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2017.08.27

「髑髏城の七人」 Season鳥を見る

劇団☆新感線「髑髏城の七人」 Seaso鳥
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 阿部サダヲ/森山未來/早乙女太一/松雪泰子
    粟根まこと/福田転球/少路勇介/清水葉月
    梶原善/池田成志 ほか
観劇日 2017年8月26日(土曜日)午後6時30分開演
劇場 IHIステージアラウンド東京
上演時間 3時間30分
料金 13000円
 
 2週間の間に、もの凄く芝居が進化していた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「髑髏城の七人」 Season鳥の公式Webサイトはこちら。

 2週間前にも観劇していて、鳥バージョンは2回目である。
 僅か2週間の間に芝居が随分と変わっていて驚いた。正しく「進化」だと思う。

 ストーリーはもちろん変わっていない。
 でも、何だかもの凄く印象が違う。
 一番判りやすい変化といえば、ネタが増えていたことだと思う。おいおい、確か2週間前にはこんなシーンはなかったぞとか、こんなやりとりはなかったような気がするとか、最早「ネタドクロ」寸前という感じだ。
 面白すぎる。

 雁鉄齋と捨之介のシーンは特にそうで、本筋と関係ないネタはほぼアドリブだったのね、ということがよく判った。
 ラスカルとクイックルワイパーが足されていて、ラスカルに気を取られた阿部サダヲが斬鎧剣の説明を飛ばしていた。不幸なことに、字幕ででかく「斬鎧剣」と出るからスルーする訳にも行かず、説明をやり直し、「ラスカルとか色々考えることが増えたから!」とアドリブを吹っかけていた池田成志に叫んでいたのがまた可笑しい。
 アドリブやり放題で、「はい、戻りま〜す!」の一声で物語の本筋の世界にすいっと戻れてしまうのは、この二人だからこそだと思う。

 他にも、髑髏城と戦の現状を天魔王が蘭兵衛に説明するシーンにラップのようなダンスが入り、最後に山本カナコと森山未來がハイタッチするシーンなども加わって、とにかく笑える。
 前回見たときよりも、つい噴き出して笑ってしまうシーンがたくさんあった。

 その一方で、やるせなさを感じさせるシーンがこれでもかとばかりに強くなっていたと思う。
 天魔王が織田信長の最期を蘭兵衛に語り聞かせるシーンでは、前に見たときには蘭兵衛に対する天魔王の嫉妬が前面に出ていたと感じたけれど、今回は、蘭兵衛の天魔王に騙されてその口車にうかうかと乗ってしまった自分に対する悔恨が強く語られている印象だった。
 多分、殺陣もだいぶ変わっていて、蘭兵衛がほぼ王手を握って刀を振り下ろしたり引いたりすれば天魔王を倒せる、という瞬間のストップモーションが多く長くなっていて、でも、気持ちの部分で負けてしまって止めを刺せず、逆に天魔王に斬られてしまう。
 この二人の気持ちのやりとりが前回見たときよりも強く語られていた。
 もちろん、殺陣の迫力が拮抗しているからこその演出だし、力だと思う。

 阿部サダヲの捨之介が、改めて本当に格好良かった。
 「浮き世の義理も昔の縁も三途の川に捨之介だ」という台詞も、多分、劇中で2回口にしていると思うのだけれど、とにかくさりげなくて格好いい。
 いや、決めぜりふだから、照明も入り、効果音も入り、「決め」ているのだけれど、それなのにわざとらしさがないという恐ろしいまでの何かが発揮されている。
 古すぎる言い様をすれば、痺れる。
 本当に格好良かった。

 2回目だから判ったといえば、ハナドクロとトリドクロを見て、「髑髏城の七人」という芝居で一番私が気になっているのが、無界屋が蘭兵衛たちに襲われるシーンだということが判った。
 このシーンで、極楽大夫はもの凄く無力だ。無力なだけではなく、ただひたすら悲鳴を上げ続けているだけのようにも見える。
 その後の活躍を考えても極楽大夫のこの無力さがどうにも座りが悪い。蘭兵衛に裏切られたというショックのなせる業という風にも考えられるけれど、もっと凛としていてもいいのにと花のときも今回の鳥でも思った。

 髑髏城の中と、最期に徳川家康と川岸で相まみえたときと、捨之介が沙霧に「どうして簡単に命を捨てようとするんだ」と言われている。そして「捨之介という名前も捨てる」と言って歩き去って行く姿を見たときに、捨之介という名前は、義理も縁も捨てて、そして最後には命も捨てて宿願となってしまった天魔王を斬るという意味だったんだなぁと今さら感じた。
 我ながら遅すぎる。
 けれど、遅すぎてもそれに気づけたのは、トリドクロを見るのが2回目だということ以上に、芝居の進化のお陰だと思う。

 私の中で、歴代の髑髏城の七人のうち「アカドクロ」がベストだとずっと思っていたけれど、今回見た「トリドクロ」とどちらがベストなのか、決めかねている。
 もう、とにかく「着流しじゃない」「生真面目すぎる」捨之介が格好良かった。
 もの凄く精神的に参っているところだったけれど、トリドクロを集中して見て、何だか解放された。

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