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「真珠の耳飾りの少女」
原作 トレイシー・シュヴァリエ
監督 ピーター・ウェーバー
脚本 オリビア・ヘトリード
出演 スカーレット・ヨハンソン/コリン・ファース
トム・ウィルキンソン/キリアン・マーフィ
エシー・デイビス 他
イギリス・ルクセンブルク映画
2003年製作
シュヴァリエの原作小説は読んだことがあり、映画も確か1回(私にしては珍しいことに)映画館で見ている。
確か、絵画「真珠の耳飾りの少女」が来日した際、その公開に合わせて映画も上映されていた機会に見たのだったと思う。
原作小説の方は何度も読み返していて、映画もほぼ原作に沿ったものと思っていたら、以外と異なるところがあって、ちょっと驚いた。
どうやら、映画を見た後で小説を何度も再読した結果、映画に出演していた役者さんを想像しながら原作小説を読み、原作小説のあらゆるシーンが映画で見たと誤解したらしい。
我ながら果てしない妄想力である。
いずれにしても、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」という絵がどのようにして誕生したか、という一つの謎解きをしている映画である。
面白い。
映画では、グリート(小説ではフリートとなっていたような・・・)の家族はほとんど登場しない。
恐らくは、グリートとフェルメールとの関係に焦点を当ててそこを際立たせるため、他の要素はだいぶ削ったのだと思割れる。
グリートの家族は、グリートとフェルメールというよりは、グリートと精肉店の息子であるピーターとの関係により影響を与える存在として小説で描かれていた筈だ。
そして、そのピーターとグリートと二人だけのシーンは悉くセピアカラーだったのも印象的である。
これはグリートの心象風景なんだろうな、ピーターと二人でいても世界は全くカラフルにならず、むしろ地味に沈んだ景色として彼女の目に映っていたのだろうなという感じが強調されている。
そうしてグリートとフェルメールの二人の関係に絞った一方で、小説で示唆されていた「ピーターと結婚したグリートが生んだ長男はフェルメールの子供だ」という箇所は見事に削られている。
グリートはフェルメールに恋していたと思うけれど、フェルメールのグリートへの執着は恋愛ではなく、絵描きとして自分の描く絵の理解者である彼女への執着だったということになっている、のかも知れない。
ただ、フェルメールの娘のグリートへの執拗な意地悪は、彼女が自分の家族を滅茶苦茶にしようとしていることに敏感に反応していたように見えた。
この辺りはよく分からない。
フェルメールのパトロンであるファン・ライフェンは映画では結構な重要人物で、彼のの家に(恐らく)デルフトの眺望だったり、紳士とワインを飲む女の絵がエピソードに使われていたり、真珠の首飾りの女を購入するシーンがあったりする。
大分、嫌な人物ではあるけれども、一方で金銭面でフェルメールを支えていたという雰囲気も漂わせている。
グリートと一緒に働いていたエンリケが、フェルメール家を辞したグリートを訪ね、彼女に真珠の耳飾りを渡し、そのまま去って行く。
渡された、ブルーの布に包まれ、生成りの布でさらに包んで蝋で封をした真珠の耳飾りを見て彼女が何ごとかを悟ったシーンで映画は終わる。
次に見るときには、ストーリーではなく、フェルメールの家に飾られている絵やカーテン、ドアや床の様子、衣装などなどに「フェルメールの絵」を探してみようと思う。
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