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2017.07.23

「世襲戦隊カゾクマンⅡ」を見る

プリエールプロデュース「世襲戦隊カゾクマンⅡ」
作・演出 田村孝裕
出演 山口良一/熊谷真実/芋洗坂係長/西山水木
    田中真弓/岡田達也/曽世海司/塚原大助
    上田桃子/梨澤慧以子
観劇日 2017年7月22日(土曜日)午後7時開演
劇場 赤坂レッドシアター
上演時間 2時間10分
料金 4500円
 
 ロビーではパンフレットやTシャツ、DVDなどが販売され、物販の宣伝全開だった。

 ネタバレありの感想は以下に。

 プリエールの公式WEBサイト内、「世襲戦隊カゾクマンⅡ」のページはこちら。

 2014年の第1作が上演されたらしいけれど、私は観ていない。
 いきなり「Ⅱ」からの観劇になったけれど、ストーリー的には全く問題なかった。テレビの戦隊ものと同じく「一話完結」の物語だ。
 戦隊ものでありつつ、そこは「世襲」で「カゾクマン」なので、舞台の大方は畳みに卓袱台の日本のおうちである。
 戦隊ものなので、スクリーン(というよりは白い布)を4枚つり下げてきて、そこに映像を映し出すことで戦いのシーンを見せたり、「記者会見」の風景を見せたりもしていた。

 カゾクマンは、戦隊もののお約束通り、地球征服を企む悪玉宇宙人と、地球の平和を守るために戦っている。
 お約束通り、メンバーは5人でレッド、ブルー、ピンク、イエロー、グリーンと5色揃っている。この5色が、父、兄、母、妹、婿と割り当てられているところが「カゾクマン」である。
 合体して巨大化する際には、彼らが住んでいる家が組み替えられるらしい。

 しかし、世知辛い世相の昨今、そうそう「ヒーロー」で有り続けられる訳もない。
 記者会見では、父(レッド)が戦いで痛めた腰を癒すために地球防衛費で購入した「マッサージチェア」が、私的流用ではないかと責め立てられ、その報道により彼らの家には石や卵が投げ入れられ、その人気のなさと評判の悪さに地球防衛軍司令官のなり手がおらず、引退した「元グリーン」である「十条のおばちゃん」が仕方なく引き受けることになった始末である。
 その「新司令官」が説明することには、テロ対策法は、「地球人類の敵」に対して警察や自衛隊が直接攻撃できるようにすることを目的としており、1ヶ月後の施行の前に自分達の手で敵を倒す必要があると強調する。

 この辺りまで来ると、世相を取り込みすぎというよりは、いっそテロ対策法への抗議としてこの舞台が上演されたのではないかとすら思えてくる。
 あまり簡単にこういうことを言うのはどうかと思うけれど、気持ちは判る、と言いたい気がする。

 このヒーロー一家が「世襲」されている一方、そういえば正体がよく判らなかった「敵」も同じく世襲で地球征服を企んでいるらしい。
 しかし、悪の親玉であるミドラーはすでに子供を産める年齢ではなく、地球征服の跡継ぎを探しており、そこで白羽の矢がたったのがブルー(兄)の子供である乳児の「大翔(ひろと)」くんである。
 ブルー(兄)の妻と大翔が、記者会見に出かけたカゾクマンの留守を守っているときにミドラーが現れ、大翔を連れ去ってしまう。
 誘拐された大翔くんをどうやって救うかということが、「地球防衛」と同じくらい大切なカゾクマンの今回の任務ということになる。

 決めポーズがあったりテーマソングがあったりといった戦隊もののお約束を守りつつ、「家族の問題」や「強行法改正」といった世相を織り込みつつ、ミドラーの部下の「イーゲン」は無駄に威厳があるからそういう名前になったらしいし、やたらとカッコつけている「男前男」はどうやら自称のようだし、ショッカーならぬジョッカーというアルバイトで雇われた下っ端の敵も登場しつつ、物語は進んで行く。

 戦隊ものって楽しいよなぁと思う。フォーマットが決まっている安心感がある。役割期待を楽しめばいいのさというところご、そこをいい意味で裏切って欲しいなぁという期待をきっちり裏切ってくるというフォーマットまで用意されている。
 かつ、あて書きになっているのか、気弱な感じの父を演じる山口良一、強気でちゃっかりしていてしっかりものの母を演じる熊谷真実、若干情けない感じだけれどそこはやはり長男で頼りにされている曽世海司など、そのフォーマットに嵌めた上であて書きされている安心感と安定感が限りない。

 とにかく気障で変態という男前男を演じている岡田達也は、こちらにキャラメルボックス公演でのイメージが強くあり過ぎるせいか、何だか照れてしまってちょっとばかり正視できない感じがあったけれど、そこも含めてお約束なんだろうと思う。
 あと、とにかくこの人が一番楽しかったに違いないと思ったのがミドラーを演じた西山水木で、ど派手な衣裳に仮面をつけ、大仰に悪の台詞を吐きまくる姿が格好良かった。

 父(レッド)が、地球の平和を守るためにミドラーの説得を試み、まずは世間話から入ったものの、結局、「自分の両親を殺された恨みを晴らしてやる」という彼女の怒りを再燃させただけだったという終わり方がかなり「希望がない」感じで、そこも含めて「世相を反映させた」ということなのかしらと思うとちょっと寂しい。
 ブルー(兄)の妻に横恋慕していた男前男の自己犠牲精神で無事に大翔を取り戻し、その大翔を抱っこした彼女の「大翔を殺すの!」という抗議に無言でミドラーが去って行くという勝ち負けの判らない終わり方に釈然としない感じが残るものの、ネットには「自衛隊も適わず!」という見出しが躍ったと言わせる辺りは「一矢報いたい」感じが溢れる。

 戦い終わったカゾクマンの元に、司令長官である元グリーンがいなかったのは、多分それぞれが心の声で告白した「抱えている(家族としての)問題」がブラックで、そこに「十条のおばちゃん」の居場所はなかったということなんだろうなぁと思う。
 「戦い終わった」シーンに戦闘に参加した元グリーンがいないことに「何で?」と思ったけれど、一人一人のココロの声を聞いて納得した。

 次回予告が最後に流れたけれど、これも「戦隊もののお約束」なのか、本気の予告編だったのか、気になるところだ。
 思いっきり遊んだ舞台をせひ見たいと思う。

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コメント

 みずえ様、コメントありがとうございます。

 カゾクマンはそんなに人気のヒーローだったんですね(笑)。意外でした(笑)。

 赤坂REDシアターは久しぶりで、道を1本間違え、うろうろと探してしまいました。方向音痴なもので・・・。
 Ⅲがあったら見たいですが、Ⅰも気になりますね。どういう内容だったんでしょう。

 そして、スミマセン。
 実は私、ワンピースのアニメを見たことがなくて、田中さんといえばパズーの声の方、というイメージなのです。お姿を拝見したのも(多分)初めてで、ギャップに驚いた次第です。

 またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。

投稿: 姫林檎 | 2017.07.27 23:15

姫林檎さま

私は昨夜観ました。
会場はぎっしりで、当日券も完売、臨時席が出るほどの人気ぶりでしたよ。

私はキャラメルの岡田さんファンで、山口さんのいるヴォードビルもよく観ているので、今回足を運びましたが、この劇場は初めてでしたし、カゾクマンⅠも未見でした。
Ⅰを観てなくても、面白かったですねえ。
私も岡田さんの気障っぷりにはちょっと照れちゃいました。
キャラメルでは、彼は別に「二枚目」という位置づけではないはずですけど、ここではイケメン枠なんでしょうか。
田中さんの声はさすがでしたね。
ルフィと混同しながら観ちゃいました。
芋洗坂さんの身体のキレには脱帽です。

私もⅢがあったら観ますよ。

投稿: みずえ | 2017.07.27 09:30

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