先日、JAL工場見学 SKY MUSEUMに行ってきた。
JALのマイレージの期限切れが迫り、しかし飛行機に乗る予定はなく、お買い物できるほど貯まってもおらず、それなら工場見学に参加してマイルを使って記念品をいただこうという発想である
もちろん、マイルを使わずとも工場見学に参加することはできる。
ただし、行ってみたところ、入館証のストラップが何色かあり、「どういう申込み方法か」でグループ分けされていたようだった。
教室での座学もこの「ストラップの色別」になっていて、じっくりゆっくり質問したい方などは、2000マイルを使って参加するのもありかと思う。
14時30分からの回を申し込んだところ、集合は14時15分。
しかし、14時30分からの座学の前と、座学と工場見学の間の休憩時間20分が、展示コーナーの見学とショップでのお買い物時間となっているので、目一杯見学できるよう、入場が許される開始30分前までに行くのがベターだと思う。
展示コーナーは、整備士やパイロットなど職種別のお仕事紹介コーナーあり、コクピットあり(787は作りものでしたが、DC9は本物が展示されていました)、政府専用機コーナーあり、アテンダントさんの歴代制服が並び、各クラスのシートが並び、制服を着て記念写真を撮るコーナーあり、盛りだくさんだった。
そして、各専門家の方が解説もしてくださるという至れり尽くせり状態だ。
14時30分から始まった座学では、羽田空港の話から始まった、ような気がする。
日本に空港は97あるが(ひとつの県に2つ以上である!)、滑走路が4本あるのは羽田空港のみ、世界で4番目の乗降客数(成田空港よりも関西空港よりも多いのです)を誇る。
滑走路4本のうちD滑走路は多摩川河口にあり、多摩川の流れをせき止めないよう半分くらいは埋め立てるのではなくデッキのようなところに作られているそうだ。
飛行機は離着陸の際は必ず向かい風になるそうで、井桁のように4本あれば、常に1本を離陸用1本を着陸用に使えるということになる。3分に1回という超過密スケジュールもそのおかげでこなせているのだろう。
なるほど。
機体の説明は最新のB787ではなく、B777で行われた。
軽量化のために主にアルミが使われていることや、ハニカム構造も多用されていることがサンプルつきで示される。B787になると、アルミではなくカーボン製になるそうだ。
飛行機が飛ぶ理由は、ベルヌーイの定理と凧の原理で説明できるという。
ベルヌーイの定理というのは、翼の下は直線、上はカーブを描いていて、カーブに沿って空気の流れがある翼の上側は空気の流れが速くなり、結果として空気が薄くなり、薄くなった空気に引っ張られて機体が上に吸い上げられるような状態になる、ということだと思う。
詳しそうな青年たちが「あの説明は判りやすい」としきりと感心しているのを目にしたので、多分、かなり判りやすい説明だったのだろうけれど、門外漢にはちんぷんかんぷんだった。
ジェットエンジンの燃料はケロシンというものだそうで、灯油と成分はほぼ同じだそうだ。ただし、翼に格納されて上空10000mまで持って行かれるので、そこで凍ってしまわないよう水分を抜いてあるという。
燃料は翼に格納されていて、満タンにすると200Lのドラム缶900本分になるそうですが、航続距離を元に計算して満タンを積むことはまずないという話だった。燃料は、推進力であると同時に、重さで足も引っ張っている訳で、余計な重さを身につけて飛びたくないに決まっている。
同じ機体でも国際線と国内線では座席数が倍も違っていたことに驚いた。
差がありすぎだ。
理由としては、国際線にはファーストクラスやビジネスクラスがあることと、機内食を出すためのギャレーがあることが挙げられていた。
もっと色々なお話があったけれど、あまりよく覚えていない。
いただいた「ようこそJALへ」という冊子がなかなか良くできていて、併せて読むといい感じである。
30分のセミナーの後の休憩時間を利用してB787のコクピットの模型に座ってみたら、かなり座り心地のいい椅子だった。パイロットはずっと座っていなくちゃならないのだから、当然だよと思う。
B787は液晶画面に様々な情報が表示されるようになっていて、もう訳が判らない。唯一判ったのは、EMERGENCYというボタンだ。
大体、距離がフィートで速度がノットというところですでにお手上げである。米国仕様なのでそういう単位になる、というお話だった。
機内の温度までもコクピットで確認できるようになっていて、居住環境の維持目的だけでなく、危険を察知するという意味もあるんだろうと思う。
室温は24度をキープすることになっていて、「湿度はもの凄く低いんですよね?」と聞いたら、「787はだいぶ改善されてますよ。女性の肌に優しいんです。」というお答えだった。その仕組みも聞きたかったのだけれど時間切れで、工場見学に向かう。
第一工場では時間をかけて内装なども含めて整備を行い、第二工場は「救急病院」のような役割を担っているそうだ。
この写真は第一工場で、ドック入りしているのはB777、だったと思う。
B777は車輪が全部で14あるのが特徴らしい。
B787はエンジンの後ろがギザギザになっていて翼が全体的に反っているのが特徴だという。エンジンの後ろのギザギザは、音を静かにする効果があるのだそうだ。
こういう「見分け方」みたいな話が結構多く出ていたので、飛行機が好きな人はまずそういうところから入るんだなぁ、スチュワーデス物語の千秋もそういえば機体の勉強だけはしていたもんなぁと古いことを思い出してしまった。
救急病院である第二工場では、タイヤやエンジンの交換作業をすることが多いのだそうだ。
救急病院であるが故に今日は患者さんがいません(ドック入りしている飛行機がありません)ということもたまにあるそうなのだけれど、この日は777と737と767の3機がいた。ラッキーである。
「明日の朝までに直して!」ということもよくあるそうで、第2工場は5機まで入ることができ、24時間体制で動いているという。
第2工場では、飛行機がいるのと同じ1階フロアに降りることができた。もちろん、ヘルメット着用である。
機体の下に入らないでください、翼の下に入らないでください、床面の色がついたところは電源口等なので上に乗らないでくださいといった注意を受ける。
同じフロアに降りて、横から前から飛行機を見るというのは面白い。
乗っているときはほとんど感じない「デカさ」をもの凄く感じる。同時に、意外と華奢なんだなとも思うのだ。
羽田空港のバードストライキングが一時問題になっていたと思うのだけれど(恐らくは、報道が少なくなっただけで今も問題なのだと思う。鉄砲で鳥を追い払う人がいらっしゃるという話だった)、その対策として、エンジンが回ると白い円が描かれて目のように見え、それで鳥を威嚇しているという話があった。その対策のアナログさ加減に驚く。
そして、同じように飛行機のエンジンにとって重大な問題をもたらすのは火山灰だそうだ。
エンジンが火山灰を吸い込むと瞬く間に凍ってしまい、エンジンが動かなくなってしまうという。大問題である。甘い800万円の羽が22枚もついているというエンジンも、火山灰には敵わないのだ。
ちょうど767が修理を終えたのか、「働く車」に前方の車輪を乗せ、自動で大きすぎる扉を開けて格納庫から出て行くところも見られたし、15時過ぎというのは過密ダイヤの時間帯らしく、格納庫前を離陸する飛行機を何機も見ることができた。
デジイチを構えて撮りまくっている方も結構いらした。
JAL工場見学の感想というのは、これに尽きる。
世に鉄道オタクがいるように航空オタクもまたいるし、そこには深くて濃い世界が広がっている。私なんてまだまだだ。
しみじみとそう思ったのだった。
時間を若干オーバーして工場見学コースは終了した。
なかなか楽しかった。機会があったらまた行ってみたいなぁと思う。
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