「たばこと塩の博物館」に行く
先日、2015年に場所を墨田区に移して新装オープンしたたばこと塩の博物館に行って来た。
2016年3月21日まで、隅田川をめぐる文化と産業~浮世絵と写真でみる江戸・東京~というタイトルの特別展も開催されていた。その特別展も含めて入館料100円は破格である。
2階には特別展示室もあり、隅田川で夕涼みをする人々や、川沿いの料亭で騒いでいる人々、隅田川の花火を橋いっぱいに陣どった人々が眺めている様子などを描いた浮世絵などが展示されていた。隅田川沿いに残る伝説や、隅田川を舞台にした物語を描いた絵もたくさんあって、江戸の中心は墨田界隈だったのよね、という感じが伝わってくる。
また、千葉県の行徳で行われていたという製塩の様子も展示されていた。行徳から江戸まで塩を運ぶために、川の水運が整備されたという。
さらに時代が進んで、隅田川沿いで日本で最初にマッチが作られたり、石鹸が作られたり、セイコーやアサヒビールの工場があったりといった歴史が写真と絵によって表されていた。
2階の塩のコーナーも、3階の煙草のコーナーも、体験型の展示といえばいいのか、映像やジオラマなどが多用されていてなかなか楽しい。
日本では、塩は海水から作られているが、世界全体を見ると、岩塩から取っている場合が2/3を占めている。日本では岩塩が取れないから仕方なく海水から作っていた、ということらしい。意外だ。
昭和30年代までは、塩は、このジオラマのように入浜式塩田で作られていた。
というか、2015年に能登を旅行した際には、ほぼさらに以前の方法である揚浜式で塩を作っているところを見学させてもらっている。
砂を塩田に撒いて広げ、水分を蒸発させ、沼井と呼ばれる池のようなところに塩が濃く付着した砂を集める。沼井に海水をかけて砂についた塩分を溶かして濃い塩水を作り、今度はそれを火にかけて煮詰めていく。
「濃い塩水を作る」までの工程は、火にかけて煮詰めて行く工程で燃料を節約するためのものだ。
何だか凄い。
岩塩の場合は、ひたすら地下を掘るような形になるので、地下に大きな岩塩坑があり使われなくなった岩塩坑内が、塩の宮殿になっているという。ポーランドのベリチカにある宮殿内部に安置されている、岩塩を彫って作られた「聖キンガ像」のレプリカなども展示されていた。
私がたばこと塩の博物館に行ったのは、このレプリカを見るためだといっても過言ではない。
メキシコのパレンケ遺跡にある 「十字架の神殿」入口奥の石柱に刻まれたレリーフである。
世界で一番古い、「煙草を吸っている姿が描かれた」像だという。2012年に旅行した際に、もちろん本物を見ていて、そのレプリカがあると知ってからぜひもう一度この神様を見たいと思っていたのだ。
その他にも、江戸時代の煙草屋さんの様子がジオラマで再現されていたり、世界各国の煙草のパッケージが展示されていたり、いかにも昭和な感じの煙草屋(赤電話つき)が作られていたり、私は煙草飲みではないけれど、それでも楽しい。
中でも、かぎ煙草入れといえばいいのか、小さな5cmほどの瓶のコレクションが楽しかった。
以前に台北の故宮博物院に行ったときにも、常設展だったか特別展だったか記憶が定かでないながら、もの凄い大量の煙草入れのコレクションを見たことを覚えている。
日本で「煙草入れ」というと、時代劇に出てくるような、男の人が腰に付けてぶら下げているようなイメージで、もちろんそちらのコレクションも展示されている。
でも、私は趣向を凝らした瓶の煙草入れの方に心惹かれた。
また、イベントスペース(だと思う)では、すみだモダン2015発表会が開催されていた。
詳しくは、すみだモダンの公式Webサイトを確認してもらうとして、墨田区の「ものづくり」をデザインの観点から発信して行こうという試みのようだ。
今年の入賞作品が展示され、アンケートに答えてコーヒーのドリップパックを1杯分いただいた。
たまたま行き会うことができてラッキーだった。
すみだモダンの商品は、東京ソラマチのイーストタワー5階に常設店があって購入することができる。なかなかいい情報を得た。
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