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「真田十勇士」
脚本 中島かずき
演出 宮田慶子
出演 上川隆也/柳下大/黒川芽以/葛山信吾
山口馬木也/松田賢二/渡部秀/相馬圭祐
賀来千香子/里見浩太朗/小須田康人
粟根まこと/鈴木健介/吉田メタル/俊藤光利
佐藤銀平/玉置玲央/三津谷亮 ほか
観劇日 2015年1月24日(土曜日)午後1時開演
劇場 赤坂ACTシアター 1階L列2番
料金 9800円
上演時間 3時間10分(20分の休憩あり)
ロビーでは、パンフレット(値段はチェックしそびれてしまった)やTシャツ、タオルやトートバッグなど、かなり豪華な物販が展開されていた。
また、ガチャガチャまで結構な数が置かれていて、ちょっとびっくりした。
ネタバレありの感想は以下に。
2013年に上演された「真田十勇士」が、2年余で早くも再演である。
キャストもほぼ初演どおりということで、私が気がついたのは、ハナ役が倉科カナから黒川芽以に変わったことと、三好兄弟が吉田メタルと佐藤銀平に変わったこと、他の主要キャストはそのままである。
当たり前だけれど、ストーリーもそのまま変わっていない。
という訳で、大枠のところは、初演の感想そのままである。
しかし、再演を見ている私は、流石に2年前のことなので、ストーリーはほとんど覚えているし、仕掛けも覚えているし、下手をするとセリフも覚えているのだ。
それなのに、初演と同じように(かどうかは自分でもよく判らないのだけれど)、楽しめて、ハラハラドキドキして、泣かされてしまうのだから、やっぱり凄いよと思う。
最初から最後まで縦横に八百屋をキープした舞台、そこで演じられる殺陣の激しさ、火薬やスモークや一輪車まで使い放題のエンターテインメントはもちろん楽しんだし、今回はやけに秀頼に泣かされてしまった。
真田幸村演じる上川隆也は、何しろ一人勝ちにならないところが凄いと思う。
「真田十勇士」というこの芝居自体が群像劇になっているし、猿飛佐助が実は豊臣秀吉の子供だったというインパクトのある仕込みがあり、佐助と徳川方の忍びである花風との恋も絡ませているというところもあるとは思うのだけれど、上川隆也の真田幸村が舞台の中央にどっしりと構え、配下の十勇士一人一人を大切にしている感じが、同時に舞台としての「真田十勇士」を大きなうねりのある舞台にしていると思うのだ。
それでいて、八百屋の舞台を駆け上がっての殺陣は、多分、誰よりも長い時間演じていて、でもその動きに重さは感じさせない。
殺陣といえば、初演のときよりも派手に進化していたと思う。
舞台の横方向にロープのようなものを張って、矢を真っ直ぐ素早く飛ばす工夫は初演の時にもあっただろうか。なかったと思うのだけれどどうだろう。
初演のときに気になった「寸止めが遠すぎる!」という私の個人的な不満は、再演の今回は全く感じなかった。切っていないし当たっていないのは当たり前で、でも、それが自然に演じられていたと思う。
この公演中に柳下大が怪我をしたというのは、見終わってから知った。見ているときにはそこは全く気がつかなかった。
ただ、殺陣のシーンで、玉置玲央演じる穴山小介の軽快さが際立っているなぁとは思ったので、もしかすると、調整して殺陣のバランスが変わっていたのかも知れないとは思う。
やはり、ハナや里見浩太朗演じる徳川家康の殺陣のシーンは平らなところが多いよねというのは、余計な感想だ。そういうところを見るんじゃない、と自分にツッコミを入れてしまう。
しかし、斬られ役の役者さんたちは、一体何回くらいあの舞台を上下に駆け回ったのだろう。槍を持ち、銃を持ち、刀を持ち、倒れ、起き上がり、そして駆け抜けて行く。最後の挨拶に並んだときの人数が意外と少なくて本当に驚いてしまった。
佐助とハナが薩摩に向かう船に乗ったという報告を受け、真田幸村たちは気勢を挙げ「あとは華々しく散るのみ」と槍を突き上げ、徳川家康たちはしてやられた感がありつつも力でねじ伏せてくれるとこれまた気勢を挙げる。
そうなってからの戦いのシーンで、十勇士が次々と倒れていくまでの時間が短かかったような気がする。もう少し、十勇士(この時点で佐助はいないけれども)での戦いを見たかったなと思う。
そして、そのせいかどうかは判らないのだけれど、十勇士が次々と倒れて行くシーンは何故だか涙は誘われない。
それなら、私の泣きどころはどこだったかと言うと、何故だか今回は、秀頼と淀殿に佐助が「逃げろ」と言いに行ったシーンだった。
徳川家康が豊臣の血筋を根絶やしにするつもりだと知った佐助が、二人だけなら自分が守れると、城から逃げるよう言いに行く。そして、そんな甘言に惑わされるかと言い放つ淀に、自分が秀吉の子供であると告げ、その証拠となる書き付けを見せるのだ。
「自分に兄がいる」と知った秀頼が、佐助に「生き延びろ」と言い、自分はこれで死んで行けると笑顔さえ見せるシーンで、何だか泣かされてしまった。
泣かされつつも、どうして秀吉の子であるという証拠の書き付けを秀頼が自分でしまいこみ、佐助に返さないんだろうなどと思っていたのだから、私もどうも情緒に欠ける。
十勇士が次々と倒れ、最後に奮戦した真田幸村も倒れ、徳川家康が「この魂を受け継いだものに徳川幕府は倒される」と意味ありげなことを呟いて、大阪夏の陣は終わる。
そして、十勇士が次々と現れ、未来を語る。
その未来は、佐助とハナの未来であり、徳川幕府の終焉である。
来航した黒船の中に「サスケハナ号」があったことは、初演を見たときに史実だと知ったけれど、やっぱり上手いよなぁと思ってしまう。この事実から逆にこの物語は生まれたんだろうか。
そして、真田幸村と真田十勇士が揃い「時の流れに逆らい、義を貫く」と唱和してそれぞれが派手に見栄を切り、幕である。
トリプルコールで、最後にはスタンディングオベーションとなった。
やっぱり、面白かった!
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