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2014.11.21

映画「グレース・オブ・モナコ 公妃の切札」を見る

「グレース・オブ・モナコ 公妃の切札」
監督 オリヴィエ・ダアン
出演 ニコール・キッドマン/ティム・ロス/フランク・ランジェラ
    パス・ベガ/パーカー・ポージー/マイロ・ヴィンテミリア ほか

 「グレース・オブ・モナコ 公妃の切札」の公式Webサイトはこちら。

 ネタバレありの感想は以下に。

 滅多に映画を見ない私なのだけれど、この「グレース オブ モナコ」は何だか見てみたいと思っていた。
 しかし、映画の上映期間というのはこんなに短いものだったんだろうか。10月18日公開のこの映画、1か月後には上映館が半分くらいに減ってしまっていた。しかも、11月21日に上映終了という映画館も多い。
 早く行かなくてはということで行ってきたけれど、ここまでぎりぎりだと金券ショップでチケットを買うこともできないということも併せて学んだ。

 

 グレース・ケリーといえば、オスカーを獲った直後、人気絶頂のハリウッド女優の地位を投げ打って、モナコ公国のレーニエ3世に嫁いで大公妃となったということくらいは知っている。
 あとは、どうも幸せな結婚という感じではなさそうだよなとか、若いうちに亡くなってしまったよなとか、それくらいしか知識がない。
 しかし、この映画は、ハリウッド女優が大公妃となる「おとぎ話」のウラを見せてくれる訳ではないし、大公妃となった後のグレース・ケリーの苦悩や苦労が描かれているわけでもない。
 じゃあ、何を描いているのかと言われると、見た後でもちょっと困る。

 

 私が見る前に想像していたのは、グレース・ケリーが"本当の"モナコ公妃として認められるまで、グレース・ケリーが国家存亡の危機に際して一発逆転の大ホームランを打って、国も救われるし本人も救われるという、勧善懲悪というか最後には判りやすくすかっとするストーリーだった。
 でも、これが意外とすかっとしない。
 というか、ネタバレをしてしまうと、各国首脳クラスを集めた赤十字のパーティを主宰したグレース・ケリーは、モナコに無理難題を押し付けてきたド・ゴール将軍を招待することに成功し、その彼の前で一世一代のスピーチを行い、そこでの合衆国国防長官らの反応を目にしたド・ゴールが翌年になってモナコへのちょっかいを諦める。

 

 こういうことを言うのはどうかと思うのだけれど、グレース・ケリーのこのスピーチが、私には、それほど感動的なものとは思えなかったのだ。
 英語で語られ、日本語字幕を読んでいたせいなのか、英語をそのまま理解できれば話は違っていたのかも知れないのだけれど、字幕を読む限りでは「このスピーチのどこがポイントなの?」と思ってしまう。
 あのスピーチは「事実として」そんな感動を呼び、歴史を動かしたんだろうか。
 私の中では、そのクライマックスが今ひとつ盛り上がりに欠けていたので、今ひとつスッキリしない映画という印象が残った。

 

 今ひとつスッキリしない理由はもう一つあって、マッジという公妃の世話係みたいなお行儀係みたいな人がいるのだけれど、結局彼女は裏切り者だったんだろうか。
 ぼーっと見てしまったらしく、どうもそこがはっきりしない。
 見たときは、「マッジは実は探偵と会っていたのも個人的に疑いを持っていたレーニエ3世の姉夫婦を調べさせるためでした」というオチだと思ったのだけれど、いやマッジは姉夫婦とつるんでいたことを白状しました、というあらすじを書いているサイトもあって、自信がなくなってしまった。

 

 でも、この映画で一番の策士は、結局、神父様だったんじゃないかと思う。
 彼がレーニエ3世にグレース・ケリーを妃に迎えることを進言し、結果その通りになり、グレースがモナコ王室に溶け込もう家族を守るためなら完全な公妃を演じようと決心したところで合衆国に帰って行く。
 彼がモナコをどう思っていたのかはよく判らないけれど、「自分の代わりを自分よりずっと的確にやってのける後釜を見つけたから、やっとお役御免だよ」という風情を感じてしまった。
 グレース・ケリーは彼に頼り切っているように描かれていたけれど、いや、あなたを不幸に(まぁ、それは不幸ではありませんでしたというオチもある訳だけれど)追い込んだのはその男だよ、と画面に向かって言いたくなってしまった。

 

 それはそれとして、モナコ公国は風光明媚なところだし、グレース・ケリーを演じたニコール・キッドマンもきれいだ。
 ニコール・キッドマンの顔、特に目のアップが随所に使われる。
 ニコール・キッドマンよりレーニエ3世を演じた**の方が肌がきれいなくらいかもと思ったし、アップが多用されている分その肌の疲れ方が目についてしまったけれど、しかし、いくらでも隠したり修正したりできるだろうにしなかったのは、何らかの意図があるんじゃないかと思ったけれど、よく判らなかった。
 しかし、正装してドレスアップしたときとのギャップが大きく、正装したり街に出たり「今からやるわよ」というときとの落差はものすごく印象深くなったと思う。
 そしてまた、ドレスからアクセサリからメイクにヘアメイクと、彼女が気合いを入れたときの気合の入り方も半端ない。
 目の保養どころの騒ぎではないという感じだ。
 これだけでも一見の価値ありという感じである。

 

 グレース・ケリーはどうしてこのレーニエ3世という人と結婚したの? という疑問を持たせてしまうところはどうかと思うのだけれど(もうちょっと愛すべき人物として描かれていてもいいと思う。)、でも、何だかんだ久しぶりの映画を楽しんだのだった。

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