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「ここが海」
作・演出 加藤拓也
出演 橋本淳/黒木華/中田青渚
観劇日 2025年10月11日(土曜日)午後1時開演
劇場 シアタートラム
上演時間 1時間40分
料金 8500円
ロビーではパンフレットが販売されていた、と思う。
ネタバレありの感想は以下に。
舞台上には、左手にベッド、中央にソファセットで奥にある掃き出し窓の向こうはウッドデッキかな? という感じ、右手にカウンター? 食器棚? のようなものと電話台に載った電話がある。
木目調の焦げ茶とオフホワイトでまとめられ、全体的に生活感のない空間だ。
ここに住んでいる家族は相当のセレブ、という感じがする。
登場する橋本淳演じる夫と黒木華演じる妻も、生成りを基調とした服を着ていて、生活感がない。もしかして幽霊の話なのか? と穿ったことを考えたくらいだけれど、登場人物は全員生きていた。
二人には、まことという名前の高校生の娘がいる。「まこと」と聞いて最初は男の子だと思っていて、登場したら女の子だったので、やられた! と思った。何もやられてはいない。
はっきりとした説明はなかったと思うけれど、この夫婦はライターで、多分夫の方は旅行関係をメインに活動していて、一家でホテルなりリゾートマンションなりを転々として暮らしているようだ。
娘は、通信制(Web会議で授業を受けていた)の学校に通っているらしい。通信制の学校が結果なのかきっかけなのかもよく分からなかった。
こういう設定で「外国っぽい」と思う私は多分感覚が古くて、実際、映し出される日付は2024年から2025年にかけて、登場人物たちは全員日本人で、多分場所も日本。作・演出も日本人の新作である。
最初のうちに思ったのは、「説明してよ! この人達誰なのよ!」ということと同時に、黒木華も高校生の娘がいる役を演じるような年齢なのね、ということだった。
ずっと若いと思っていたよ、と今調べたら35歳だった。
15歳の娘がいてもおかしくはない。
夫を演じている橋本淳も若くて、若い夫婦なのに随分大きなお子さんがいるのね、と近所のおばさん気分である。
もっとも、一家は、妻のゆりが「性転換手術を受けたい」「離婚の可能性も考えている」と、夫にとっては突然言い出し、夫は軽く大混乱していたけれど、思ったよりも平静である。
娘と母の会話は聞こえず見えていただけだったけれど、話した直後の娘は落ち着いたものである。
そうなのか?
流石にちょっと混乱した夫とゆりとの会話はお互い被せ気味になっていたけれども、何というか、双方の言うことが感情的に見せつつ全く感情的ではないというか、お互いが己を抑えつつ、何とか理性的理論的に話そう、感情的にしゃべったら負けだ、みたいに思っている風に見える。
結果、やけに知に偏ったやりとりというか、理屈っぽいやりとりというか、いや、このやりとりには絶対に入りたくないし聞きたくないよ、と思ったりした。
こういう言い方もどうかと思うけど、最近の若者、最近の若いお父さんお母さんはこういう感じなのか?
結局、「理解を示さねば」という呪縛に囚われている夫に対し、ゆりは淡々とホテルの別の部屋に引っ越し、ホルモン治療を始める。拠点を変えた半年後には、少なくとも声はだいぶ低くなっていた。
娘は海辺のホテルにいたときに知り合った友人に勧められて、コカ? 大麻? を吸ってバッドトリップし、雪の中に倒れているところを両親に発見された、らしい。
「史上最悪の誕生日になりそう」と呻く娘、「写真を友人に送ってないかだけ確認させろ」とそこだけは頑として譲らないゆりと、やけに落ち着いている。
娘に「やったことある?」と聞かれて「うん」と答えていたから、それは普通なのか? よくあることなのか?
どうにも古い感想しか浮かばない。
そして、夫がインタビュアーとなって、これから手術を受けようという妻にインタビューをする。
二人は離婚届を書く。お互いがサインし、「自分のタイミングで出して」と妻の手に渡る。
袋一杯の飾り付けを持ってきた夫が妻と娘に「飾り付けをするぞ」と声をかけ、暗転、幕切れである。
静かな終わり方が、全体の印象に合っている感じがした。
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