「帰ってきたマイ・ブラザー」を見る
シス・カンパニー公演「帰ってきたマイ・ブラザー」
作 マギー
演出 小林顕
出演 水谷豊/段田安則/高橋克実/堤真一
寺脇康文/池谷のぶえ/峯村リエ
観劇日 2023年4月22日(土曜日)午後1時開演
劇場 世田谷パブリックシアター
上演時間 1時間40分
料金 11000円
ロビーではパンフレットが販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
水谷豊演じる長男、段田安則演じる次男、高橋克実演じる三男、堤真一演じる四男の四兄弟は、40年前に兄弟でグループを組んで芸能界デビューし、1曲ヒットを飛ばしたものの、そのままフェイドアウトした歌手である。
40年間、芸能界とは無縁の場所でそれぞれの生活を送っていたけれど、突然SNSで彼ら四兄弟が歌ったCMソングが話題となり、池谷のぶえと峯村リエ演じるファンの姉妹が再結成の署名活動を行い、それを受けて寺脇康文演じる元マネージャーが浦賀市役所観光課勤務の伝手を総動員して復活コンサートを仕掛けた、そのコンサート開始数時間前の楽屋が舞台である。
出演者陣からして豪華である。
豪華な出演者陣を非常に緩く配置している、という印象の舞台である。
20年ぶりくらいで舞台に出演しているという水谷豊の魅力をいかにして見せるか、引き出すか、という目的に向かって、出演者一同、全力で邁進している。
とすると、「素で笑ってるよね?」というシーンも全て演出だったんだろうか。
よく分からない。
しかし、そういう内輪受けっぽい感じが気になったのは最初の方だけで、そのうち、けっこう話の続きや四兄弟のこれまでとこれからが気になり始めた。
流石である。
女優陣が、「彼らが活動していなかった40年間もずっとファンを続けていた姉妹」、「何かよく分からないものを揚げたペリー揚げづくりが上手なおばさん」、「地元のラジオ局のパーソナリティ」をもの凄くクセ強く演じているのも良かった。
やっぱり、上手いし格好いい。
カラオケ教室を主宰している長男は楽天家で、何を歌うかも決まっていない状況で「何とかなるさ」とずっと言っている。
少しばかり神経質そうな次男は何かの会社を経営しているらしい。パッと見たところのイメージは電気工事会社とかそういう感じだ。
三男は石垣島でブラジル人女性の妻と何やら店を経営しているようだ。
四男はそういえば現在の生業は何だったろう。彼だけは「40年前は口パクで全く歌ったことがない」と明言している。いかにもありそうである。
300人の会場でチケットは初日に100枚売れて以降まるで売れていなかったり、それだけで四人ともショックを受けていたのに実はその100枚も署名運動を行った姉妹二人が買い占めただけで実質観客見込み数が二人だったり、しかしその二人には「どうしても彼らのコンサートを聴きたい」理由があったり、人情話になったり、ファンサービスなのか四兄弟の16歳当時なのか40年前なのか、とにかく若い頃の写真が「応援グッズとしてのうちわ」に貼られて登場したり、飽きさせない。
ま、ストーリーはいいか、という感じである。
ストーリーよりも、完全に当て書きされた役者陣を楽しむ舞台だ。
もちろん最後は会場前に長蛇の列ができ、当日券の客が溢れ、姉妹が買い占めた100枚のチケットの行方は気になるものの、復活コンサートは成功に終わった、のだと思う。
長男は「今後は月1回でもいいから、老人ホームとかスーパー銭湯とかで歌おう」「新しい出発だ」と妙に前向きで、弟たちも何だかんだ文句を言いつつ長男の言うことに進んで巻き込まれて行く。
ラストはもちろん、出演者陣総出演で彼ら4人のヒット曲「マイブラザー」を歌い、踊る。
大団円である。
こちらも何だかんだ(心の中で)言いつつ、かなり楽しんだ。
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コメント
みずえ様、お返事が遅くなりまして失礼いたしました。
そして、コメントありがとうございます。
私が見た回はどうだったでしょう。補助席は気がつかなかったですが、立ち見の方はいらっしゃったような・・・。
一番よく覚えているのは、高橋克実さんがデコピンをされて、もの凄く痛そうにされて、かつ何故かデコピンされたところをひたすらアルコール消毒されていた(笑)シーンなのですが。
あれって、アクシデントだったのか、みなさんが笑いをこらえきれない様子だったのも含めて演出だったのか、気になります。
確かにもっとずっと見ていたい兄弟たちで、マネージャーで、彼らを取り巻く女性陣でしたね。
彼らのその後とかないかしら。
またどうぞ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2023.04.29 18:06
姫林檎様
私も観ました!
私は平日夜に観たのですが、補助席に立ち見まで出る混みっぷりでした。
皆さん楽しそうに演じてらっしゃいましたねえ。
アドリブというか、アクシデントっぽいシーンがあって、出演者も笑っていたのですが、このブログを読んで、これも毎日演ってたのかな、と今思いました。
それだけ皆さん自然体でしたね。
最後の全員でのショータイムは、もう最高の一言!
1つ不満があるとすれば、短かったことでしょうか。
二時間は観たかったです。
投稿: みずえ | 2023.04.24 09:59