映画「新解釈・三国志」を見る
「新解釈・三国志」
監督 福田雄一
出演 大泉洋/賀来賢人/橋本環奈/山本美月
岡田健史/橋本さとし/高橋努/岩田剛典
渡辺直美/磯村勇斗/矢本悠馬/阿部進之介
半海一晃/ムロツヨシ/山田孝之/城田優
映画館の入口では手指消毒、映画上映前に「飲食中以外はマスクをつけてください」の注意があった。
公開開始からだいぶ経っていることもあって客席はガラガラで、全部で10〜15人くらいの観客だったので、新型コロナウイルス感染症の心配はほぼせずに済んだ。
ネタバレありの感想は以下に。
「新解釈・三国志」なので、一般的なというか、古典的なというか、いわゆる普通の「三国志」を知っていた方が絶対に面白いよなぁ、恐らくは世間に流布するイメージとのギャップで笑わせようとしてくるんだろうからなぁと思い、見てみたいと思いつつなかなか見に行けてなかった。
しかし、それを言っているといつまでたっても三国志関連のものには縁がないままになってしまうし、映画の公開も終わってしまう。
そう思って見に行った。
見に行ってみれば、ゆるーい感じで面白かった。
西田敏行演じる教授が「三国志についての私の新解釈を語ります」と講義を行う体で狂言回しとして話を進めて行く。
そもそも、この映画の主役である劉備元徳は一般に流布しているような人柄ではなかった、というところから始まる。
えーと、「一般に流布されているイメージ」ってどんなイメージなんでしょうかと聞きたいけれど、聞く相手もいない。そのまま見る。
まぁ、この映画の劉備元徳みたいに、やる気が全くない感じではなかったんだろーなーということだけは分かる。
映画は、(多分)三国志の有名なシーンをピックアップして演じられ、話の繋ぎは教授の解説と、ゲームの画面で表される。それでつまみ食い兼いいとこ取りを可能にしてしまう。
荒技過ぎて有難い。お陰で、ほぼ三国志を知らない私もひたすら笑っていられた。
多分、劉備元徳はもうちょっとやる気のある人物だったろうし、諸葛孔明が全部の知恵を黄夫人に出してもらっていたということもないだろうし、曹操は多分もうちょっと嫌な奴っぽかっただろうし、黄巾はそんなに自分大好きなキャラではなかったろうし、「桃園の誓い」は桜の木の舌では誓われていなかっただろうし、諸葛孔明は「三顧の礼」を尽くされるまで劉備元徳の招きに応じなかっただろうし、「連環の計」の美女はもう少し儚いというか哀れな感じだっただろうし、「赤壁の戦い」で劉備元徳が疫病は怖いと本気で帰ることはなかっただろうし。(いずれも、今、ネット検索して得た知識を元に書きました。)
という辺りを「本当はこうだった」とは言ったり書いたりせずに、「本当は違ってたんだろうなぁ」と苦笑させてしまう、練りに練った台本と、そこを飛び越えて飛び交っただろうアドリブによる笑いが絶妙である。
大爆笑するとか、もの凄くためになるとか、教養が身につくということはほぼない。
ただ気楽に見られて、大いに笑えて、楽しかったー、という満足感がある。
映画は赤壁の戦いに勝とうとする劉備元徳の、酔っ払った末に出てくる「格好いいキャラ」がときの声を上げるところで幕を閉じる。
この後も描こうとしていますね、あわよくば続編を撮りたいと思っていますね、という感じの終わり方が、計算し尽くされている感じで非常に好ましい。「そう思ってるって思いたいんでしょ」という感じをあざとくなく出せるって何て素晴らしいんだろう。
お陰で安心して笑える。
力の抜ける、楽しい映画だった。
見に行って良かった。
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