「いやおうなしに」を見る
parco produce「いやおうなしに」
脚本 福原充則
演出 河原雅彦
音楽 Only Love Hurts
出演 古田新太/小泉今日子/高畑充希/三宅弘城
高田聖子/山中崇/政岡泰志/駒木根隆介
三浦俊輔/高山のえみ/田口トモロヲ
観劇日 2015年1月17日(土曜日)午後6時開演
劇場 埼玉会館大ホール 1階20列16番
上演時間 2時間55分(15分の休憩あり)
料金 9000円
ロビーでパンフレット(1500円、だったと思う)が販売されていた。
しかし、パンフレット販売よりも、「この場でパルコカードにご入会いただいたら、パンフレットをプレゼントします」という呼び込みが凄かったので驚いた。
あと、(推定)さいたまテレビのキャラが来ていた。
ネタバレは多分ない感想は以下に。
なぜ珍しいことに「ネタバレが多分ない」のかと言えば、ストーリーは追わなくていいやと思ったからだ。
大抵、自分の記憶の整理もあるし、こんなお芝居だったよなぁ、こういう展開だったよなぁと思い出しつつ書いているのだけれど、この芝居の場合はそうじゃないよね、という感じが見ているときからした。
私は全く知らなかったのだけれど、「いやおうなしに」は面影ラッキーホールというバンドの曲を使って、ミュージカルというか音楽劇をやろうというところから始まった企画なのだそうだ。
その場面にぴったりな曲が歌われていたけれど、この舞台のために書き下ろした訳ではなくて、元々あった曲に合わせて脚本を書いたものらしい。
そうすると、社会的なと言うと何だか浅薄だけれど、社会的なことを赤裸々に歌っちゃうバンドなんだなという感想になる。そして、このバンドの曲を元に脚本を書いたら、それはこういう芝居になるでしょうとも思う。
芝居の中で起きる出来事は、大抵は、「嫌な感じ」の出来事だ。
落ち着いて考えると(というか、考えてみなくても)、嫌な気分が残っても不思議はない出来事が次々と起こる。ホルモン丼屋を開いた、小泉今日子と古田新太の夫婦、その娘の高畑充希、娘がマネージャーを務める野球部の顧問の山中崇、お店のバイト従業員の高田聖子に、その「ヒモ」である三宅弘城、夫婦の高校時代の知り合いである当時の野球部キャプテンの田口トモロヲと揃っていて、しかし、演じられているのは「嫌な話」なのだ。
そして、「嫌な感じの歌詞」の格好いい昭和歌謡の雰囲気漂う唄を、この人達が全力で歌い上げる。
私の頭の中にはずっと「全力で悪ふざけ」という言葉がぐるぐる回っていた。出演者の方々が悪ふざけをしている訳では決してないのだけれど、その言葉が浮かんでしまったのだから仕方がない。
何というか、突き放したところで出演者も舞台を楽しんでいる、という感じがしたのだ。
女子高生役のこの可愛い女の子は誰だ、無駄に(というのも悪い意味ではないので念のため)歌が上手いしと思っていて、高畑充希だとなかなか気付かなかった私は間抜けである。
そういう風に考えると、あまちゃんに出ていた古田新太に小泉今日子、ごちそうさんに出ていた高畑充希、高田聖子もそういえば「やんちゃくれ」に出ていたし、連続テレビ小説って何だか凄いと思う。
そして、この芝居もよくもまぁこんなに格好良く歌えて動けて楽しめる役者さんたちを集めたものだと思う。
そういえば、田口トモロヲを舞台で拝見したのは多分初めてだ。
田口トモロヲと聞けば、どうしたってNHKの「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」のナレーションのイメージが強くて、ご本人の容姿はそういえば全然知らず、なので今回も「あぁ!」と気がつくまでに時間がかかった。出演していることは当然知っていたのに間抜けである。
嫌な出来事の連鎖の最初を始めるような役回りで、それを普通にサラリと見せていて、何だかそのサラリとした感じが恐いくらいだった。
世の中の嫌な気持ちになるようなことを全力で悪ふざけして見せてくれる芝居であり、昭和歌謡の香りが最初から最後まで充満している歌謡ショーでもあった。
どうして、「劇場」というよりは「コンサートホール」に近いだろう埼玉会館で公演があるんだろうと思っていたのだけれど、こういう感じの舞台ならば納得である。
こういう持って行き方は、得意か苦手かと聞かれれば、私は(見るだけなんだけれど、それでも)苦手だ。
でも、歌の力と歌う人の力、実は見ているときにはあまり気にしていなかったのだけれど、既存のバンドの歌を見事にはめて物語を作ってしまった脚本の力、その他、たくさんの一流が集まって、しつこいようだけれど全力で悪ふざけってこんなに楽しいものかと思った。
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コメント
アンソニー様、コメントありがとうございます。
CDをお買い求めになったのですね。どうぞこっそり(?)堪能してくださいませ。
ところで、劇場で俳優さんをお見かけすることって意外とありますよね。
もっとも、私は注意力がないので、何だか客席がざわざわしているから誰かがいるんだろうなと思いつつ、結局、どなたがいらしていたのか判らなかった、ということもよくあります(笑)。
投稿: 姫林檎 | 2015.02.28 23:16
姫林檎様
結局面影~のベスト買ってしまいました(笑)
あの舞台を見た後だと案外すんなり入れました。
平田敦子さん、いいですね~
お芝居いくと必ずといっていいほどどなたかいらっしゃいますよね。人によっては本当に集中力をそがれてしまうのですが福田さんは大丈夫でしたw
投稿: アンソニー | 2015.02.28 17:57
アンソニー様、コメントありがとうございます。
いえいえ、「いやおうなしに」が好きだとおっしゃる方の気持ちが判るとはなかなか言えませんが、でも、惚れ込んじゃう方がいらっしゃるということは判ります。
確かにアルバムを買ってどこで聴くかは問題ですね(笑)。
常にイヤホン装着でしょうか(笑)。
贅沢な座席を堪能されたようで良かったですね。
それとも、若干、集中力が分散してしまったでしょうか。
私は、「モンティ・パイソンのSPAMALOT featuring SPAM」 の客席で平田敦子さんをお見かけしましたよ。
またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2015.02.22 00:18
こんにちは。姫林檎様。
こちらも先日観てきました。
私はすごく好きでした。というとちょっと
大丈夫?と思われてしまいそうでご覧になった方には
大きな声では言えないんですけどね。
しかもこれを見てO.L.H.にちょっとはまってしまって
最新アルバムを買おうかしら。
でもどこで聴くのよ!といった状態になってます。
演者さんの歌がみんなそれぞれ持ち味があって
よかったからだと思うのですが(^^;
暗くて嫌な話をさらりと料理するのって
演出の河原さんならではだな~と。
前回別のを観たときも後から考えたら
随分な話なのに観てるときには気にならなかったよ!
と思ったのが共通点でした。
余談ですが福田雄一さんが隣でご覧になっていて、
河原さんが終演後会釈されていきました。
なんだか贅沢な感じの座席でした。。。
投稿: アンソニー | 2015.02.21 20:00
みずえ様、コメントありがとうございます。
天気予報を見て私も完全に雪道仕様の靴で出かけましたが、都心は全く積もりませんでしたね。
帰り道に支障がなくて良かったです。
やっぱり、嫌な話でしたよね。
でも、話の嫌な感じほどは、こちらが嫌に思わなかったのは、そこに歌があって、その歌が良くて、歌う方々が上手かったからじゃないかと思うのです。
またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2015.02.06 23:34
昨日パルコ劇場で観てきました。
雪が心配だったのですが、大したことなくてよかったです。
のっけから結構驚かされました。
ほんと、嫌な話のオンパレードだし、まともな人が誰一人いませんね。
これが普通の舞台だったら暗くなるところが、歌って明るくなってしまうという構成なのでしょうか。
演技派の皆さんが歌もうまいのは(高畑充希ちゃんも上手でしたね!)感心しました。
キョンキョンの歌い方は、アイドル時代と変わってなくて、何だか懐かしい気もしましたね。
でも、私も、こういうタイプの舞台は、そう得意ではないです(笑)
投稿: みずえ | 2015.02.06 13:17
みずえ様、コメントありがとうございます。
パルコ劇場での公演よりもチケットが取りやすいのではと思い、埼玉会館で一足先に見て参りました。
結構大きな会場でしたが、ほぼ満席だったのではないかと思います。
ネタバレなしだったでしょう(笑)。
いや、もしかしたら深淵なる何かが語られていたのかも知れませんが、私はひたすら楽しんじゃいました。
歌の力も、歌唱力の高い人の力も凄いです、やっぱり。
みずえさんもどうぞ楽しんでいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2015.01.20 23:41
もうご覧になったのですね!
私は来月、パルコ劇場にて観覧予定です。
なので、まだ読まないでおこうかなと思ったのですが、「ネタバレなし」とあったので、読んじゃいました。
何だか楽しそうな舞台ですね。
あまり頭を使わず、ただただ浸って面白がればいいのかな、と解釈しました。
合ってますか?
また舞台を観たら、改めて書き込みますね。
ところで、私は今夜、「スタンドバイユー」を観に行きます。
投稿: みずえ | 2015.01.19 10:49