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2016.04.25

「生誕300年記念 若冲展」に行く

 2016年4月23日、ぽっかりと時間が空いたので、2016年5月24日まで東京都美術館で開催されている、生誕300年記念 若冲展に行って来た。
 上野公園の入口でチケットを購入したところ、「入場まで10分待ちですがよろしいですか」と言われて驚いた。どちらかというと国貞・国芳展の方が混雑しているだろうと上野に回ったので、15時半くらいに行ってそういう状態だとは思わなかったのだ。

 実際に東京美術館まで行ってみたら、コインロッカーはちらほら空きがあったし、入場待ちもなかった。
 しかし、一歩中に入ったら大混雑である。大体、絵の前には三重から四重に人垣ができていて、少し離れたところから見ると絵の下半分は人の姿で完全に隠れてしまう。
 驚いた。
 出る頃になって初めて知ったところでは、この若冲展は昨日から始まり、この日が開催後初の週末だった。それは混雑している訳である。事前のリサーチ不足だ。

 釈迦三尊像と動植綵絵、相国寺に寄贈されたこれら33幅が一堂に会すのはこれが初めてだという。
 その「売り」を最大限に活かして、これら33福は楕円に作られた部屋の周りにぐるりと、それだけで展示されていた。
 絵を褪色から守るために照明が暗く落とされていたこともあって、このお部屋はかなりいい感じで居心地が良かった。

 そのプロローグといった感じで、若冲展は「画遊人、若冲(1)」というコーナーから始まる。
 混雑していたのであまり説明も読まなかったけれど、それでも、若冲という人が結構大きなお店のご主人で、絵を始めたのが40歳くらいのとき、その後85歳くらいまで描き続けたと読んで驚いた。
 何と言うか、画家としては稀有なくらい、経済的に恵まれた人生である。そういえば、これだけ華やかな絵を描くためには画材だって相当値が張っただろうしなぁと納得した。

 若冲と言えば群鶏というイメージが強いので、このコーナーにあった「伏見人形図」はユーモラスな可愛らしい絵で微笑ましかった。
 一体、何を思って誰のために描いたのでしょうという感じだ。若冲は孫がいたわけでもないようだし、誰に向けた絵だったんだろうなぁと思う。
 達磨図や竹虎図などは、「群鶏」とは違う別の「若冲っぽい」という感想が浮かぶ絵で、うんうんどこだか忘れたけど見覚えがあるぞと思いつつ眺めた。

 鹿苑寺って金閣寺のことだよねと思いつつ、重要文化財に指定されている襖絵も展示されていた。
 色味が地味なせいか、人が少なくてゆっくり見られたのが嬉しい。
 逆にどうしてここまで行列して見ている人が多いのか謎だったのが「乗興舟」という横に長い(巻物だったのかも知れない)絵で、川に舟を浮かべた絵が延々と白黒の割と濃淡くっきりと描かれていた。地味だけどなぁ、何というか特徴のない感じの絵だけどなぁと少し見ただけで離脱してしまった私はやはり絵心がない。

 木版画のコーナーもあって、それこそイメージが違っていたので驚いた。
 まず、バックが黒で塗りつぶされているのが意外だ。そこにカラーでくっきりと鳥と花が描かれていて、モダンな感じである。
 ここにあった「椿に白頭翁図」がいい感じで、絵はがきも購入した。
 1枚くれると言われたら、サイズ的にもこの絵がいいなぁと思う。

 そして、釈迦三尊像と動植綵絵である。
 これら33幅の絵だけをぐるりと囲むように展示してある。
 部屋に入って正面に見えるのが釈迦三尊像だ。比較的、釈迦三尊像の前は空いている。ゆっくりと見ることができた。
 とはいっても、「お釈迦様、ハンサムには描かれていないなぁ」「普賢菩薩と文殊菩薩は対照的に、でも双子みたいに顔はそっくりだ」とか小学生みたいなことを思いながらぼーっとしていただけである。
 近づいてみると、細かく細かく描き込まれていることが判って、気が遠くなる。どれだけの時間と根気をつぎ込んだのだろう。

 動植綵絵はとにかく常に三重四重に人垣が出来ている状態である。
 その間隙を縫って、全体像を見るべく努める。やはり、鳳凰や群鶏を描いた豪奢な絵が人気のようだ。
 それはそれとして、イヤホンガイドってどうなんだろうなぁとも思う。イヤホンガイドの説明がある絵の前は、とりあえずガイドが終わるまでは立ち止まる人が多いので、渋滞が発生している。解説があった方が理解が深まる絵にガイドが作られ、じっくり見るというのは悪いことではないのはもちろんだけれど、ガイドなしで見ていると、何だかなぁという気持ちにもなる。

 私の方はまた呑気に、この30枚の絵の中でどれが一番欲しいかなぁと考えながら眺めていた。
 これだけ大きな絵だから、お城とかお寺とか、大きな建物の中でなければ映えないよなぁとか、たまに近づいて見るとやはり胡粉は剥落しやすいのか白は落ちているところがあるなぁとか、蛸の絵があったりするのは何だか楽しいとか、梅も桃もあるのに桜の絵はないのだなぁとか、紅葉の赤はそこだけくっきりと浮き出すようでちょっと気持ちが悪いなぁとか、本当に適当なことを考えていた。
 結果、33枚の中で私が欲しいなぁと思ったのは、桃花小禽図である。
 華やかすぎず地味すぎず、鳥の羽の青が鮮やかで効いていて、ぜひ欲しいと思った。

 「画遊人、若冲(2)」のコーナーで、一番楽しかったのが百犬図だ。
 百匹もはいないけれど、とにかく沢山の子犬が描かれている。可愛い。
 そして、もう一つ楽しかったのが、菜蟲譜だ。後半の虫はちょっと気持ち悪かったけれど、前半に描かれた野菜が素朴な感じで、このまま一つ一つの野菜を絵はがきにしてくれればいいのになぁと思った。
 あと、象と鯨図屏風も、大胆すぎる感じで良かった。屏風が二竿並べられていて、左端に黒い鯨、右端に白い象が描かれている。
 象の方は一見して象だけれど、鯨の方は「ん? どの向き?」という感じで迷うのも楽しい。

 最後が、「米国収集家が愛した若冲」というコーナーだ。
 ここにあったメトロポリタン美術館蔵の「月梅図」が、複数あった月と梅を描いた絵の中で一番いい感じだったと思う。
 このコーナーで一番人気だったのは、もちろん、鳥獣花木図屏風だ。
 何ともモダンな感じの色使いで描き方だ。墨の濃淡の点描で石灯籠を描いた屏風もあったけれど、こちらは屏風を1cm角くらいのマス目に区切って、「タイル?」みたいな感じに仕上げられている。群鶏図等のように「白、黒、赤、金、以上」という感じではなく、青が基調になっているのも何だかエスニックな感じだ。
 一体、どこに置くつもりで描いた屏風なんだろう? と思う。

 そんな感じで1時間半くらい歩き回って堪能した。
 もちろんミュージアムショップも大混雑である。図録だけを購入するのであれば、ミュージアムショップから1階降りたところに書籍のコーナーがあるのでそちらで購入する方が並ばずに済む。
 スタッフの方によると、初日はレジが最高60分待ちになったそうで、「見終わってから買いたい気持ちは判るけれど、見る前にお買い物された方がスムーズに買えます」とおっしゃっていた。
 もっとも、この日はレジ10台がフル稼働していたこともあって、10分待ちくらいでお会計を済ませることができた。

 動植綵絵の絵はがきがもちろん欲しかったけれど、バラ売りはしておらず、6枚ずつ5セット作られていて、セットでしか購入することができない。
 じっくり眺めると、セット1に1枚、セット3に2枚といった感じで、欲しい絵が分散していたので購入は諦めた。ちょっと悔しい。
 鳥獣花木図屏風に描かれた白像をモチーフにした絵を瓶に描いた日本酒が飛ぶように売れていた。

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コメント

 アンソニーさま、コメントありがとうございます。

 アンソニーさんは、若冲の寄進先である相国寺で見ていらっしゃるのですね。
 確かに、本物を本場で見ていらっしゃるのですから「今回はまぁいいか」というお気持ちになるのは判るような気がいたします。

 確かに、私が見に行った日も、最終入場時刻の17時を過ぎるとさっと人が引いていたように思います。
 その代わり、売店はとっても混雑していましたので、絵画展を見る前に売店に行って買いたいものを買ってしまうのも手かも知れません。

 どうぞ楽しんでいらしてくださいませ。

投稿: 姫林檎 | 2016.05.05 17:57

姫林檎様、こんにちは。

若冲展行かれたのですね!
いいですねー。

私は相国寺で以前動植綵絵と釈迦三尊像を見たことがあり、かつプライスコレクションも行ったのでほぼ全て見ているのではなかろうかと思いつつ、やっぱりまた行きたいと思ってます。

平日閉館前が空いていると聞いたのでそのあたりを狙うつもりですがあと20日ほどで行けるかどうか(´-`)

それにしても凄い人気ですよね。
一度見ると何度も見たくなる力のある作品が多いなと思ってます。

投稿: アンソニー | 2016.05.05 10:49

 みき様、コメントありがとうございます。

 確かにとーっても混雑していました、若冲展。
 ですが、私が行ったのが始まって2日目の最初の土曜日だからということもあったかと思います。

 私の感想など間抜けの極みですので、ぜひぜひご自身の目でご覧になってくださいませ。
 一見の価値あり、と思います。

 またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

投稿: 姫林檎 | 2016.05.01 18:58

なんだか人に酔いそうですね。見に行きたいけど、姫林檎さまのレポと「美の巨人たち」で我慢しようかな・・・会期が短いですよね。

投稿: みき | 2016.05.01 08:00

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