「特別展 国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658~1716」に行く
2023年5月3日、根津美術館で2023年4月15日から5月14日まで開催されている「特別展 国宝・燕子花図屏風 光琳の生きた時代1658~1716」に行って来た。
母のリクエストである。
根津美術館は、時間指定予約が継続されている。
また、お庭が広くて綺麗ということで、できれば晴れた日、少なくとも雨が降っていない日に行きたいと母が言い、天気予報とにらめっこしつつ数日前に予約しようとしたときにはすでに10時からの1時間枠は売り切れていた。
予約したのは11時から1時間の枠である。
11時少し前に美術館に到着したところ、特に問題なく入場することができた。
美術館入口に「今朝の杜若」という感じで写真が展示されており、ちょうど満開である。
先にお庭を歩くことにした。今回は使用しなかったけれど、お庭散策用の傘も用意されている。
根津美術館は、名前は知っていたものの行ったのは初めてである。
大体、「青山にあるのにどうして根津美術館って名前なんだろう?」と思っていたくらいだ。今回、東武鉄道の社長であった根津嘉一郎氏が設立した美術館だということを初めて知った。
ついでに書くと、根津美術館のこのお庭は元が大名屋敷跡なのではないかと思っていたのだけれど、よくよく考えれば青山の辺りは(多分)江戸市中には含まれないのではないだろうか。
であれば、大名屋敷があったとは思えない。
もしかして、根津氏か後継者の方が庭園造営も一から行ったのだろうか。何だか凄い。
庭園は広く、高低差もあって見通しが効かない。
緑が濃く、この日は夏日だったこともあって、木陰が涼しい。
杜若がちょうど満開で、見応えがある。
桜も紅葉もあったし、苔で覆われた場所もあったので、いつ来ても楽しめるお庭だと思う。
庭園にはお茶席やカフェもある。
11時過ぎだったのにカフェの入口には10人弱くらいの待ち行列が出来ていて少し驚いた。
きっと、お昼の時間帯ではさらに混雑してとても入れないから、早い時間からカフェに行こうという人が多いのだろうなと思う。
お庭を満喫した後、特別展に向かった。
根津美術館には全部で六つの展示室があり、この日は展示室1と2で特別展が開催されていた。これがいつものことなのか、企画展・特別展のたびに切り替えるのかは分からない。
いずれにしても、何はともあれ、尾形光琳の「燕子花図屏風」を見ない訳には行かない。
特別展は尾形光琳の生年から没年までの期間の作品が選ばれていた。
当然、尾形光琳作の作品は少ない。
そもそも出展作品も21と小規模な展示だったけれど、その中で尾形光琳作の作品は3点である。圧倒的に少ない。
その少ない中でも、やはり「燕子花図屏風」の存在感は凄い。
何しろ、金箔を貼った背景だけでも迫力である。どれだけのお金をつぎ込んだのだろうと思う。
また、この金色が色あせておらず、今以て輝いている。
お花の青と葉っぱの緑も鮮明に色が残っている。輪郭線を描かず、むしろべたっという感じで描かれた青と緑の残り具合は、青はラピスラズリですか? と聞きたい。
大名のお姫様の嫁入り道具だったのではないかという解説のあった源氏物語絵巻や、京都から伊勢神宮までの道筋を双六のように描いた屏風があったり、燕子花図屏風を描いた人と同じ人が描いたとは思えない繊細な筆遣いの「夏草図屏風」も興味深い。
平家物語絵巻があったり、三十六歌仙の詠んだ短歌を色々な人が書いて、それを貼り付け合わせた屏風もある。
屏風など大柄なものが多かった記憶である。
思っていたよりも楽しめた。
青銅器のお部屋では、饕餮紋のある器などなどが集められていた。
「饕餮」って何だよと思う。私の頭には十二国記に登場する饕餮しか思い浮かばない。だからこそ「とうてつ」と読めた訳だけれど、そういえば十二国記に饕餮のイラストはなかったし、姿の描写もほとんどなかったような気がする。イメージする助けにならない。
実は全く見逃していて、ミュージアムショップでやたらと登場するので気になって探しに行った「双羊尊」が、流石にマスコットキャラクターになるだけのことはありとぼけた表情と細かな模様が何だかあったかい感じだった。
確か同じ青銅器の部屋には銅鏡が展示されていて、再現されたという鏡面があった。覗き込んで見たけれど、ほとんど自分の姿を確認することはできなかった。昔の人はこの写り具合で十分だったのだろうか。謎だ。
母も私のお庭の散策でかなり体力を消耗していて、仏教美術のお部屋と茶の湯をテーマにしたお部屋はパスし、お庭で咲いている杜若と屏風になった燕子花の両方を見られたことに満足し、美術館を後にした。
また季節を変えて行ってみたいと思う。
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