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「あの大鴉、さえも」
作:竹内銃一郎
上演台本:ノゾエ征爾
演出:小野寺修二
出演:小林聡美/片桐はいり/藤田桃子
観劇日 2016年9月24日(土曜日)午後1時開演
劇場 東京芸術劇場シアターイースト E列21番
上演時間 1時間25分
料金 6000円
ロビーではパンフレット等が販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
遠近感を思いっきり強調した感じで、壁が奥を頂点にして直角に設置され、その壁に2箇所、水道の蛇口が付いている。
1箇所は手が届きそうもないくらい高く、1箇所は普通の高さだ。
ドアホンなのか、ドアスコープなのか、そういった感じのものが一つ付いている。
舞台の端っこに机があり、デスクスタンドがあり、スライド映写機等々が載っている。
壁際にシンプルな椅子が一つ置かれている。
要するに、シンプルな舞台だ。
いつ、どこで、といった情報は極力排除され、色数も抑えられている。
衣裳も同じで、3人の衣裳はモノトーンに統一されている。小林聡美はスカートかなと思ったら、彼女もパンツスタイルだった。
小林聡美の台詞から舞台が始まる。
大雑把に言うと、3人の男が大きなガラスを山田さんの家に運ぼうとしている話だ。
幕開けから数分はガラスも登場せず、その状況すら示されずにいたけれど、そのうち大きな黒い板を3人が運び始め、運び始めると同時に会話が生まれ、段々と状況が判って来る。
判って来ると言っても、せいぜい、上に書いたことくらいだ。
そして、山田さんの家を誰も正確には知らず、ある筈の場所に山田さんの家はなく、そこには三条さんの家がある。
3人の「男」という設定なので、語られる言葉も男言葉だ。
男優が演じていれば何ということもなくスルーしてしまいそうだけれど、女優が低音でしゃべると、何だか特別な台詞に聞こえて来るから不思議だ。
椅子に座っていた幕開けの小林聡美からして、その手の動きが「決められたもの」という感じで、ダンスの振付とまでは言わないけれど、キレイに意識的に動かされている。
片桐はいりと藤田桃子の歩き方もキビキビと意識的だ。
そういうところを見ていると、「身体性」という言葉が浮かぶ。
台詞があると思えば、3人が「山田さんちはどこにあるのか」と言い合ったり、片桐はいりが「足が痛い」と言い張ったり、持ち方が悪いと言い合ったり、そういう「状況」だけが語られる。
話はなかなか進まない。
そして、時々、ダンスの様なダンスでない様な動きが入る。
音響は結構入っていたと思う。
大きなガラスは、ヒモで輪郭が示されたり、完全にマイムでそこに出現させられたりする。
とてもとても申し訳ないことながら、時々、落ちてしまった。
女優さん達の台詞が低音で心地よかったこともあるし、私がこういったタイプの芝居に慣れていないということもあるし、意味を求めようとしてしまうと激しく難しいということも理由だったと思う。
大体「どうなるんだろう」「この先どうなるんだろう」と思って見ているので、不条理な感じから頭が逃亡を図ったのかも知れない。我ながら、本当に頭悪いなぁと思う。
後半になると、ついにそこにあった三条という表札の出ているお宅がガラスを届けるべき山田さんの家だと判明する。
三条さんはポルノ女優で、その旦那さんが山田さんだけれど、山田さんはすでに亡くなっているらしい。
ガラスを届けるべき3人は、ドアスコープ(そこはドアではなくて門だった訳だけれど)を覗いて興奮している。
このシーンは男優が演じたらかなりどぎつくもなりそうだけれど、女優が男言葉でしゃっきりと演じると、何とも不思議な絵面になる。いやらしさとか興奮というよりも、コメディっぽく見えてくるし、そう狙ったんだと思う。
結局、ガラスを届けることができたのか、できなかったのか、そもそもガラスは最後まで割れずに3人の手の中にあったのか、そういえばそれすらよく判らない。
いつの間にか、3人はそれぞれの「場所」にあり、一番高いところにあった蛇口からビー玉のようなパチンコ玉のようなものが降ってきて、3人の(そして客席の)視線が集まり、そこで幕だった。
やっぱり難しい。
どう楽しめば良かったんだろうと思っている。
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コメント
みずえ様、コメントありがとうございます。
みずえさんもご覧になって、そして落ちそうになったのですね。
勝手に親近感を抱いております(笑)。
おっしゃるとおり、「3人の女優さん達が凄かったとは言えるけど、また見たいとは言えないかも」と私も思っております。
またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2016.10.27 23:15
姫林檎さま
先日コメントを入れたつもりでしたが、入ってなかったかな(汗)
私は先週観ました。
私も途中落ちそうになりましたよ。
席がかなり前で、しかも途中聡美さんがずっと座っているチェス側だったので、彼女に気付かれてはまずいと何とか持ちこたえたけど。
これは演劇というか、パントマイムのようでもあり、何かの表現ともいえる舞台でしたね。
三人の力量は伝わったけれど、面白かったかと問われたら、素直に頷けない舞台だったかも。
投稿: みずえ | 2016.10.25 11:06