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2021.09.11

「ショーマストゴーオン」を見る

加藤健一事務所「ショーマストゴーオン」
作 ジョン・マーレイ/アレン・ボレッツ
訳 小田島恒志
演出 堤 泰之
出演 加藤健一/新井康弘/辻親八
    奥村洋治(ワンツーワークス) 
    林 次樹(Pカンパニー)
    土屋良太/伊原 農(ハイリンド)
    千葉健玖(Studio Life)/加藤忍/岡﨑加奈
観劇日 2021年9月10日(金曜日) 午後7時開演
劇場 本多劇場
料金 5500円
上演時間 3時間20分(15分の休憩あり) 

 ロビーではパンフレット(確か550円だったような・・・)が販売されていた。

 ネタバレありの乾燥は以下に。

 加藤健一事務所の公式Webサイト内「ショーマストゴーオン」のページはこちら。

 ギリギリで開演時間に間に合う筈が、下北沢駅構内で迷い、芝居の冒頭を見ることができずに途中入場になった。申し訳ない。
 開演5分後くらいから見始めたところ、舞台上では加藤健一演じる演劇プロデューサーのミラー氏と、奥村洋治演じるミラーが滞在しているホテルの支配人とが言い争っている場面だった。
 ミラーは、劇団員22名もろともこのホテルに滞在しているけれど、支払いは全部ツケで全く支払っていないらしい。

 ミラーの劇団は、新人作家の脚本で芝居の稽古を重ねていて、これがなかなかの「傑作」らしいのだけれど、上演するだけの資金がなく、資金がなければ上演できず、上演できなければお金も入って来ず、お金が入ってこなければホテルの支払いは永遠にできない、という状況らしい。
 しかも、演出家や舞台監督らの話を聞いていると、ミラーはずっと「ホテルのツケを溜めては踏み倒す」ことを繰り返しているらしく、この界隈でミラーを泊めてくれるようなホテルも、ミラーにお金を貸してくれそうな人も、全くないらしい。

 今、滞在しているホテルは支配人が義兄だか義弟だから何とか泊めて貰っているけれども、その支配人も「経営改善」を目指す上役には逆らえず、上役はもちろんミラーを追い出しにかかっている。
 もちろん、借金も全額返済させる勢いである。
 ミラーは、着られるだけの服を着込んで夜逃げしようとしたものの、脚本を書いた新人作家がやってきて「所持金は67セントしかない」と言われたり、演出家や舞台監督がそれぞれホテルやアパートから追い出されたり、このホテルの部屋に「スポンサー」がやってくるという連絡が入ったり、ホテルの部屋を離れる訳には行かなくなってしまう。

 もう後は、「お金が手に入る!」と舞い上がったり、ホテルから追い出されそうになったり、役者達を劇場に隠してことなきを得たかと思えば発見されたり、「ホテルは病人を追い出しては行けない」という規則を逆手に取って新人作家に麻疹のフリをさせたり、食べるものがなくてお腹が空きすぎ俳優志望のロシア出身のウエイターに「出演させてあげる」と嘘をついて食べ物を持って来させたり、新人作家が惚れている秘書の女の子にそのことがバレて軽蔑されたり、上がったり下がったりの繰り返しである。

 「そんなことがある訳ないよね」という出来事の連続なのに、ついつい先が気になって前のめりになって見入ってしまう。
 彼らが打とうとしている芝居がどうにも「面白いんだか面白くないんだか分からない」という風に描かれているところがまたミソで、ミラーらはもちろん脚本に惚れ込んでいるし役者さん達も稽古を重ねているし、「上演したら大入り満員間違いなし」という感じでいるのだけれど、その「芝居」を見たことがない観客席の我々からすると、そこがそもそもスリルである。
 「新人作家の脚本」という設定が秀逸だと思う。

 何だかよく分からない「名前を聞けば誰もが知っている大物」のスポンサー代理人が現れ、誰だかを出演させてくれるのであれば出資すると条件と金額が示される。
 これでついに万事解決! と思いきや、契約書にサインしようというときになってホテルの重役が部屋に乗り込んできてぶち壊し、ミラー氏らはそれでも何とか小切手にサインをもぎ取ったと喜んでいたところ、実は契約書にサインがなく小切手は停止されてしまう。

 しかし、ホテルの重役がそのことを知らないまま、小切手に書かれた名前と金額に目を奪われて自分の銀行に入金してくれれば、現金化できるまでの5日間は自分が劇団の支払いを保証すると言い出したのをいいことに、その5日のうちの上演を目指すことになる。
 一難去ってまた一難、上手く行かなさそうになっても起死回生の一発逆転、の繰り返しだ。
 これはいよいよダメか、ついにこの騙くらかし合戦もミラーの敗北に終わるのか、となったラスト、何とかホテルの重役を騙くらかして上演した芝居は上出来で、ホテルの出資者である上院議員が気に入り、ロングランが決まる。

 やった、ついにこの危難を乗り切った! と大団円である。
 何とかしなくちゃいけないものが「お金」であるところが世知辛いながらも強烈に笑いを呼び、ハラハラドキドキ最後まで「次はどうなる?!」と次の展開が楽しみで、全集中でお芝居を楽しんだ。
 やっぱりお芝居は楽しいし、「ショーマストゴーオン」だよ、と思った。

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