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2018.08.26

「メタルマクベス disk 1」を見る

「メタルマクベス disk 1」
作 宮藤官九郎
演出 いのうえひでのり
音楽 岡崎司
振付&ステージング 川崎悦子
出演 橋本さとし/濱田めぐみ/ 松下優也
    山口馬木/猫背椿/粟根まこと
    植本純米/橋本じゅん/西岡德馬
観劇日 2018年8月25日(土曜日)午後0時30分開演
劇場 IHIステージアラウンド東京
上演時間 4時間(20分の休憩あり)
料金 13500円
 
 ロビーではパンフレットを始めとしてたくさんのグッズが販売されていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「メタルマクベス disk 1」の公式Webサイトはこちら。

 IHIステージアラウンド東京で、1年間を超えるこけら落とし公演「髑髏城の七人」の次は、同じく新感線の「メタルマクベス」である。
 そのdisc1を見に行った。
 内野聖陽と松たか子の「メタルマクベス」は見たことがある。(そのときの感想はこちら。
 印象としては、枠組みはほとんど変えていないのではないかと思う。

 ストーリーのメインとなるマクベス夫妻ならぬランダムスター夫妻が生きているのは、今から200年後の2218年である。
 そこで、シェイクスピアの「マクベス」のストーリーが展開して行く。
 ただし、200年後の日本(「鋼鉄城」の外観を映す場面で何度も「豊洲市場」の倒れた看板が出ていたから間違いない)は荒れ果て、戦国時代・群雄割拠の時代となっている。
 ランダムスターは、ゴスロリ衣装の3人の魔女から、1980年代のバンド「メタルマクベス」のCDを渡され、その中にこの先の運命がすべて歌われていると告げられる。

 ランダムスターの物語は、ほぼ、シェイクスピアの「マクベス」の通りである。
 時代を変えて翻案しているところを除くと、私が気がついた違いは、魔女の預言で「森が動かない限り負けない」と言われたところが「空を険が切り裂き、陸に鯨が現れない限り負けない」に言い換えられていたところと、マクベスではダンカン王の息子は生き残るけれどメタルマクベスではレスポール王の息子は死んでしまうというところくらいだろうか。

 そして、1980年代のバンド「メタルマクベス」は、「預言者」としてだけではなく、ランダムスター夫妻やエクスプローラー、グレコといった登場人物たちと、バンドメンバーたちがオーバーラップするように配置されている。
 バンドメンバーの「マクベス」が持っている楽器が(多分)ランダムスターで、言葉遊びといえば言葉遊び、重層構造といえば重層構造が仕込まれている。
 何というか、浮遊感を味わえる設定だと思う。

 「髑髏城の七人」に比べると「メタルマクベス」だし、音楽が前面に出てきている。
 そしてまた、気のせいかも知れないけれど、随分と歌詞がこちらに聞きやすくなっているように思う。音響の工夫なんだろうか。
 合わせて、物語の進行に関係の深いところではスクリーン上に歌詞が映し出される。
 これらはかなり有難い。
 耳を澄ませて神経を集中させないとストーリーが追えないというのは、たとえ行き着く先を知っているとはいえ、かなりのストレスなんだと改めて思う。

 「髑髏城の七人」も後半になるに連れて客席が回るだけでなく上下の動きも使うようになっていたと思う。
 「メタルマクベス」では、前後(動いてはいないと思うけれど)の動きも感じさせるようになっていて、デカすぎるスターツアーズだ、と思ったことだった。
 スクリーンの使い方や、舞台転換の繋ぎ方もスムーズになっていて、何というか「洗練された」感じの動きになっていた。

 橋本さとしが新感線の舞台に帰ってきたのも何だか嬉しい。
 似合うよなぁ、でも年取ったなぁ、というのが失礼ながら正直な感想である。
 ランダムスター婦人の濱田めぐみと歌って引けを取らない歌声の迫力というのはやっぱり貴重かつ重要で、突出した誰かの力に頼るのではない総力戦の舞台というのはやっぱり楽しいし、見ていて気持ちがいい。

 上演時間4時間は長い。
 でも、長さを感じさせない、長くなくちゃ作れない面白さの舞台だった。
 disc2、disc3が変わってくるのか、変わらずに来るのか、いずれにしても見るのがとても楽しみになった。

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