「バサラオ」を見る
2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎「バサラオ」
作 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 生田斗真/中村倫也/西野七瀬/栗根まこと
りょう/古田新太/右近健/河野まさと/逆木圭一郎
村木よし子/インディ高橋/山本カナコ/礒野慎吾
吉田メタル/中谷さとみ/村木仁/川原正嗣/武田浩二
藤家剛/川島弘之/菊地雄人/あきり来野良
藤田修平/北川裕貴/寺田遥平/伊藤天馬
米花剛史/藤浦功一/西岡寬修/NaO
大村真佑/清水一光/井上真由子/松本未優
植公笑里奈/白瀧真由美/さいとらえりね
高森あゆね/古見時蒡
観劇日 2024年8月31日(土曜日)午後0時開演
劇場 明治座
上演時間 3時間40分(30分間の休憩あり)
料金 15800円
ロビーではパンフレットを始めとするグッズが販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
明治座で観劇するのは随分と久しぶりで、2回目とか3回目ではなかったろうか。
場所や構造、座席の感じなど全く覚えていなかった。
今回の座席は1階最後列で、2階席がだいぶせり出し、視界を遮る。スクリーンに映し出される文字や、舞台の両脇に表示される歌の歌詞が一部全く見えていないのが残念だった。
通路に面した席だったのをいいことに、ときどき横から覗き込んで確認したけれど、一工夫あると嬉しかったなと思う。
また、同じく劇場の構造によるものなのか、音響がときどき割れていたように感じた。
私の耳はそんなに良くないので気のせいと言われればそれまでだけれど、今回の芝居は歌と踊りと音楽と殺陣が盛りだくさんだったこともあって、そんな風に感じる瞬間が多かったように思う。
開幕でいきなり歌が始まって、今回は歌あり踊りありか! と思った。
久々な感じがしたけど、実際のところはどうだったのか、自分の記憶に自信がない。
主役が生田斗真なのは知っていたし、どう見ても主役のビジュアルだけれど、最初は「生田斗真ってこういう顔だったかな?」と思いながら、オペラグラスでじーっと顔を見た。
派手な衣装と派手な演出と水から「美しい顔」と言っちゃう役がハマり過ぎだよ、と思う。
ピカレスクロマンと銘打たれた芝居は南北朝の時代をベースにしていて、古田新太演じるミカドと粟根まこと演じる執権、そして生田斗真演じる「バサラのヒュウガ」を名乗って天下を取ろうとする男と、中村倫也演じるその男の参謀役になろうとする男が騙し騙され討ち討たれを繰り返す。
腹黒くない登場人物はいたかも知れないけれど、人に仇なすような「企み」を持たない登場人物はいなかったのではなかろうか。
何とも凄惨な時代であり芝居だけれど、歌と踊りに目を奪われ、それほど陰惨という印象にはならない。
舞台を見ながら、「どうしてこんなに話の先が気になるんだろう」「どうしたら観客からこの集中力を引き出すことができるんだろう」と思っていた。
いのうえ歌舞伎凄い、座付き作家の中島かずき凄い。
戦いの腕も立つけれど、基本的には「策」を巡らしている男達に対し、りょう演じる女大名や西野七瀬演じるミカドの護衛の少女、村木よし子演じる漸歌党の親分に山本カナコ演じる女大名の一党は、概ね戦いに身を投じている。多分、それほど「策」を講じることはしていなかったと思う。
なかなか楽しい役割分担である。
そして、「行くか?」と思わせるシーンも若干ありつつ、恋愛要素をまるっと排除していたのも面白い。
執権に追われ、島流しになっていたミカドを脱出させて京に入り、しかし武家をないがしろにして公家を重用するミカドに反旗を翻し・・・。
とにかく主要登場人物は概ね誰かを騙したり騙されたり立場が反転したりを繰り返しているので、「この話の行き着く先はどこか」ということは、とてもとても見通せない。
物語の「謎」を随所で仄めかし際立たせているのは中村倫也演じるカイリで、ヒュウガはどこまでもある意味で真っ直ぐに自分の欲望であるところの覇権を目指している感じだ。
そして、歌い、踊り、殺陣もかなり入る。絢爛豪華そのものである。
上手い人同士の殺陣って凄いわ、と思う。何よりスピードが違う。「流れるような」という表現が当てはまるか当てはまらないか、その差は大きい。
カイリの「ヒュウガを倒すためのえぐい策」にいささか疑義を感じたし、カイリがヒュウガの人生の絶頂で復讐してやろうと決めた動機もん? と思った。
新感線の舞台としては、かなり珍しいことにオープンな結末というか、勝ち負けを曖昧にして物語を閉じていたのが意外だった。
何しろ登場人物の多くがラストシーンにたどり着かずに死んだり傷を負ったり都を離れたりしている中、最後の最後でやりあったヒュウガとカイリのどちらもが、幕が下りた時点で死んでない。
それはそれとして、踊るシーンで手拍子を求め扇子を振れと煽ったりしていたし、楽しんだもの勝ち、楽しんでなんぼという舞台だと思う。
カーテンコールは何度あっただろう。
やっているのが一番楽しいのだろうなとも思う。
こちらも客席で目一杯楽しんだ。
がーっと集中し、外連味溢れる舞台を堪能した。
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