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2022.09.18

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ミュージカル「COLOR」
原作 坪倉優介「記憶喪失になったぼくが見た世界」
音楽・歌詞 植村花菜
脚本・歌詞 高橋知伽江
演出 小山ゆうな
出演 成河/濱田めぐみ/浦井健治
観劇日 2022年9月17日(土曜日) 午後1時開演
劇場 新国立劇場小劇場
料金 11000円
上演時間 1時間20分

桜染めの着物 ロビーでは、原作者である坪倉氏が染めた着物が何枚か展示されており、写真撮影可となっていた。
 また、上演中以外は劇場内の撮影も可となっていた。かなり珍しいことのように思う。

 また、パンフレットや原作本、グッズなどが販売され、終演後は行列ができていた。

 ホリプロの公式Webサイト内、「COLOR」のページはこちら。

 内容は全くチェックせず、出演者陣の魅力にやられてチケットを購入した。
 ダブルキャストで、「浦井健治・柚希礼音・成河」バージョンと、「成河・濱田めぐみ・浦井健治」バージョンが交互に上演されている。
 私が見たのは、「成河・濱田めぐみ・浦井健治」である。

 「音楽・歌詞 植村花菜」ということは知っていたのに、何故か同時に、タイトルの印象からなのか、外国のミュージカルだと思い込んでいたところがある。
 それが、主人公の青年が「そうた!」と呼ばれているのを聞いて、日本のミュージカルだったのか! と心の中で叫んだ。
 新作ということもそのとき気づいたような気がする。

 物語は、大学に入ったばかりの18歳の青年が交通事故で記憶を失い、その6年後に就職し、「記憶を失ってから」のことを本にしたいという編集者と二人三脚の作業を始める。そこからスタートだ。
 彼の書いた原稿と、編集者が彼の母親から聞く話とで、彼の数年間を辿り始める。
 母親の語るお話が、しばしば演技になり歌になる。

 見ているときは、この物語に原作があり、実話を元にしているということを知らなかったので、この物語と「草木染め」との繋がりがよく分からなかった。
 正確に言うと「何故ここに草木染めを持ってきた!」と思っていた。創作だった場合に、ここで主人公が新たに情熱を傾ける対象として「草木染め」を持ってくる理由というか必然性がないように感じた。
 見終わってから、「物語」としての必然性ではなく、ご本人にとっての「必然性」のある選択だったのだなと納得した。
 「必然」は彼の中だけにある。

 記憶を失った青年は、何というか「個人史」だけを失ったのではなく、ありとあらゆる記憶を失っている。
 例えば、「ごはん」を知らない。「物を食べる」ということを知らない。「熱い」という感覚を知らない。文字が読めない。「お金」を知らない。
 その彼に一つ一つ、もう一度子供を育てているかのように教えるお母さんが痛々しい。

 同時に「特別扱いするな」とそのお母さんを叱るお父さんが鬼に見えてくる。
 この「お父さん」が、たまにしか出てこないところが何だか勿体なくて、最初は「家族に感心の薄い酷いお父さん」なのかと思ったくらいだ。しかし、バイクの事故で記憶を失った息子に再びバイクに乗ることの許可を出し(その前にちゃんと乗り方を教えたんだろうな、とは思ったけれども)、「二度とお母さんを泣かせるようなことはするな」と言い渡す様子は、ちゃんと「お父さん」である。
 であれば、もっと「お父さんと息子」の関係も描くか、逆に「お父さん」の存在を消した方が良かったんじゃないかという気もする。難しいところだ。

 成河は少しずつ変わって行き、新しい過去を得て行く青年を、きっちりと表現し、歌う。
 やっぱり上手いよ、と思う。
 以前に成河が一人で20人とか30人とかを演じる一人芝居を見たことがあって、それを思い出すと、「ぼくの大切なひとたち」の役名で浦井健治が演じた「お父さん」や「編集者」や「ひかるくん」や「教授」などなどを成河が演じるところも見てみたかったなぁと思う。
 こんなことならダブルキャストの両方のチケットを確保すべく奮闘すれば良かった。

 成河・濱田めぐみ・浦井健治バージョンでは、浦井健治が歌うシーンは少なく、さらにハモるシーンは(多分)ラストシーン近くで1回あっただけだったような気がする。
 成河・濱田めぐみがハモるシーンも多くはなくて、こんなに歌が上手い二人を揃えたのだから、もちろん一人の歌声も聞きたいけれど、ハモる歌声ももっと聞きたいよ! と思った。

 芝居の最後は、ついに彼の本が出版され、草木染め作家として独立するとともに講演活動も行うようになった彼の講演で締めくくられる。
 その講演会には、彼の母と編集者もやって来ている。
 そして、幕だ。

 終演後、改めてロビーに飾られた草木染めの着物たちの意味が分かった。
 我ながら遅すぎる。
 最近、草木染めに興味を持ってワークショップに行ったりしているところだったので、そういう意味でも興味深かったし、草木染めとは関係なくミュージカルとしても少ない人数で舞台を埋め会場を埋める舞台で、終演後はつい口ずさんでしまうナンバーもあり、とても良かったと思う。

 また見てみたいと思った。

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