「ヨーヨー・マ 無伴奏チェロリサイタル」を聴く
「ヨーヨー・マ 無伴奏チェロリサイタル」
演奏 ヨーヨー・マ
曲目 チャオ・ジーピン(趙季平):草原の夏
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調
アフメト・アドナン・サイグン:チェロのためのパルティータ
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番 ハ短調
休憩
ジョージ・クラム:チェロのためのソナタ
J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調
アンコール
アメリカン・メドレー
:シンプル・ギフト
アメイジング・グレース
ノーバディー・ノウズ・ザ・トラブル・アイ・ハブ・シーン
家路より
カザルス:鳥の歌
公演日 2025年9月20日(土曜日)午後7時開演
場所 サントリーホール
料金 27000円
公演時間 2時間30分(20分の休憩あり)
2019年のヨーヨー・マのリサイタルと曲目がかなり似ていることに今さら気がついて少し驚いた。
ヨーヨー・マの希望なのか、主催の希望なのか、つまりは観客の好みなのか、どれなのかしらと思う。
事前のアナウンスでは、無伴奏チェロ組曲は1番、5番、6番というラインアップだったと思う。
予習のつもりでその3曲を聴いていたけれど、会場で配られたプログラムで1番、5番、3番になっていて、あら、と思った。
好みとしては、6番よりも3番の方がとっつきやすいし面白いと思っているので、結果オーライである。
会場では、9月17日発売の日本限定ベストアルバムのCD他が販売されていた。会場で購入すると、この新しいCDのジャケットと同じ構図の写真はがきの特典が付いてくる。
結構な行列ができていた。
ヨーヨー・マが登場し、ステージの後ろの客席まで全方向に礼をし、舞台の中央に置かれた椅子に座ると時をおかずに弾き始める。
そのあっさり感は拍子抜けするほどだ。何と言うか「ため」のようなものが全くと言っていいほどない。
シンプルだ。
1曲目の「草原の夏」と「無伴奏チェロ組曲」とは続けて演奏された。
間髪入れず、次の曲を続けた、という感じだ。
かの有名な1番の出だしだったので気がついたけれど、そうでなかったら曲の切れ目を意識できなかったと思う。
何なら、1番のプレリュードとアルマンドの間の方が曲と曲の切れ目が分かりやすかったくらいである。
そして、チェロのためのパルティータと無伴奏チェロ組曲の3番の切れ目は、私は分からなかった。
ふと気がついたら、予習で少しだけ耳慣れた曲が弾かれていた、という感じだ。
こんな聴き手で本当に申し訳ない。
申し訳ないついでに書いてみると、ときどき、高音にすっぽ抜けたような音が聞こえたように思ったけど、気のせいだろうか。
休憩後、ジョージ・クラム「チェロのためのソナタ」が始まると、何となく、奏者にとってこのコンサートで一番弾きたかったというよりも聴いて欲しかったのはこの曲なんじゃないかという気がした。
何というか、楽しそうに見えたからだ。
この日の演奏を表す言葉として「重厚」とか「重奏」、反対に「軽やかさ」みたいな言葉が浮かんでいたけれど、ここにきて「自在」だと納得できた。
そう、ヨーヨー・マの演奏は「自在」である。
プログラムの最後、無伴奏チェロ組曲の3番も、さらに自在感が増した演奏だったと思う。
コンサートの終わりに向けて駆け抜けている、という感じがした。
アンコールの1曲目は、アメージング・グレイスと「遠き山に日は落ちて」だけ分かって、というか、アメージング・グレイスだと思っていたら知らないフレーズが続きふと気がついたら「遠き山に日は落ちて」になっていて、何がなんだか、聴いているときは分かっていなかった。
あれ? 知らないうちに変わった? それともさっきまでの私が曲目を勘違いしていた? と混乱した。阿呆である。
アンコールはしっとりした、歌うような曲なんだな、と思った。
そして、2回目のアンコールで「鳥の歌」が演奏された。
超絶技巧を要し、ほっそーい糸がぷるぷる震えて今にも切れそうな曲だと思う。かといって決して神経質だったり不安をあおる音ということではない。
凄く楽しかった。
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