« 「ヘッダ・ガブラー」のチケットを予約する | トップページ | 「黒蜥蜴」を見る »

2018.01.20

「髑髏城の七人」 Season月 上弦の月を見る

劇団☆新感線「髑髏城の七人」 Season月 上弦の月
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 福士蒼汰/早乙女太一/三浦翔平/須賀健太
    平間壮一/高田聖子/渡辺いっけい ほか
観劇日 2018年1月13日(日曜日)午後6時開演
劇場 IHIステージアラウンド東京
料金 13000円
上演時間 3時間50分(20分の休憩あり)
 
 花鳥風月の4シーズンの「髑髏城の七人」のうち、4シーズン目の「月」は、ダブルチーム制だ。
 2017年の観劇は「下弦の月」で終わり、2018年の観劇は「上弦の月」で始まった。

 「髑髏城の七人」 Season月の公式Webサイトはこちら。

 「下弦の月」を見てから1ヶ月、「上弦の月」を見た。
 全く同じ脚本・演出でということだったと思うけれど、多分、やっぱり役者さんに合わせて多少は変えていたんじゃないかと思う。
 ただし、もちろんコンセプトは同じだ。

 花鳥風の3シーズン、そして過去公演との最大の違いは、「沙霧」が女の子だったところを、「霧丸」という男の子に設定を変えたところだ。
 「下弦の月」のときにはそれほど思わなかったけれど、今回は「うわっ、男ばっかり!」という感じがした。無界の里には女たちがたくさんいるから実は舞台上の男女比は多分それほど変わらないけれど、「髑髏城の七人」のうち女性が一人なのか二人なのかの違いは大きい。
 そういえば、花鳥風月のいずれも蘭兵衛が女という設定がなかったなぁと思う。蘭兵衛と極楽の「男女の仲」がテーマの一つだったらしいから仕方ないとはいえ、ちょっと寂しい。

 一緒に見に行った人は「(霧丸と捨之介の間に)BLの気配を感じた」と言っていて、私はものすごく驚いた。下弦の月を見たときも、今回も、そんなことは全く頭に思い浮かばなかったからだ。「若い女性の観客がターゲットなんでしょ」とも言われ、なるほどなぁとは思ったけれど、やはり、私はそういう気配は感じなかったなぁと思う。
 むしろ、花鳥風で太夫が捨之介に「沙霧の気持ちを分かれ」とストレートに言っちゃうシーンにものすごく違和感を覚えていたので、ツキドクロで「霧丸の気持ちを分かれ」と極楽が言ったときに、そこに「恋心を分かれ」という趣旨は全く感じず、逆に腑に落ちたんだけどなぁと思う。
 見る人によってもお芝居は違うし変わるんだなと改めて思った。

 トリドクロに蘭兵衛で出演していた早乙女太一が、上弦の月に天魔王で出演していて、好みとしては蘭兵衛がよかったなぁと思っている。
 「修羅天魔」の記者発表で古田新太が「これまでの天魔王はエキセントリックな感じ」というような発言をしていたけれど、確かにその通りで、天魔王はエキセントリックだ。そのエキセントリックな感じよりも、蘭兵衛の普通の顔の感じの方が似合っているというか、強みを生かしているような気がした。
 あと、天魔王が今回マントを着けていて、刀を使った殺陣が意外と少なかったのも、ちょっと残念だった。もっと見たい。

 上限の月が一番若い髑髏城の七人だったらしい。それは舞台上の動きにも多分現れていて、殺陣が危なっかしいとかおぼつかないという印象はなかった。
 多分、これってすごいことだ。出演している役者さんたちの運動能力がそもそも高いんだろうなぁと思う。もちろん、その分、早乙女太一は抑えめにしていたのかなとも思う。本人がというよりは、演出としてあまり「見せ場」を作っていなかったんじゃないかという気がした。

 これまた一緒に見に行った人と意見が分かれたところだけれど、私は今回の高田聖子が演じた極楽太夫が一番好きだった。
 何というか、「深い」という感じがした。
 蘭兵衛たちの奇襲を受け、無界屋と荒武者隊の人々が殺され尽くした後、これまでの太夫は徳川家康をひっぱたいて「おまえら、みんな一緒だ」という台詞を投げつけていた記憶だけれど、今回だけは、太夫は腕を振り上げただけで殴らずに下ろした。

 下弦の月の羽野晶紀も太夫も好きだったし、高田聖子の太夫はさらに何というか軽みが上乗せされていて、人間、悲しいからって深刻な顔だけしてる訳じゃないし、綺麗だからってずっと澄ましている訳じゃないわよね、という感じだ。
 それがすっきりした。
 どう意見が分かれたかといえば、私が、もう高田聖子の太夫を大絶賛、ベストだと熱弁したのに対し、あっさりと「でも、小さいよね」というとんでもない返事があった。
 私としては「そこ!?」と言いたいところだけれど、すらりとした見た目を一番求めていたらしい。
 繰り返しになるけれど、本当に、見る人によって芝居は変わるんだなぁと思った。

 花鳥風月、すべての「髑髏城の七人」を見た。
 とにかく、楽しかった。
 きっと、作っている、演じている側も楽しんでいたに違いないと思う。そう感じられる芝居が楽しかった。
 次の、最後の「髑髏城の七人」になる「修羅天魔」も、とても、楽しみだ。

|

« 「ヘッダ・ガブラー」のチケットを予約する | トップページ | 「黒蜥蜴」を見る »

*芝居」カテゴリの記事

*感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「髑髏城の七人」 Season月 上弦の月を見る:

« 「ヘッダ・ガブラー」のチケットを予約する | トップページ | 「黒蜥蜴」を見る »