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2017.11.26

「ワンピース」を見る

スーパー歌舞伎II「ワンピース」
原作 尾田栄一郎
脚本・演出 横内謙介
演出 市川猿之助
出演 尾上右近/市川右團次/坂東巳之助/中村隼人
    坂東新悟/市川寿猿/市川右近/市川弘太郎
    坂東竹三郎/市川笑三郎/市川猿弥/市川笑也 
    市川男女蔵/市川門之助
    平岳大/嘉島典俊/浅野和之  ほか
観劇日 2017年11月23日(木曜日)午後4時30分開演
劇場 新橋演舞場
料金 14500円
上演時間 4時間10分(30分、25分の休憩あり)

 市川猿之助が左腕を負傷し、休演中の「ワンピース」を見た。
 ネタバレありの感想は以下に。

 歌舞伎美人のサイト内、「ワンピース」 のページはこちら。

 開幕直後に、ルフィとハンコックを演じる主演の猿之助が上演中の事故で負傷し、その後は「麦わらの挑戦」の配役で上演されてきた「ワンピース」を東京千秋楽直前に見に行った。
 当初から「麦わらの挑戦」と銘打った尾上右近を主役に抜擢したバージョンの上演が企画されていて、もちろん元々の「歌舞伎の力」「歌舞伎役者の力」というものも大きいとは思うけれど、猿之助の休演というアクシデントに迅速に対応し、上演が続けられ、無事に千秋楽が迎えられたのは、そのお陰もあったと思う。
 僥倖と言えるのではないか。

 今回の「ワンピース」再演は、演出も担当した猿之助が「決定版」と言っていたそうだ。
 初演を舞台で見て、最近になって映画版も見ているにも関わらず、初演との演出の違いを「ここだ!」と言えない自分が少しばかり情けない。
 ハンコックの刻印のシーンがあったっけ? というのと、ハンコックが紅白歌合戦の小林幸子の様に舞台セットと一体化して巨大化したのは初めて見たよというのと、確かシャンクスも猿之助が演じていたよなというのと、「演出の違い」について気がついたのはそれくらいだ。
 初演を見たときの感想はこちら。

 全く本質的ではないけれど、今回、「前見たときとの違い」ということで一番思ったのは、「こんなに物販の宣伝があったっけ?」ということだ。
 そもそも、初演のときに、会場限定のタンバリンの販売があっただろうか。覚えていない。
 アマゾンリリーの二人の村娘が映像で登場し、かなりしつこく激しくタンバリンを売り込む。その映像が休憩時間などで何回も流される。
 そのタンバリンは、二幕の最後、宙乗りのシーンでみんなで一緒に盛り上がろう! と使われた。乗っちゃったもの勝ちだと思いつつ、乗れなかった我々である。

 もちろん、猿之助の不在は大きい。
 初演のときには感じなかった「舞台がすかすか」という印象は、間違いなく、舞台を埋めていた猿之助の存在がなかったことによるものと思う。
 今回の「ワンピース」も楽しかったし、笑ったし、泣いたし、かなり満喫した。
 主演の猿之助が突然の休演となったにも関わらず、この水準、この充実度で上演が続けられ、お客さんが入るというのは凄いことだ。
 それでも、やっぱり「不在の存在感」は大きいということだ。

 尾上右近のルフィは、やっぱりルフィだ。
 ただ、特に表情を見ていると、猿之助を完全にコピーすることを目指しているように感じられる。こちらの受け取り方の問題で、「ルフィを演じようとしたらこの笑顔しかない」のかも知れないのだけれど、猿之助のルフィの開けっぴろげな笑顔の印象が強すぎて、コピーしようという意思をこちらが勝手に感じてしまう。
 そして、また、その表情がびっくりするくらい似ている。

 逆に、似せようがないのが「声」で、尾上右近は、ルフィを演じているときよりも、ハンコックを演じているときの方が楽に発声しているように聞こえた。
 こちらの気持ちの問題かも知れないけれど、尾上右近のルフィは、一幕から二幕、二幕から三幕と進むにつれて、どんどん「尾上右近のルフィ」になって行ったように思う。
 舞台が進むにつれて、どんどん応援する気持ちが大きくなった。もはや、ルフィを応援したくなっているのか、尾上右近を応援したくなっているのか、判らない感じだ。

 初演では福士誠治のエースを見ていて、今回は平岳大が演じている。
 どう考えても二人の顔立ちは全く違うのに、違和感がなかったのが我ながら不思議である。全く、感想とか心とか受け止め方とか勝手なものだなぁと自分でも思う。

 背景の映像もかなり雰囲気が変わっていたし、実は出演者の変更ではない「初演との違い」がたくさんあって、パワーアップしていたり、ストーリーが際立つようになっていたり、宙乗りが増えたりしていた。
 それでも「配役の違い」を可能の意識して見てしまったことを、ちょっと残念だったな、勿体なかったなと思う。
 でも、それはそれとして、やっぱりスーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」は楽しかったし、泣いたし笑ったし、満喫した。

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