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2022.01.20

「リトルプリンス」を見る

「リトルプリンス」
演出 小林香
出演 加藤梨里香/井上芳雄/大野幸人/花總まり
    桜咲彩花/加藤さや/香木暮真一郎/縄田 晋
    荒川湧太/塩川ちひろ/中西彩加/本田大河
    森田有希/安井聡/山花玲美
観劇日 2022年1月20日(木曜日) 午後1時開演
劇場 シアタークリエ
料金 12500円
上演時間 2時間40分(25分の休憩あり)

【音楽座ミュージカルオリジナルプロダクション】
総指揮 相川レイ子
脚本・演出 ワームホールプロジェクト
音楽 高田 浩・金子浩介・山口琇也
製作著作 ヒューマンデザイン

 ロビーでは、パンフレット等が販売されていた。

 こちらの劇場では、終演後に席番号で区切って退場することを「時間差退場」と言っていて、他の劇場で多く聞く「規制退場」よりも感じがいいなと思った。

 ネタバレありの感想は以下に。

 東宝の公式Webサイト内、「リトルプリンス」のページはこちら。

 音楽座ミュージカルは、「アイラブ坊ちゃん」と「マドモワゼル モーツァルト」は見た記憶がうっすらあるものの、「リトルプリンス」は未見だと思う。
 「星の王子様」という小説自体の内容もあやふやだ。バラの花にガラスの覆いをかけている絵面は思い浮かぶものの、正直なところ、どんな話だか忘れてしまっている。
 このミュージカルを見ながらも「これって原作に忠実なのか? それともアレンジが相当入っているのか?」すら分からなかったくらいだ。

 結論からいうと、このミュージカルはほぼ原作小説どおりだったのではないかと思う。
 そういう意味では、「アイラブ坊ちゃん」と「マドモワゼル モーツァルト」とは随分とアプローチが異なっている。「星の王子様」の世界と、舞台化したときの尺などなどがちょうどイーブンだったのかしらと思う。

 原作に忠実ということは、大部分は王子様と飛行士の物語だということになる。
 舞台上でも、この二人の比重は重い。
 井上芳雄演じる飛行士と、加藤梨里香演じる王子様とのデュエットの歌声はなかなかに心地よくて、客席全体が暖かい空気に包まれたようになっていたと思う。

 そしてまた、「花」を演じた花總まりが(もちろんいい意味で)化け物だと思う。
 あの年齢であの清楚な雰囲気と歌声を維持しているって一体・・・、と思った。凄すぎる。バラの花の拗ねたところとか、王子様に甘えているところとか、可憐かつ可愛らしい。無理がある感じがしない。存在感も抜群である。

 30年近く前に見た音楽座ミュージカルは多分、宙乗りも使っていなかったし、映像も使っていなかったと思う。
 「進化」だ。
 でも、楽曲を聴いていると「うんうん、音楽座ミュージカルってこんな感じだった」と思い出して嬉しかった。カーテンコールで歌われた歌は(タイトルは分からないけれど)帰り道でずっと頭の中に流れていたくらいだ。

 冒頭の、飛行士が恋人と揉めている雰囲気や、王子様に故郷の「花」の話を聞きながら花と彼女を重ねていたシーンは、最後まで回収されなくてもやもやした。
 また、宇宙を飛べる(らしい)渡鳥に連れられて地球に来たんだからまた渡鳥に故郷の星に連れ帰って貰えばいいじゃないか! というツッコミへの答えもぜひ欲しいところだ。
 なぜか王子様は「この重たい体では帰れない」と思い込んでいる。

 舞台では、王子様は蛇に噛まれることで肉体的には死に、魂だけの存在になって故郷の星に帰った、と解釈され描かれていたと思う。
 最初、蛇は王子様をだまくらかして殺しちゃおうと企んで「僕が噛めば君は故郷に帰れる」と大嘘をついているのだと思っていたけれど、その割に王子様が「よし」と言うまで噛もうとしないし、この辺りも今ひとつよく分からない。
 しかし、これは舞台というよりも、そもそもの原作小説がこうなっているんだ、という感じがする。

 王子様は、地球に来て知り合い、かつ気があって友達になったキツネとも別れ、旅の話をするうちに離れ難く思うようになっていた飛行士とも別れ、「花」のところに帰ることを選ぶ。
 それが「飼い慣らした相手」と表現され、王子様にとって花が「友人」や「恋人」ではなく、「庇護すべき存在」と上から目線なところも少しばかり気になる。
 王子様は旅の過程でさまざまな人と知り合うものの、どの人物も気に入っていない。

 とかなんとか言いつつ、実は舞台を見ていて一番気になっていたのは、「王子様は水を欲しがらないんだね」ということだった。
 物語の進行にはほぼ影響がないのだけれど、王子様は美味しそうに水を飲むシーンはあっても、切実に水を欲しがるシーンはない。それはやはり王子様の「人間ではない」感じを強調するためだったのかなぁと思ったりもする。

 見終わってから「ん?」と思ったことをあれこれ書いてしまったけれど、実際、見ているときは、ただ歌に聞き惚れ、蛇や黄色いお花の動きに見惚れ、懐かしさを感じていた。
 2022年最初の観劇がこの「リトルプリンス」でよかったなぁと思っている。

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