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「LOVE LETTERS ラヴ・レターズ」~こけら落としスペシャル~
作 A.R.ガーニー
訳 青井陽治
演出 藤田俊太郎
出演 松重豊/大竹しのぶ
観劇日 2020年2月12日(水曜日)午後7時開演
劇場 パルコ劇場
上演時間 2時間5分(15分の休憩あり)
料金 6000円
ほぼ10年ぶりの「LOVE LETTERS ラヴ・レターズ」を、リニューアルオープンしたパルコ劇場で見た。
これまで見たカップルは、「長野里美 上杉祥三」「中嶋朋子 佐々木蔵之介」「大竹しのぶ 松尾スズキ」「永作博美 ユースケ・サンタマリア」の4組である。
ロビーには、これまで出演したカップルの写真が飾られ、上演台本も販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
リニューアルオープン後に初めて入ったパルコ劇場は、随分と大きくなった印象である。
実際、客席数は約1.5倍だそうだ。
後方の席でも舞台が近いところがパルコ劇場の一番いいところだと思っていたので、そういう意味ではちょっと寂しい。
しかし、赤い座席は健在で、より重厚な雰囲気になったように思う。
大竹しのぶのメリッサを見るのは2度目である。
もちろん、前回見たときのことはほぼ忘れている。
忘れているといえば、聞き覚えのない台詞も結構あって、私が忘れていたのはもちろんだけれど、ずっと演出もされていた青井陽治さんはずっと訳のブラッシュアップを重ねていらしたという話だから、きっと「ちょっと変えた」ところは結構あったのだと思う。
松重豊はスーツ、大竹しのぶは大柄なワンピースを着て登場した。
お二人とも、若干たどたどしさを残した読み方でスタートである。
二人の男女の手紙のやりとりをひたすら朗読するこの舞台では、二人は前を向いた椅子に座り、間にはお水が乗ったテーブルがあるのみ、「動き」はほとんどないというよりもできない。
そうすると「声」が最大の武器になるのは当然のことだ。
そう思っていたけれど、このお二人は、結構「座る姿勢」を変えていて、椅子に座るといっても色々な座り方があるんだなぁと改めて思った。
ちょっと猫背だったり、足を組んだり、相手役に背を向けるように体をひねったり、本を持ち上げたり膝の上に置いたり、ちょっとした動きが逆に大きな印象を与えるのだなぁと思う。
間に15分の休憩があり、後半は主に「大人のアンディとメリッサ」のやりとりである。
「家庭を持ったアンディとメリッサ」でもある。
休憩の前と後でお二方が衣装を変えたかどうか、二幕の頭でよく分からなかった私は本当に「衣食住の衣」に興味がないんだなとがっくりした。多分、大竹しのぶは白っぽいワンピースからワインレッドの勝ったワンピースに着替えていたと思うのだけどどうだろう。
松重豊の衣装は本当に分からなかった。そもそも、スーツってほぼどれでも同じに見える。
席が最後列に近かったからだということにしておきたい。
ひたすら生真面目なアンディと、奔放なメリッサという役は、松重豊と大竹しのぶに凄く合っていて、落ち着く。
お二方は、この物語の晩年のアンディとメリッサに近い年頃で、だからアンディとメリッサが自分たち二人のことをずっと振り返って追体験しているような雰囲気も漂う。
ずっとアンディとメリッサがそれぞれ書いた手紙を読み合って舞台は進む。
どちらかが怒ったり拗ねたりすると手紙の返事を書かなかったりして、「私の手紙は届いていますか?」という手紙が時々挟まれる。それでも往復書簡が途切れなかったところが、アンディとメリッサの関係のポイントだ。
最後の1通は、メリッサが亡くなったことを悼む、アンディがメリッサの母親に当てた手紙である。
メリッサは、それまでのメリッサとは別人のようにしんみりとアンディが読み上げる手紙の文言に言葉を挟んで行く。こちらのメリッサが本来のメリッサなのではないかという感じすら漂う。
ずっと、2脚の椅子とテーブルを四角く照らすだけだった照明も、この最後の手紙が読まれている間にどんどんセピアに変わって行き、そして暗くなり、手紙の読了とともに暗くなって幕である。
やっぱりいいなぁと思う。
また、違うカップルの「LOVE LETTERS ラヴ・レターズ」を見て聞きたいと思う。
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