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2017.08.13

「髑髏城の七人」 Season鳥を見る

劇団☆新感線「髑髏城の七人」 Season鳥
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 阿部サダヲ/森山未來/早乙女太一/松雪泰子
    粟根まこと/福田転球/少路勇介/清水葉月
    梶原善/池田成志 ほか
観劇日 2017年8月13日(日曜日)午後2時開演
劇場 IHIステージアラウンド東京
上演時間 3時間35分
料金 13000円
 
 ロビーではパンフレット等が販売されていたけれど、ギリギリに劇場に着いたのでチェックしそびれてしまった。
 お手洗いがもの凄く混雑していた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「髑髏城の七人」 Season鳥の公式Webサイトはこちら。

 最近発表になった月バージョンは、「沙霧」が「霧丸」という男の子に役が変更になったらしい。
 そうすると、恐らくは捨之介と沙霧の「恋愛模様」はなくなる訳で、そうなると「恋愛要素を強める」といういのうえひでのり氏らの宣言は、大夫と兵庫が担うことになるんだろう。
 鳥バージョンでは、大夫が二人を焚きつける辺りは花と共通しているけれど、花よりも「大夫と蘭兵衛」の方に恋愛スポットが当たっている感じがした。
 松雪泰子演じる大夫と、早乙女太一演じる蘭兵衛だから、そこは「オトナ」の雰囲気が漂うところがいい。

 一方の、沙霧と捨之介の方は、何といっても捨之介を演じているのが阿部サダヲだから、女心を手玉に取って、という感じにはどうしたってならないし、捨之介が遊び慣れているという雰囲気は悉くカットされている。
 沙霧は「おっさん」だか「おじさん」と捨之介のことを呼んでいるし、だったらこっちの二人は恋愛の雰囲気をもっと極限まで削っても良かったのになぁと勝手なことを思う。
 多分、沙霧の一族の名前が「熊木」である限り、沙霧が捨之介を真っ向勝負で好きだという設定はなくならないんだろうなと思う。

 花との一番大きな違いは、鳥には歌と踊りがふんだんに盛り込まれていることだ。
 小道具の一つにしてしまったマイクも今回は健在で、出番も多い。
 歌があるからこそ、山本カナコと右近健一という、新感線切っての歌い手が出演しているんだなと納得した。
 意外と言っては失礼かもしれないけれど、意外と上手かったのが森山未來で、しかも台詞は外連味たっぷりなのに、歌声は素直で、かなり感じが良かった。あら、意外、という感じだ。
 清水葉月演じる沙霧と、蘭兵衛に歌うシーンがなかったのはちょっと残念だった。

 そしてまた、歌と踊りがふんだんに盛り込まれている上に、殺陣もさらにパワーアップしている。
 何しろ、蘭兵衛を演じている早乙女太一が凄い。綺麗すぎるくらいに綺麗な殺陣で、刀の軌跡が光って見えているんじゃないかというくらいの優雅さで激しさで速さだ。
 早乙女太一の殺陣に、森山未來が見事に合わせていて、彼にとってはダンスの振付と同じなのかも知れないと思う。とにかく、この二人の対決は見応え充分だった。

 二人を筆頭に、もちろん阿部サダヲも、身体が動く役者さんを揃えてキレのある殺陣と動きを見せて貰えるって本当に楽しい。
 女優陣二人は、その分ちょっと不利だったかしらと思う。
 花のときも思ったけれど、蘭兵衛が無界屋を襲ったとき、大夫がそれまでの気丈さと統率力をかなぐり捨ててただひたすら悲鳴を上げ続ける女になってしまっているのがとても不満だ。彼女はもっと凛としていて欲しいのになぁと思う。

 花には古田新太しかいなかったけれど、鳥には、阿部サダヲ、池田成志、福田転球とできる人が集まっているのか集められたのか、歌も踊りもあって殺陣も多いのに、何故かネタもたくさん仕込んであった。
 特に、鍛冶場での捨之介と雁鉄齋のシーンは、別の意味で圧巻で、大笑いさせてもらった。かなり素が入っているようにも見えたけど、実際のところはどうなんだろう。作り込んであったのか、毎日アドリブなのか、毎日アドリブだとしたら千秋楽は大変なことになるんだろうなと思う。
 それくらいの弾け方だった。

 そういう「見せ方」の部分では花と鳥は、ドラマ重視の花と、外連味たっぷりの鳥と、両極といってもいいくらいの違いがある。
 それ以外に設定やストーリーの違いというと、兵庫を止めに来る人物が、これまでは「兄さ」だったのが、今回多分初めて「息子」になったのが結構大きいと思う。
 そのためか、荒武者隊のメンバーを兵庫の年齢差がクローズアップされて(兵庫の年齢を上げたから、さらに年上の兄さを持って来るよりは、若者との関係にシフトさせた可能性の方が高いかも)、荒武者隊の面々は兵庫に「おっとう」などと呼びかけたりしていた。

 そして、もう一つ、そう来たかと思ったポイントが、天魔王がとことん信長に愛されていた蘭兵衛に嫉妬していたという設定だ。
 これはかなり大きな違いだと思う。
 おぉ、ここにそういうドラマを持ってきたか! と思った。

 あと、これは自信がないけれど、これまでの捨之介と雁鉄齋の百人斬りのシーンは、二人だけで髑髏城の面々と戦っていたような記憶だけれど、今回は、「七人」が総出で戦っていた。
 花のときはどうだったか、どうにも思い出せない。
 ただ、花のときは、捨之介と雁鉄齋が二人で刀を投げ合って交換するシーンがあったような気がする。

 一番(?)大きな違いを忘れていた。
 捨之介が天魔王との最後の戦いに使う斬鎧剣の仕掛けが、二段構えから三段構えになっていた。それだけでなく、もちろん、信長と捨之介、信長と天魔王、この場にはいない信長と蘭兵衛との関係まで描いた変化、エピソードで、何だかゾクゾクした。

 その他、設定その他に色々と捻りを加え、ドラマを足し、髑髏城の七人はどんどん進化して行っている気がする。
 この先、風と月と極が待っているけれど、私の中ではすでに「鳥」がベスト髑髏城だ。
 本当に楽しかった。
 ストーリーをこんなに知っていて、最近見たばかりなのに、見て興奮した。面白かった。
 やっぱり、コンテンツの力って凄い、髑髏城の七人というドラマの力って凄い、これだけ展開させることのできる力って凄いと思う。

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コメント

 えーと、コメントをくださった方へ。

 ご指摘ありがとうございます。
 うわっ! やっちゃった! と慌てて直しました。

 またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
 (できましたら、私が間違っていないときに・・・。)

投稿: 姫林檎 | 2017.08.21 22:35

「風」ではなく、「鳥」を見るではないかしら?
いつも感想楽しく拝見しています。今後も更新楽しみにしています。

投稿: | 2017.08.21 09:57

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