「シルクロード・アンサンブル with ヨーヨー・マ 結成15周年」を聴く
「シルクロード・アンサンブル with ヨーヨー・マ 結成15周年」
出演 チェロ:ヨーヨー・マ
ヴィオラ:ニコラス・コーズ
タブラ:サンディープ・ダス
パーカッション:藤井はるか
ヴァイオリン:ジョニー・ガンデルスマン
パーカッション:ジョゼフ・グラムリー
ヴァイオリン:コリン・ジェイコブセン
ケマンチェ:ケイハン・カルホール
パーカッション:シェーン・シャナハン
コントラバス:ジェフリー・ビーチャー
尺八:梅崎康二郎
ピパ:ウー・マン
笙、歌:ウー・トン
曲目 シルクロード組曲
ケイハン・カルホール:千頭の馬のギャロップ
ウー・マン: ナイト・ソーツ
マーク・スーター: ウィーヴィングス
藤井はるか: しんがしうた
ジャ・ダカン: プロスペクト・オヴ・カラード・デザート
サンディープ・ダス: スリシュティ
梅崎康二郎: 鶴の恩返し
コリン・ジェイコブセン:アタシュガー
梅崎康二郎: サイド・イン・サイド・アウト
アンコール
ピート・ティガ:リトルバード
イラン古謡/コリン・ジェイコブセン編曲:アッセリング・バード
ウー・トン(笙)、サンディープ・ダス(タブラ)による即興曲
公演日 2014年11月4日(火曜日)午後7時開演
場所 サントリーホール 2階P7列13番
料金 7000円
公演時間 2時間40分(20分の休憩あり)
D席は、舞台の真後ろの席だから、舞台は完全に後ろから覗き込む形になるのだけれど、その代わりに非常に近い。
そして、ホール全体を見渡すことができる。
D席と、1階席中央部分はほとんど埋まっていたけれど、2階、3階は空席が目立った。何だか勿体ない。
「シルクロード・アンサンブル」となると、with ヨーヨー・マとあってもなかなか聴衆を呼べないものなんだなぁと思ったりした。
けれど、このコンサートはなかなか楽しかった。
今回のシルクロード・アンサンブルには、日本の方が2名含まれていて、シルクロード組曲が終わった後、何回か、お二方で解説を入れたり、作曲者の方へのインタビューを訳してくれたりしたこともその一因だと思う。
とりあえず、そのやりとりで、シルクロード・アンサンブル内の公用語は英語らしいということが判った。
それはともかく、今回は、この日本人お二方が作曲した曲も3曲含まれていたし、何というか、親切な構成になっていたと思う。
1曲目は、いかにも馬頭琴で演奏されそうなギャロップのリズムが刻まれている曲だった。軽やかで楽しい。
いかにもシルクロード・アンサンブルな曲調で、後ろからなのだけれど楽しげに演奏していることが判る。
2曲目は「ピパ」と言われるとピンと来ないのだけれど、「琵琶」の曲で、一転して物悲しい感じが漂う。琵琶1本というのも余計にそういう風情を漂わせていると思う。
3曲目は、パーカッショニストだけ4人で、籐を編んで手のひらサイズのマラカスのような楽器を全員が持ち、これまた楽しそうに演奏していた。パーカッションが活躍すると、より近い場所で演奏されるので、裏側に座った甲斐があるというものだ。
4曲目は、日本人パーカッショニストが作曲した曲で、お祖父さんの出身地の歌をモチーフにした曲を、今回シルクロードアンサンブルのために編曲したということだ。MCの男性にヨーヨー・マが耳打ちし、客席にいらしていたお祖父さんを紹介していたのも楽しい演出である。
2曲目は、「北京の京劇に対して、四川の川劇」と言われるその川劇をモチーフにしたのだったか、川劇をイメージしたのだったか、とにかくそういう曲で、一つ一つの楽器が例えば「虎」とかの登場人物を表しているということだった。
それなら、ついでに、どの楽器がどの役なのかも教えてくれたらより楽しめたと思うのだけれど、残念ながらその紹介はなかったので、勝手にイメージしながら見ていた。
3曲目は、シヴァ神の絵をみなで描くように、パーカッションで描いてみた、という曲だという。
何よりも、最初の法螺貝の音が印象的だ。インドでは、法螺貝の音はもっともピュアな音だと言われているのだという。
シヴァ神、シヴァ神と思って聴いたせいか、何となく頭の中には「天地創造」という言葉が浮かんでいた。
後半の始まりは、「鶴の恩返し」で、説明が若干判りにくかったのだけれど、とにかく合衆国の「360度地平線」という感じの場所にある学校でのワークショップから生まれた曲のようだ。
メンバーである梅崎康二郎が作曲し、尺八も吹き、物語も語っていた。お爺さん、お婆さん、鶴の3人を演じ分けようという心意気を感じる。
その尺八のメロディー、日本語での語りに合わせて、ヨーヨー・マのチェロとパーカッション(といっても太鼓ではなく、鈴のようなものだったのではないかと思う)が入る。
贅沢な時間だ。
2曲目は、ゾロアスター教の儀式を見たときにインスパイアされて作曲した曲だということだった。
ゾロアスター教といえば「火」だけれど、それは、燃え盛る火ではなく、1000年燃え続けているというような静かな火のイメージだった。
というか、どちらかというと、火というよりは水のイメージを感じた。
最後は、梅崎康二郎作曲の新曲だそうで、古今東西の曲をコラージュした曲だった、らしい。
もっとも、私は「この部分はあの曲だ」と判ったりはしないので、エキサイティングを感じることができないのが残念である。
唯一、「あら」と聞き分けられたのは、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」だった。それも、含まれていますとパンフレットに書いてあったから「ここかな」と思ったのであって、書いてなかったら全く気が付かなかっただろうと思う。
今回のコンサートの白眉は、でも、アンコールの3曲だと思う。
アンコール1曲目の全員参加のにぎやかで楽しくて華やかな曲もいかにもアンコールという感じで楽しかったけれど、一番印象に残ったのは、最後の即興である。
笙とパーカッションの奏者二人が、全くの即興で演奏したらしい。
笙の、ちょっとパイプオルガンのような音に始まり、その間に「靴を脱いだな」と思っていたら、パーカッションのお一人が少しずつそこに加わって行き、掛け合いになり、呼吸を合わせて真剣勝負の演奏が続く。迫力だ。
周りで聴いているメンバーも楽しそうだ。
この最後の1曲を聴けて見られただけで、十分という感じがした。
本当に「楽しい」という感想に尽きるコンサートだった。
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