「2014年の5本」を選ぶ
2014年に見たお芝居は61本62公演だった。
今年は随分とたくさんのお芝居を観た気でいたのに、昨年と同数というのが釈然としない。どうしてだろう。風邪をひいて行けなかった公演が何本かあったからだろうか。体力を考えてチケットを取らねばならない年齢になったということかも知れない。
来年も、若干本数は抑えめにはなりそうだけれど、楽しくお芝居を観たいと思う。
かなり呻吟した末、61本見た中から選んだ「2014年の5本」は以下のとおりである。
「ダディ・ロング・レッグス」@シアタークリエ 2014.3.9
たった二人だけのミュージカルだけれど、その二人が実力者であればこんなにも美しく楽しいミュージカルになるんだと感激した。
「あしながおじさん」恋愛バージョンという感じで、ラストシーンのテイストを原作と変えないで欲しかったなぁと思うけれど、それも含めて大いに楽しんだ。
「わたしを離さないで」@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 2014.5.10
カズオ・イシグロの原作を倉持裕がかなり上手く戯曲に仕立ててあったということに、見終わって原作小説を読んで気がついた。原作小説を何度も読み返した後でも、実はこの芝居について何も判っていないという感じが強く残る。
でも、多部未華子の佇まいや、舞台全体に漂う暗くて重くてでも清浄な空気感など、静謐なという言葉がとてもよく似合う舞台だった。
「トーマの心臓」@紀伊國屋ホール 2014.5.25
初Studio Lifeが「トーマの心臓」で、ユーリ役が山本芳樹というのは、我ながら正しい選択だったと思う。
こちらも見終わってから原作漫画を読んだ。そして、漫画を何度も読み直したのに「うーん、さっぱり判らない」という気持ちが大きいのも同じだ。
でも、これがStudio Lifeだ、これがトーマの心臓だ、という確信は強い。
ぶれない方針に従って様式美を追求し徹底して作り込んだ芝居というのは強い。
「サバイブ!」@SPACE雑遊 2014.9.20
本当に久々に見る自転車キンクリートSTOREの芝居というだけで嬉しい。でも、作・演出が飯島早苗・鈴木裕美コンビでないのは寂しい。
でも、歌川椎子と久松信美のコンビが、マザコンで母親の支配下に置かれた長女とその恋の相手というまさにハマり役を演じているだけで涙が出てきそうにすらなってしまう。
「おもてなし」@ザ・スズナリ 2014.11.22
わかぎゑふが大阪船場を描くとなれば、それはもう「面白いに決まっている」という絶対かつ絶大な信頼感がある。しかも、(多分)「お」のつくシリーズとなれば尚更だ。
しかし、この芝居はもう、みやなおこ演じるかねさんという女のコワさを見せてもらった。
最後の最後にゾッとした。ゾッとしつつもしかしその強かさに笑ってしまう。笑ってしまうには、彼女を信頼しきっている本家の坊ちゃんが気の毒な気がする。
そういう芝居だった。
2014年は10本にしちゃおうかとかなり迷ったのが、以下の5本である。
「赤鬼」@青山円形劇場 2014.6.13
「おとこたち」@東京芸術劇場シアターイースト 2014.7.11
「ラストフラワーズ」@赤坂ACTシアター 2014.8.8
「鴎外の怪談」@東京芸術劇場シアターイースト 2014.10.18
「星ノ数ホド」@新国立劇場小劇場 2014.12.6
ミュージカルにストレートプレイ、もの凄く身近な感じから遠い感じまで、小さな劇場から大きな劇場まで、我ながらバラエティ豊かなラインアップになったと思う。
来年もまた楽しいお芝居に出会えますように!
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