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2020.05.31

「朝日のような夕日をつれて 2014」のDVDを見る

「朝日のような夕日をつれて 2014」
作・演出 鴻上尚史
出演 大高洋夫/小須田康人/藤井隆/伊礼彼方/玉置玲央
2014年 紀伊國屋ホールで収録

 元々あまり映画を見ないので手持ちの映画のDVDは早くも尽きてきている(あと2本、「ベルリン 天使の詩」と「星の旅人たち」がある)一方、舞台のDVDは結構な本数を持っている。
 その中から何となく気分で「朝日のような夕日をつれて 2014」を見た。
 本編と、コメンタリー編と、続けて合計4時間である。

 タイトルだけで「もう6年も前になるのかぁ」と何となく目が遠くなる。

 のっけから東京五輪の話が出てきて「2020年は今年だったもんなぁ」とまた目が遠くなる。
 2014年は、(覚えてないけど多分)2020年オリンピックの開催地が決まった年だったんだろう。
 そういう時事の話題と、そのときに流行っているおもちゃ(初演はルービックキューブ、2014年では・・・、もう忘れている。今見終わったのに。開発されたゲームが「Soul Life」という名前だったのは覚えているのに。)とで時代を追っかけたり先取りしたりし、オープニングや「みよこの手紙」で「朝日」としての連続性(一環性?)を確保している。

 「朝日のような夕日をつれて」は、パーツに分解できて、初演からずっと変わらないシーン、音楽、ダンスがある一方、時事ネタを次々と突っ込んで行くシーンももちろんあって、それをバランス良く組み合わせているという感じがある。
 その取捨選択と取り込み方が朝日の朝日たる所以だ。多分。

 6年前の舞台なのに、今年上演されていたとしても不思議でない感じがある。
 実際に今年上演されていたらe−Sportsの話題は出るだろうなぁとか、当時は今ほどインスタグラムって流行っていなかったのかしらとか(wikiによると、日本語アカウントが開設されたのが2014年2月だそうだ)、もちろん6年前に上演された作品であることは間違いなく、2020年に上演されたら全く別のパーツが入ることは間違いない。
 けれど、2014で語られている内容は今を見据えているし、2014で提起された課題は今以て提起されている課題だと感じる。

 そこに進歩はないのか。
 コンピュータやソーシャルネットワークの進化は人間が作り出しているものである一方、人間には追いつけない進化を遂げ始めているのではないかとさえ思う。
 「誰も自分を傷つけない世界」以上の「おもちゃ」はもう生み出されることはないのかも知れない。
 その辺りもまた、昨今の「STAY HOME」や「zoom飲み会」や「あつまれ どうぶつの森」のヒットなどなどに繋がっているように思う。

 一方で、こうやって「預言」は成立しちゃうんだろうなとも思う。崇めてどうする、と自分にツッコむ。
 「朝日」のいいところは、「先見性」ではなく「同時代から半歩先を行く芝居」であり、どこか高みから見下ろすのではなく今に添おうとする姿勢だ。

 DVDで見るのも、コメンタリー編を見る(というか聞く)のも楽しい。
 一番「いい」客席から見ることができたり、舞台を真上から見下ろすようなカメラ・アングルがあったり、役者さんの顔がアップになったり、裏話的な話があったり稽古の様子をうかがい知れたり、そこには舞台を生で見るのとは別の楽しみ方があると思う。

 それでも、舞台はやっぱりDVDじゃなくて劇場で見たいよと痛感した。

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2020.05.24

「木曜組曲」のDVDを見る

「木曜組曲」
原作 恩田陸
監督 篠原哲雄
出演 鈴木京香/原田美枝子/富田靖子/西田尚美
    竹中直人/加藤登紀子/浅丘ルリ子
日本映画
2002年劇場公開

 芝居のDVDよりも映画のDVDを見たい気分が継続していて、「木曜組曲」を見た。
 我ながら,何故このラインアップなんだろうと思う。

 恩田陸の小説「木曜組曲」をかなり忠実に映像化していると思う。
 お料理とか、台詞とか、見覚え(読み覚え)のあるシーンがたくさん出てきて、原作小説のファンとしては嬉しい。
 重松時子を浅丘ルリ子、編集者のえい子さんを加藤登紀子と、キャスティングもかなり贅沢である。

 久々に見返して、こんなにヒリヒリというかピリピリというか、緊張感溢れる映画だったんだ、と驚いた。
 毎年女5人で集まっている家で実は殺人事件があったかも知れない、殺人事件があった場合、犯人はその5人の中にいるかも知れないという状況だからピリピリして当然なのに、小説を読んでいるとそのピリピリ感をうっかり忘れてしまう。
 映画では声音や行動で具体化されているので、頭の中のイメージよりも大分「強い」感じを受けた。

 原作小説と大きく違うのはエンディングだ。
 小説では絵里子が一晩考えて出した推測が「結論」ということで終わっている一方、映画では「その後」が描かれている。
 ただ、これって無理があるんじゃないかしらと思ったのも本当だ。
 映画では、重松時子の親戚の女たち4人が集まる前にえい子が家を空け、その間に時子が服薬自殺を図ったことになっている。
 でも、絵里子は自分が時子の家に到着した後で、(姿は見ていないらしいけれど)時子が台所に入って行く気配を感じたと言っている。
 これって矛盾してるよなぁと思う。
 多分、私が何かを見落としたか聞き漏らしたかしたんだろう。

 ほぼ女5人の家の中の会話劇で、その分、女優さん達のアップが多用されている。
 目の保養だ。
 健啖家で、にな美味しそうに飲み、美味しそうに食べている。
 並んだ料理も美味しそうだ。
 目の毒だ。

 誰か舞台化してくれないかしらと思った。

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2020.05.23

「かもめ食堂」のDVDを見る

「かもめ食堂」
原作 群ようこ
脚本・監督 荻上直子
出演 小林聡美/片桐はいり/もたいまさこ
    ヤルッコ・ニエミ/タリア・マルクス/マルック・ペルトラ他
日本映画
2006年劇場公開

 何故だか、芝居のDVDよりも映画のDVDを見たい気分で、「かもめ食堂」を見た。
 我が家の近くにはレンタルDVDのお店がないので、自分で持っているDVDとなるとかなり限られる。
 しかし、かなり久しぶりに見返して、やっぱりいいなぁと再発見した。

 「かもめ食堂」の主人であるサチエを演じる小林聡美の佇まいがやはりピタリと嵌まっている。
 それはミドリを演じている片桐はいりもそうだし、マサコを演じているもたいまさこもそうだ。ピタリである。
 サチエとマサコがそれぞれ格好いいなぁと思いつつ、自分はミドリに一番近いなぁと思う。
 サチエやマサコの格好良さを目指したいところだ。

 サチエは、店の初めてのお客である日本が大好きな青年や、コーヒーの美味しい入れ方を教えてくれたおじさんや、よく外から覗きながら歩き過ぎて行く年配の女性3人組や、ずっと睨み付けていたかと思うとつかつかと入ってきてアルコール度数の高いお酒を注文し、マサコと飲み比べを始めた途端に酔い潰れたおばさんや、少しずつヘルシンキの街と住んでいる人々とに馴染んで行く。

 シナモンロールの匂いが感じられないところが本当に惜しい。
 そういえば、匂いを感じさせる映画館ができたとか匂いを感じさせる映画ができたとかいう話をだいぶ前に聞いたようなあやふやな記憶がある。あの話はどうなったのだろう。
 その代わり、おにぎりに巻いた海苔をパリっと食べる音は入っていて、もう、それだけで美味しそうなおにぎりである。

 「かもめ食堂」が初めて満員になった日、閉店後に日課のプールに来てサチエがそっと呟いて幕である。
 当分、「かもめ食堂」はサチエとミドリとマサコの体制で続きそうである。嬉しい。

 原作の、ちょっとでもドロドロを感じさせる部分を全部そぎ落として、清々しい空気を再現させることに最も意を用いている、という感じがする。
 そして久々に見返して、こんなに「映画っぽい」画面だったのだなぁと初めて感じた。

 映画の舞台となっているヘルシンキでもどこでも、海外に行って街歩きをしたいなぁとふるふると思った。

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「佐渡島他吉の生涯」公演中止

 パルコ劇場の公式Webサイト内、「佐渡島他吉の生涯」のページにあった「ニュース」によると、

***** *****

 PARCO劇場オープニング・シリーズ「佐渡島他吉の生涯」につきまして、当初5月13日からの催行を予定しておりましたが、政府からの要請を受け、公演準備のための十分な時間が確保できないため、東京・大阪の全公演を中止とさせていただきます。
 既にチケットをご購入済みのお客様へは払い戻しの対応をさせていただきます。
 大変お手数をお掛け致しますが、払い戻し方法の詳細につきましては、以下をご覧くださいませ。
 舞台を心待ちにしてくださっていたお客様にはご迷惑とご心配をお掛けいたしまして誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

***** *****

 とのこと。

 楽しみにしていたので、とても、とても、残念である。

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2020.05.16

「母を逃がす」公演中止

 Bunkamuraの公式Webサイト内、「母を逃がす」のページにあった「重要なお知らせ」によると、

***** *****

 この度発令された緊急事態宣言と東京都からの緊急事態措置要請を受け、全日程を中止とさせていただきます。誠に申し訳ございませんが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

***** *****

 とのこと。

 楽しみにしていたので、とても、とても、残念である。

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2020.05.03

「となりのトトロ」のDVDを見る

「となりのトトロ」
監督 宮崎駿
声の出演 日高のり子/坂本千夏/糸井重里
    島本須美/北林谷栄/高木均 他
日本映画
1988年劇場公開

 先日に引き続き、5連休の2日目に当たる今日、「となりのトトロ」を見た。

 「天空の城ラピュタ」の舞台は明らかではない一方、こちらは「昭和30年代の所沢が舞台だよね」とあまり熱心な視聴者ではない私でもどこかで知っている。
 お母さんが結核で入院しており、その病院の近くでということと、退院してから空気の良いところで暮らせるようにということで、お父さんとサツキとメイの一家が、ちょっと洒落ているボロ家に引っ越してくるところから物語が始まる。

 平和だ。
 お母さんが病気で入院していて、何の憂いもないという訳には行かないけれど、巨神兵が出てくるナウシカや、イタリア空軍が出てくる紅の豚や、やはり軍隊が出てくるラピュタに比べると、平和だ。
 そして、長閑だ。

 「となりのトトロ」の人気の秘密は、もちろん「トトロ」という存在や、サツキとメイという姉妹の健気さ、お父さんのカンペキさ(に近いような気がする)、背景に広がる田園風景の美しさに加えて、この「長閑」で「事件が起こらない」というところにもあるんじゃないかしらと思った。
 安心して見ていることができる。

 メイの物言いを見ていて、甥っ子(弟)を思い出した。
 この「どこにでもいる感じの4歳児」をきっちり作り込んでくるところにも脱帽である。

 のんびり楽しんだ。

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