっぱいいっぱいでしゃべるどころじゃなかった」とおっしゃっていたけれど、一人で初めて来て周りのほとんどが経験者というのは、確かにちょっとキツかったかも知れないなと思う。
 逆に「リピーター限定の回を作ったら来ます?」と言われ、みんな黙ってしまったのも可笑しい。私も即答できなかった訳だけれど、「たまたまそうなった」感が楽しかったような気がする。

 これまでに、利き酒があった回や、書き初めをした回、ワインのテイスティングをした回などがあったらしい。
 「グラス割りそう」「墨汁で汚れそう」という声が上がっていたけれど、ほとんどそういう「失敗」をする方はいなかったという。「みなさん、気をつけるし、緊張しているし」ということだ。
 また、年に数バージョン開催されていて、次回は「レインバージョン」だそうだ。内容は半分くらい未定なので、アイデアがあったらメールくださいと笑っていた。

 久々に行って、結構、楽しかった。
 お一人で30回リピートしている方がいらっしゃるということだったけれど、そこまでの強者にはなれないにせよ、また機会を見つけて行きたいなと思ったのだった。

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