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Studio Life 「THE SMALL POPPIES」
原作 DAVID HOLMAN
脚本・演出 倉田淳
出演 山本芳樹/宇佐見輝/笠原浩夫/関戸博一
岩崎大/松本慎也/船戸慎士/緒方和也
牧島進一/仲原裕之/若林健吾/千葉健玖
江口翔平/吉成奨人/藤原啓児
観劇日 2017年6月24日(土曜日)午後6時開演
劇場 シアターサンモール
上演時間 1時間55分
料金 5800円
もの凄く久しぶりに行ったという感じのシアターサンモール。
調べてみたら、2005年から書き始めたこのブログの中に、シアターサンモールでの公演に行った記録がない。
10年以上ぶりに行ったらしい。
街並みも変わっていたんだろうと思うけれど、「前に見た街並み」の記憶すらなかった。
ネタバレありの感想は以下に。
シアターサンモールも久々だし、それほどではないけれどStudio Lifeの芝居も「トーマの心臓」以来だから3年振りくらいだと思う。
舞台には、大きくかつカラフルな回り舞台が置かれている。床を切って回るようになっている訳ではなく、回り舞台の部分はその他よりも高くなっている。
そして、驚いたことに、出演者たちが人力で回していた。
流石、男優だけの劇団である。
物語の舞台はオーストラリアで、オーストラリアでは、5歳になると本人達曰く「大きい子のための学校」に1年間通い、それから小学校入学になるらしい。
その「大きい子のための学校」に入学した、山本芳樹演じるクリントと、宇佐見輝演じるレップ、笠原浩夫演じるテオの3人の「5歳児」の物語だ。
もちろんこの3人だけでなく、クラスメートたちも5歳である。
そして、何故だか判らないけれど、彼らはちゃんと5歳に見える。5歳とは言わずとも、小さい子には見える。
山本芳樹が、本当に子供になっていることに驚いた。
歌とダンスのシーンから始まり、それは5歳の役の役者達は5歳の子として歌って踊っていて、そのことがちゃんと判る。何故なんだと思う。
役者たちの多くは子供の役と大人の役の両方を演じていて、笠原浩夫なんて舞台上で上着を着て眼鏡を掛けただけで、子供から大人に早替わりしていた。
そして、子供の役のときは子供に見えるし、あっさり早替わりして大人に見える。
さらに言うと、宇佐見輝演じるレップはどこからどう見ても女の子である。
流石に声は男性の声なので、しゃべれば男優が演じていると判るけれど、しゃべらずに舞台上にいたら、絶対に女優が5歳の女の子を演じていると勘違いしたと思う。
ここまで来ると、最早化けてさえいない。
彼というか彼女が場の中心に立つたびに、しげしげと注目してしまった。
クリントのママはエディという男性と付き合っていて再婚したいと思っているけれど、もちろんクリントはママを独占していたい。ティガーという架空のイヌをこしらえて可愛がったり、近所のマリアという女の子以外の友達を欲しがらなかったり、かなり内向的な男の子というイメージだ。
テオはギリシャからの移民の一家の子で、お父さんは英語を話すけれどお母さんは英語を話さないようだ。テオ自身はお父さんほどではないけれど、英語を話している。
レップは、カンボジアからの難民で、英語は全く話せない。姉のノイと二人きりだ。
この3人の5歳児が同じ日に「大きい子のための学校」に入り(すでにクラスにいる子もいて、入学時期がどうしてバラついているのかまではよく判らなかった)、いじめっこにいじめられたり、なかなか馴染めずに脱走を繰り返したり、自分のお弁当を周りの子が嫌っていることに気がついて投げ捨ててしまったり、日々の出来事が綴られて行く。
彼ら3人が抱える物語は「ドラマ」だけれど、彼ら3人の毎日はドラマではない。日常だ。
彼ら3人の物語と、彼ら3人の日常を、交互に、歌と踊りを挟みつつ、ジョーカー2人の掛け合い漫才を挟みつつ、舞台は進む。
カラフルかつポップな舞台セット、明るい歌とダンス、芝居の中味とは(少なくとも最初は)ほぼ関係ない掛け合い漫才は、3人の抱える物語の暗さを前面に押し出させないためのものなのかなと思う。
どこまでが戯曲どおりで、どこからが演出なのか、今ひとつ判らなかったけれど、でももう少し(戯曲だったにせよ、演出だったにせよ)「工夫」がひっそりとしているといいのになぁと勝手なことを思った。
1980年代、昭和の終わりの頃の、移民を積極的に受け入れているオーストラリアで、言葉も通じない風俗習慣も違う国から来た子ども達とオーストラリアで生まれ育った子ども達とが、一緒に学校生活を送る1年間、どの学校に行くかは両親が決めていいようだ。
きっと、彼ら3人が通ったこの学校は、いい学校、成功していた学校なんだろうと思う。
そして、多分、何かを教えてくれているんじゃないかと思う。
そういう難しいことは置いておいて、楽しい舞台だった。
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