「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル 」を見る
「ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル ~スプーン一杯の水、それは一歩を踏み出すための人生のレシピ~」
作 キアラ・アレグリア・ヒュディス
翻訳・演出 G2
出演 尾上右近/篠井英介/南沢奈央/葛山信吾
鈴木壮麻/村川絵梨/陰山泰
観劇日 2018年7月21日(土曜日)午後1時開演
劇場 紀伊国屋サザンシアター
上演時間 2時間30分(15分の休憩あり)
料金 8000円
ロビーではパンフレットが販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
最初のうちは、くるくる切り替わる場面と登場人物たちに何だかよく判らないなぁと思っていた。
従兄弟同士らしい、南沢奈央演じるヤズミンと尾上右近演じるエリオットがヤズミンと知り合いの大学教授のところにやってきて、エリオットがイラク戦争で負傷したことが語られる。
一方、篠井英介演じる俳句ママ、村川絵梨演じるオランウータン、鈴木壮麻演じるアミダクジの3人はチャットでコカインを切っていられた年月について話し合っている、ように見える。
ヤズミンとエリオット、陰山泰演じるエリオットのところに訪れるアラビックの格好をした男の3人が主に構成する場と、チャットの場が繰り返される。
チャットの場には、葛山信吾演じるミネラルウォーターもやってきてほとんど場を荒らしているかのように見えるけれど、挑発に乗ろうという二人に対し俳句ママは冷静だ。追々判ってくるけれど、俳句ママはこのチャットルームの管理人でもあるようだ。
後になって、痛み止めとしてマリファナを投薬されていたというエリオットを含め、登場人物達はほぼみな薬物中毒の現在や過去を抱えていることが判る。
ヤズミンだって、そういえば最初にエリオットを口論していたときに言っていただけだったので忘れていたけれど、離婚調停中なのか離婚寸前なのかという状態だし、ジャズを教えているシーンがあったけれどどうも上手く行っているようにも楽しそうにも見えない。
そこに、エリオットの母が危篤だという知らせが入る。
その知らせは「俳句ママ」のところにも入り、エリオットの母と俳句ママが姉妹だということが明かされる。
そして、エリオットの実母は実は俳句ママで、彼が「ママ」と慕う女性は俳句ママの姉で彼を養子に引き取ったらしい。
そこにはもちろん、俳句ママが中毒であったコカインが関係している。
「スプーン一杯の水」は、エリオット達兄妹が脱水症状を起こさないよう、医師が「5分おきにスプーン一杯の水を与えるよう」指導したことが由来のようだ。
しかし、俳句ママはコカインのせいなのか、コカインとは関係ないのか、5分にスプーン一杯ずつの水を与え続けるだけの根気がなく、隣家の住人のおかげでエリオットは助かったものの、その妹は亡くなってしまう。
そのことをエリオットに責められた俳句ママは、姉の葬儀の夜に7年続いた「綺麗な一日」を終わらせ、コカインを大量に摂取してしまう。
自分の生まれた国である日本に行ったオランウータンに「日本に来て欲しい」「これから自分の生家を見に行く」と聞かされたアミダクジは、俳句ママの療養をミネラルウォーターに託し、オランウータンのところに向かう。
市川右近は、「ワンピース」を怪我で降板した市川猿之助の代役でずっとルフィを演じていて、見たときには「表情が猿之助にそっくりだ」と思ったことを覚えている。もちろん意識的に似せようとしていたと思う。今回は、当たり前だけれどルフィとは全く違う役で、同じ役者さんが演じているということを最後まで全く意識しなかった。
南沢奈央は逆にどうも声やしゃべり方のトーンが変わらないような気がしてしまい、見ていて落ち着かなかった。安定はしているのに何故だろうと思う。
いずれにしても、この芝居は上手いキャスティングだと思う。
成田空港で連絡もなしに1日待たされたら絶対に帰っちゃうところだけれど、オランウータンは1日待って二人はやっと初対面の日を迎える。
その奥では、ミネラルウォーターがまだしゃべれない俳句ママをお風呂に入れ、介護している。
プエルトリコにママの遺灰を撒きに行ったヤズミンとエリオットは、それぞれ、ヤズミンはママの家を自分が買い取って「居場所」にすることを決め、エリオットはロサンゼルスに行ってイラクの地での「事実」を映像にする仕事に携わろうと決める。
そこで、幕だ。
それぞれが、恐らく「良い方向」に一歩ずつ歩くことを決める。あるいは最初の一歩を踏み出す。
そして、幕だ。
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