「江戸歌舞伎三百九十年 猿若祭二月大歌舞伎 夜の部」を見る
江戸歌舞伎三百九十年 猿若祭二月大歌舞伎 夜の部
一、門出二人桃太郎 三代目中村勘太郎 二代目中村長三郎 初舞台
初舞台勘太郎/初舞台長三郎
時蔵/芝翫/勘九郎/七之助
染五郎/松緑/菊之助/児太郎
橋之助/福之助/錦吾/亀蔵
彌十郎/雀右衛門/魁春/梅玉/菊五郎
二、絵本太功記
芝翫/魁春/錦之助/橋之助
孝太郎/鴈治郎/秀太郎
三、梅ごよみ
染五郎/菊之助/勘九郎/萬太郎
児太郎/吉之丞/歌女之丞/松之助
橘三郎/亀鶴/歌六
観劇日 2017年2月11日(土曜日)午後4時30分開演
劇場 歌舞伎座 1階14列26番
上演時間 4時間20分(25分、30分、5分の休憩あり)
料金 18000円
知り合いのお姉様に声をかけていただいて、こけら落とし公演以来となる歌舞伎座に行って来た。
中村勘九郎の長男そして次男の二人の初舞台である。
中村勘三郎へのオマージュであった野田秀樹作演出の「足跡姫」を見たすぐ後に、中村勘三郎の孫二人の初舞台を見るというのもなかなか乙である。
その「門出二人桃太郎」は、本当に物語は「桃太郎」そのままで、しかし桃太郎は「兄の桃太郎」と「弟の桃太郎」の二人である。その二人を、本物の兄弟である勘太郎と長三郎の二人が演じる。
この二人の初舞台であるということが最重要、という舞台で、彼ら二人の初舞台を舞台上にいる全員と、客席にいる我々全員が寿いでいる、という舞台だ。
舞台上の役者さんたちもにこにこと見守っているし(勘九郎はハラハラどきどきしている感じがした)、客席もにこにこと見守っているし、歌舞伎座全体に温かい空気が流れた。
正直に言うと、こんなに舞台として緩くていいのか? とも思ってしまったけれど、多分いいのだろう。
売店でも、桃太郎グッズがたくさん販売されていて、なかなか楽しかった。
「絵本太功記」は、織田信長を討った直後の明智光秀の家族の物語である。
「太功記」だから、主役は豊臣秀吉でありそうなものだけれど、少なくとも今回上演された部分はどう見ても主役は明智光秀だ。
秀吉との決戦を前にして、実母が引きこもった庵に潜入していた秀吉を殺そうとして障子越しに竹槍を突き刺したその先に実母がおり、またそんなことをしている間に初陣で戦場に出ていた息子が瀕死の重傷を負って帰還する。
ドラマチックだし、登場人物達の感情の起伏も激しいこの舞台は元々は義太夫だったそうで、役者も台詞をしゃべるけれど、義太夫によって語られる場面も多い。
その義太夫の語りと、人形振りではない役者さんの演技との絡み合いがポイントでもあると思う。語っている方は顔を真っ赤にして渾身の力で語り、役者さんはそれをあるときは淡々と、あるときは身も世もなく泣き崩れて語る。
嘆きの声のときだけは、両者の声が重なっていたと思う。
不思議な感じのする舞台だった。
「梅ごよみ」は、一転して「恋のさや当て」をもうちょっとえげつなくした感じの舞台である。
染五郎がその「四角関係」の要の色男を演じ、彼の許嫁である若い娘に、彼に入れあげている辰巳芸者が二人、激しく火花を散らす。
それが楽しい、と言いたいところだけれど、えげつなさ過ぎて少しばかり引いてしまう。その芸者二人を菊之助と勘九郎が演じていて、勘九郎が女形をしているところを初めて見たなぁと思う。
散々、火花を散らして色男を取り合った挙げ句、許嫁の若い娘にかっさらわれて終わるというラストシーンに、どうやっても芸者たちの立場に立つしかない私としては物申したい気持ちになった。
二人が可哀想すぎ、みじめすぎると思うけれど、舞台上にいる本人達は意外とさばさばしている。
これはもう、染五郎の色男ぶりと、菊之助と勘九郎が演じる海千山千の女たちによる火花の散らしぶりを楽しんでなんぼの舞台なんだなと勝手に納得した。
歌舞伎が本当に判らなくて、ひたすら音声ガイドに頼っての観劇となった。
襲名披露公演だったからか、客席に子供の姿、和服姿が目立っていたように思う。
よく判っていないなりに、言祝ぎと華やかな気分を満喫した。
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